2010年10月アーカイブ

小劇場に行ってみませんか?
 

映画やテレビで観ている俳優さんはステキだけど、イマイチ現実感が湧いてこない。
実際にコンサートに行っても米粒くらいに小さくてガッカリなんてこともしばしば。

そんな私が最近ハマっているのは、小中劇場でやっている舞台です!
 

舞台って、客席と舞台が一体になる感じが病み付きになるんですよ。

舞台やコンサートを見終わるとそのまま帰るのが普通ですが、
小中劇場の舞台だと、役者さん達がお見送りしてくれるところもあるんです。
もちろん少しくらいならお話もできたり…!?

なんだか癒されませんか??お得な感じしませんか??

つい数分前まで舞台と客席にいたのに、すぐ間近で『ありがとうございました!』ってお見送りしてもらえるなんて!
ビバ!舞台って感じです!!
 

たまには、こころに美容液を浸透させるのもいいかもしれないですね。

 

今回紹介したいのは、そんな舞台で知り合った役者さん、

榎木薗郁也君、通称エノキダケ君(私が勝手につけました!笑)です。

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実は、榎木薗君のマネージャーさんが私の出版社時代からの知り合いで、
マネージャーさんをプライベートで舞台にお誘いしたとき、榎木薗君一緒に来てくれたんです。
その舞台をやっていた劇団が、榎木薗君が役者を志すキッカケだったらしいです。(驚!) 

普通の人っぽいけど、なんだかオーラがある、イケメン君!

そばにいるとなんだか肌が潤ってくる気がします(笑)。


今回は、かんかん読者のみなさまにも是非『一体感』と『こころの美容液』を味わっていただきたいので、

11月に榎木薗郁也君が出演する舞台『世界は僕のCUBEで造られる』にご招待しちゃいます!

もちろん、私も行きますので、似顔絵らしき人がいたら声掛けてくださいね。

 

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『世界は僕のCUBEで造られる』

ikemen3.jpg2010年11月 新宿シアターブラッツ
東京都新宿区新宿1−34−16清水ビルB1

17水 19:00(SIDE-A)
18木 14:00(SIDE-A)、19:00(SIDE-B)
19金 14:00(SIDE-B)、19:00(SIDE-A)
20土 15:30(SIDE-A)、19:30(SIDE-B)
21日 13:00(SIDE-B)、17:00(SIDE-A)

(SIDE-A)(SIDE-B)
ダブルエンディングをご用意いたしました。
A、Bの違いをお楽しみください。

 

ご招待日
(1) ・11/17(水)19:00〜  ペアチケット
(2) ・11/18(木)14:00〜 ペアチケット


行きたいけど、日程が合わないという読者の方はこちら(※外部サイト(ACTORS TRASH ASSH「世界は僕のCUBEで造られる」予約ページに移動します)からチケット購入をお願いします。
 

または

(3)榎木薗郁也君のサイン入り生写真も抽選で10名にプレゼント!!
ロッカーに貼って癒されて、お仕事頑張りましょうね!

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 応募受付を終了しました。沢山のご応募ありがとうございます。

 

応募期間

10月26日(火)〜 11月8日(月)

 

応募方法

・お名前

・メールアドレス

・職種

・経験年数

・希望するプレゼント (上記(1)?(3)のいずれかを番号で)

・プレゼント送付先の郵便番号、ご住所

を明記のうえ、メールにて

kankan@igaku-shoin.co.jpまで。


ご応募、お待ちしております!

 

今日(10月27日)の朝日新聞の朝刊に、

いがくしょいんのへんしゅうしゃが出てるんだって。

101027asahi.jpg

 

32面に出てるからね。気になる人はコンビニとかで買って見てね。

第1回より続く

 

第2回 背中と腕との連動性(1)

 
私たちの普段の動きはどうしても腕の力に頼りがちです。しかし、それは大変にもったいないことです。なぜならば、腕よりも大きな力を引き出せる背中(体幹部)が動きに参加していないからです。
 
 
腕だけの単独プレーではなく、背中と腕とがチームプレーになることにより、負担も少なく合理的な力が出せるようになります。
 
 
今回は背中と腕の連動性をチェックする「肘を回す」動きをしてみましょう。最初はそう難しくはありませんので、気楽に取り組んでください。
 

肘を回す STEP1

 
まず、両手を組んで、身体の前に出します。その状態で肘をみると、外側を向いていると思います。では、この肘を下に向けたり、元の状態に戻したりしてみましょう。このとき、組んだ手が一緒に回らないように注意してください(fig1)。
 
 
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Fig1 肘をまわす
手を組んだ状態では外側に向いている肘(a)を、下に向ける(b)。さらに肘を外側に向ける、下に向ける……を交互に繰り返す。
イラスト:三上修(看護学雑誌72巻2号、2008年より)
 
 
 
STEP1はまだまだ小手調べです。動画のように動かせない方は、肩・背中の動きが硬いのではないかと思われます。肩こりなどに悩まされていませんか?
 
 
<働く身体のつくりかた バックナンバー>

荷物が届いてる

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あけてみた。れっぐくいーんって書いてある。なんだろ、これ

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くみたててみた。足がほそくなるんだって。ほんとかよ?

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自宅用に通販で頼んだつもりなのに、間違って会社に届いてたんだって。ちょっとはずかしいね、へんしゅうしゃ。

朝7時30分。

 

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まだ2人ぐらい?

 

マイナス×マイナス=プラス?
 
前回ではライフスタイルの変化とそれに応じて増加してきた疾患について話しました。
 
みなさんご存知のようにこういう考え方を「進化医学」と言います。もうひとつの例として、糖尿病とそれに関わる遺伝子の研究で最近明らかにされたことがあります。糖尿病を発症させたり、悪化させたりする“悪玉”遺伝子と言われていたものが、よく調べると、わずかな栄養で効率よくエネルギーを生み出す働きをしていたことがわかったのです。つまり、人類の長い歴史の大半を占めていた飢餓の状況では、有利に働いていた“善玉”遺伝子だったわけですが、ここ数十年で事態は一変し、飽食の時代で肥満や糖尿病が問題視されるようになった途端、“悪玉”の烙印をおされるようになったわけです。
Originally uploaded by shuttermonkey
 
冷たいものや甘いものをたくさん取るようになったのも最近の話です。対称的に、昔の女性の好物と言えば「いもたこなんきん(注)」…温野菜が二つも入っています!冷えやむくみに悩まされる現代女性は非常に多く、そういう症状に対して、冷たいものをとらないように、精製された白砂糖をとりすぎないように指導する漢方家は結構多いです。「進化医学」流にいうと、人間の体はそういうものをたくさん受け付けるようにはできていない、という言い方ができそうです。
 
ただ、外来にやってくる若い女性の患者さんをみていると、冷たいもの・甘いもの好きには一つの理由があるように思います。確かに冷たい食べ物は胃腸の機能を落とすけれども、胃腸の機能が落ちると食欲がなくなるので、自然に食が細くなり、理想とするスレンダー体型を維持できるようになるんじゃないかと…なんだか、マイナスかけるマイナスでプラスにするような、ねじれに対してねじり返して帳尻を合うみたいな話で…。
 
(注)「芋・蛸・南京」。「南京」はかぼちゃのこと。女性が好む代表的なものを指した言葉。
 
気虚と水滞(やっと漢方のおはなし)
 
漢方が教えるところによると、この代償は大きいはずです。消化器機能の低下は「気虚」という状況を招くとされています。体を動かすエネルギー(気)が不足した状態で、体のだるさ・疲れやすさ、日中の眠気、風邪をひきやすい、目力、声に力がなくなる、集中力や思考力の低下、などです。エネルギーが不足すると、水のめぐりも悪くなるので、冷え・むくみ・耳鳴り・乗り物酔い・頭痛といった症状も乗っかってきます。これを「水滞」と呼びます。
 
このような症状に対してよく出す漢方処方として、人参湯・四君子湯・六君子湯・補中益気湯などがあるのですが、これらの処方では、人参や黄耆といった、体にエネルギーを補充する(補気)生薬と、茯苓や朮といった、水分の代謝を促す(利水)生薬をカップリングさせています。これは、昔の人の叡智だと思いますし、「疲れたから栄養ドリンクでも飲む」というのとは全く違う発想であることを強調しておきたいと思います。
Originally uploaded by midorisyu
 
同じ「疲れ」でも、エネルギーが不足して「疲れる」こともあれば、エネルギーのめぐりが悪くなることで「疲れ」と感じられることもあるはずです。たとえば、久しぶりに休みの日に、昼過ぎまで半日以上も寝てしまうと、かえってひどくだるくなってしまいます。睡眠は十分すぎるほどとっているので、エネルギーは回復しているはずなのに…と思いますが、なんだかうまく回っていかない感じです。こういう時に、エネルギーを補う薬を飲んでも、よく効きません。渋滞したエネルギーを解放し、巡らせる薬を使うべきなのです。この、滞ったものを解放したり、めぐらしたりすることを、漢方の用語で「瀉」といいます。漢方では「補」と「瀉」を使いこなして、治療を組み立てていきます。先ほど述べた「水滞」は、茯苓や朮などの生薬で治療するのですが、これも一種の「瀉」ということができます。「補」と「瀉」に関しては、また次号以降で詳しく述べたいと思います。
 
 
(次回の更新は11月5日予定です)

信田さよ子 (原宿カウンセリングセンター所長) 

1946年岐阜県生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了後、駒木野病院勤務などを経て、現在に至る。臨床心理士。アルコールをはじめとする依存症のカウンセリングにかかわってきた経験から、家族関係について提言を行う。
著書に『アディクション・アプローチ』『DVと虐待』(ともに医学書院)、『母が重くてたまらない』(春秋社)など多数。最新著に『ふりまわされない』(ダイヤモンド社)、『ザ・ママの研究』(よりみちパン!セ、理論社)がある。
第1話 密やかな愉しみ



 

カウンセラーの嘉子は、東京の中心地で開業している。

たまの休日も講演やシンポジウムなどで数か月先まで埋まっている売れっ子だ。

そんな元気印のポスカン(ポスト還暦)女性だが、

あるとき心臓に違和感を覚え、検査入院することになってしまった。

百戦錬磨のベテランカウンセラーが病室で見たものは……。
 

 

しわになった一万円札

 5時半に最後のクライエントのカウンセリングが終わった。それほど疲れを感じないのは、体力がついたせいなのか、それとも疲労を感じる脳の中枢が還暦を過ぎて退化したせいなのだろうか。

 部屋を出るクライエントの後をついて、受付の窓口に行く。そこには事務長がでんと控えている。カウンセリング終了後はここで料金を支払ってもらい、必要なら次回の予約をとることになる。カウンセラーとして30年以上も働いている嘉子は、事務長にまかせずに、自分でクライエントから料金を受け取ることを原則としている。

 明るい声でクライエントのシンヤさんに言った。

「次回までの宿題、忘れずにね」

 もちろん笑顔も忘れない。どんなに疲れていても、どんなにつらいことがあったとしても、その笑顔は絶やしてはならない。これがプロとアマの違いなんだから、と嘉子はいつも自分に言い聞かせてきた。

 たぶん、アルバイトのお金を貯めたものだろう。31歳のシンヤさんは上着のポケットから銀行のATMに備え付けられてある紙袋を取り出した。袋がしわになっているせいで、その中に1枚だけ入っている一万円札を取り出すのにひどく手間取っていたが、ようやく革製の現金受け渡し用の皿に、取り出したばかりのお札をそっと載せた。

 嘉子はいつも不思議に思う。多くのクライエントはなぜおずおずとお金を出すのだろう。お金をもらうほうがへりくだるはずなのに、カウンセリングを受けたクライエントのほうが腰を折るようにしてお金を払う。まるで「どうもすみません、お願いですからお金を受け取っていただけますか?」とでも言うように。

 嘉子はおもむろに両手を出して、皿ごと一万円札を受け取った。

「ありがとうございました!」

 はっきりとお礼を言って、丁寧に頭を下げる。

 

私だけの悦び

 アメリカやヨーロッパではもっと堂々としているのだろうなあ。カウンセラーは正当な対価としてお金をもらうのだし、クライエントはそのお金でカウンセラーを1時間独占するという契約が徹底しているはずだから。クライエントから窓口でお金をもらうたびに、毎回嘉子は想像した。

 それにしても、だ。あの精神科医たちはいったい何なんだろう。患者からこうやって直接お札をもらったことがないから、あんなに尊大で無神経な態度をとるんじゃないだろうか……。

 思わず靴のかかとで床を蹴ったところで我に返った。

 いけない、いけない。精神科医にやつあたりしたって意味がない。血圧が上がるだけ損するのは自分なのだ。クールダウンしながら、嘉子はロッカーの扉を開け、帰り支度をはじめた。

 狭いスタッフルームでは、同僚たちがいつものように三々五々話し合っている。女性だけの職場だからあけっぴろげだ。もうすぐ6時だというのに、クライエントについての打ち合わせや苦情などが飛び交っている。話しながら同時進行で、どっさり積まれたクライエントからのいただきもののチョコやおせんべいを食べている。

 横目でそんな光景を見ながら、嘉子はもう上の空である。

――みなさんご熱心ですこと、わたくしは一足先に失礼いたします、だってこれからうんと楽しいことをするのですから。

 聞こえないようにつぶやいたあとで、大きな声で挨拶した。

「おつかれさま〜、お先に〜」

 嘉子は上着を羽織りながらかろやかにドアを開け、風のようにエレベーターに乗った。

これから、嘉子の唯一の楽しみである水泳とサウナが待っているのだ。

 

一念発起

 

 もともと歩くことも走ることも大嫌いな嘉子だった。まして水泳は筋金入りのカナヅチだった。ところが、還暦にもうすぐ手が届きそうになって、一念発起して水泳を一から習いはじめた。理由はいろいろだが、カナヅチのままでは往生できないような気がしたのだ。オリンピックの平泳ぎ決勝で北島康介が優勝した瞬間をテレビで見ながら、突然そう思った。

 それに水泳をはじめれば、「嘉子さん、偉いわねぇ、さすがよね」と褒めてくれるだろう人の顔がいくつも思い浮かんだ。そして何より、いつも「ママったら、運動音痴なんだから」とあきらめ顔で文句をいう娘の真衣に、今度こそ威張ってやれる、と思った。

 人前では元気だし、なにしろ話すことが職業なのでおしゃべり好きと思われているが、嘉子は暇があれば横になって本を読むことだけが趣味だ。まるで引きこもりのおばさんである。それがある日突然、水着を買い、ゴーグルを買い、写真入りの水泳読本を買ってきた。真衣は眼を丸くして言った。

「どうしたの? いったい何があったの?」

 それは驚嘆するというより、訝(いぶか)しむ目つきだった。

「何歳になっても水泳はできるっていうからね、目指せマスターズ!」

 勝ち誇ったように、嘉子は言った。

 

登場! 美人鬼コーチ

 水泳のプライベートレッスンのコーチは、すごい美人だった。最初に会ったときはモデルかと思い、ドキドキして目をみつめることもできなかった。おまけに見事なプロポーションで、毎回水着を換えてさっそうとプールに登場するのだ。

 そのジムは芸能人の会員も多いが、プールの脇に立つと、抜群に彼女は目立った。そんなコーチに付くのは、まぎれもなく不幸だ。おなかの出たおばさんが、美人の傍らで無様な水着姿を晒さなければならないのだから。

 でも嘉子にとってそんなことはどちらでもよかった。レッスンなんか受けなくても、プール脇のサンデッキに座ってずっと彼女の動きを見ているだけで十分だと思えたからだ。

 ところが彼女は、いざ水泳を教えはじめるとまるで鬼のように厳しかった。

「ぶくぶく〜、パッ」「ぶくぶく〜、パッ」

 プール中に響き渡るような大声で、息継ぎの練習をさせられた。その後も容赦なく、満足なフォームで手と足が動くまで何度も繰り返させられた。いったい私を何歳と思っているのだろうか。嘉子は手加減をしてもらうために、運転免許証を見せようかと思ったほどだ。

 コーチが眉を片方だけ吊り上げた表情は、美しいぶんだけ凄みがある。ときにはぞっとするほど恐しく、レッスンを受けた夜はふとんに入ってから瞼にその顔が浮かんできたこともあった。

 何度やってもバタ足の速度が上がらないときなど、コーチは眉を吊り上げながら叫んだ。「よ〜く見てから、真似をしてください!」

 そして、小麦色の長い足を蒸気機関車の車輪のように盛大に上下させながらお手本を示した。コーチの体はロケットのように進むのに、なぜか音は静かで、水も撥ねない。嘉子は天と地ほどの落差にひれ伏したくなった。

 

ご褒美にたゆたう

 真似をするつもりで緊張しながらバタ足を続けるのだが、進むどころか嘉子の体はみじめに沈んでいくのだった。ところが、衆人環視のなかで「はい、もう一度!」と厳しくダメ押しをされるのが、あるときから不思議といやではなくなった。

 頭がふらふらし、息は切れ、ぜいぜいと肩で息をしているのだから苦しいはずなのに、どこか気持ちよく感じられた。まるで頭蓋骨後頭部のふたがカパッと開き、そこから酸素が欠乏した脳に涼やかな風がスース―と吹き込んでくるような感覚だった。息切れしている自分に、もう十分やった、よくがんばった、という証を与えてくれるような気分が訪れた。

 最後の5分間だけは、いつもコーチは優しかった。

「はい、力を抜いて〜」

 言葉どおり仰向けになってコーチの手に身を任せると、ぽっかりと浮いた嘉子の背中を支えながらプールを往復させてくれる。クールダウンのためのサービスなのだが、まるで女神の手のひらでたゆたうかのようだ。薄目を開けてコーチの顔をそっと見上げると、すぐ近くに形のいい鼻の孔が見えた。

 鬼から女神へと両極のあいだを翻弄されながら、嘉子のプライベートレッスンの30分間は終わる。

 

 

[→第2回]


 

第1回よりつづく

 

3年で辞めないために(2)

傷ついた人間のやさしさ

これはあくまで私の主観的な印象の域を出ないのですが、それでも大切なことをはらんでいると思うのでお話します。僕のキャリアのスタートは、かなり「温度の低い」職場でした。

 

先輩方はキャリアも豊富で技量も優れておられましたが、一方で医療を取り巻く現実に対して疲弊されていて、真正面から物事をポジティブに捉えることができなくなっておられる印象でした。

 

誤解を恐れずに端的にいうと、「医療の力」を信じて邁進するというイメージとは違い、ちょっと諦めの境地のような雰囲気がただよう職場という面がありました。

 

こ ういうふうに書くと何か停滞した雰囲気の、暗い職場のようですが、僕は、そこには良い面もいっぱいあったと思っています。そこにいた、ちょっとペーソスと 悲哀を感じさせる医療者からは、人生の何たるかがじわじわと伝わってくる。「改革だ!」「よりよい医療を」といった美辞麗句は口に出せなくなってはいる が、現状維持を粛々と保持してゆく人だからこそ、学べることがある。

 

熱い理想を持ち、それを確信している人は、確か にエネルギッシュだし、よいこともたくさんあります。しかし、そのパワーは誤った方向に行くこともあります。一方で、現場のバランスシートを冷めた目で見 回して「俺がやれるのはこれだけだ」と見極め、淡々とそつなく、自分のできる範囲の仕事をこなす。そういうありようというのは、僕は決して悪いものだと思 いません。

 

たとえば、こういうあり方をしている人は、自分の存在意義を主張したいがための反論や発言はしません。世 の中には、自分のコンプレックスを相手にぶつけることをエネルギー源にしている人が少なくないわけですが、ある意味傷ついて、勇気を殺がれた人は、決して そういうことをしない。なぜなら、「社会が悪い」「組織が悪い」ということを感じても、同時に「俺も悪い」「私にも責任がある」ということを身に沁みて実 感しているからです。

 

「ダメな職場」なんかない


 
こういう態度は、団塊世代より上の人に多かったように思います。やはり彼らは、1回戦い、そして負けた経験をもっているからでしょう。

 

ちゃ んと「自分は負けた」ということを認識する、というのは、ある意味高い知性がなければできないことです。でも、そこから先は「それでも僕は理想を」なんて いう「立派な人」に誰もがなれるわけではなく、そこそこ人と距離をとりつつ、自分の仕事をそつなくこなし、あくまで自身の立場を守って生きてゆく人間像が できあがる。

 

いまは、こうした「温度の低い」ありようって、あまり肯定的な評価を受けませんよね。無責任だと批判されることが多い。しかし、僕は1つの存在のバランスのあり方としては、ある種の美徳だとさえ思うし、現実的にもメリットはたくさんあると考えています。

 

た だ、そういう人があまりにもたくさんいると、会議なんかをやったときには遅々として進まなくなります。また、職業人としてのアイデンティティが確立してい ない新人のうちに、いきなりそういう雰囲気の濃い人についていくのは、どうしても要領だけよくなって、怠け癖がついてしまうから望ましくないでしょう。

 

で も、だからといってダメな職場、ということにはならないと思うんです。つまり、すごく熱気のある職場であれ、そうでない職場であれ、普遍的に「ダメな職 場」なんかないんです。職場の熱気についていけないという場合であっても、あまりにもやる気がなくてもどかしいという場合であっても、自分自身でその ギャップを認識しながら、仕事を続けていく、というあり方をめざしてほしいと思います。

 

距離をとりながらも、適応していく。どっぷりと首までつからないように注意しながら、仕事を続ける。そういうふうに距離をとりながらも、職場や同僚に敬意を持ち続けることは可能だし、そのほうが仕事との付き合い方としては健全で、長持ちするように思います。
 

第3回に続く

 

<医療者のための心の技法 バックナンバー>

第1回 3年で辞めないために(1)

第2回 3年で辞めないために(2)

第3回 3年で辞めないために(3)

 

次回は11月4日(木)UP予定です。乞うご期待。

本連載では名越先生への質問、悩み相談を受け付けております。ツイッターならハッシュタグ「#nakoshi」、下記フォームでも受付中です!

photo by 安部俊太郎

〜やっぱり鍼が好き!〜
 

子供の頃から背が高く、背を低く見せるために猫背だった私。

しかも編集者という仕事柄、同じ姿勢で目を酷使する毎日。

肩凝り、腰痛、眼精疲労にはなりたくないけど…もちろん、長年のお友達でした。

たまにマッサージに行くと、うら若き乙女?に向かって『60歳代の体』と言われることもたびたび!!

 

そんな疲れた体にはこれ!

鍼です!!
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人間の体にはたくさんのツボがあって、知っておくと本当に楽しいです。

最近は美容鍼というのもあるんですね??してもらった翌日は吹き出物も少し治まりました。

 

私がお世話になっている鍼灸院は、常に脈を計りながらの施術です。

冷え性の私はまず足に打っていただきます。

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鍼の先によもぎを付けて温めています。

 

次に首〜腰と全身40本以上打たれております。

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施術が終わった後は少し怠いですが、次の日は体中の血行が良くなった感じがします。

鍼をする日はアルコールもできるだけ抜いた方が良いので、休肝日を兼ねてしています。

 

リラックスできるエステサロンも良いですが、

たまには体のツボを呼び覚ましてはいかがですか?

 



ぴろりん Profile

アメリカ テキサス州ダラス生まれ。大学入学の際に帰国。
大学卒業後、出版社にて文芸書、新書、美容雑誌、漫画編集等に携わる。
2010年3月退職後、映画・映像コラムやファッション誌のディレクションを行う。趣味はジョギング、食べ歩き、自分磨き。
天真爛漫な性格な為に有名人、無名人問わず友達多し。横浜市在住。



 

編集室の片隅にいろんな花が咲いてるよ。

これはきいろいはいびすかす。

 

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 こんなとこにも。

 

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笹は…ない。

看護師のためのWebマガジン「かんかん」オープン記念!

クイズに正解された方から抽選で、医学書院刊行の看護系雑誌、最新3号分(2011年1号〜)を無料でお届けいたします。応募方法は下記のとおり。

【問題】

2010年9月刊行。豊富なイラストで病態生理がよくわかる新シリーズのタイトル『人体の構造と機能からみた 病態生理●●●●●マップ』。●●●●●に入るのはなんでしょう??

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応募期間 

受付終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。


2010年10月15日(金)〜11月15日(月)

応募方法

・クイズの答え

・お名前

・メールアドレス

・職種

・経験年数

・プレゼントを希望する雑誌(下記参照)

・プレゼント送付先の郵便番号、ご住所

を明記のうえ、メールにて

kankan@igaku-shoin.co.jpまで

ご応募ください。

 

当選の発表


プレゼントの発送をもって、代えさせていただきます。

プレゼント対象雑誌

・ 『看護教育』2011年1〜3号 一部定価1,470円 ……4,410円相当
・ 『看護研究』2011年1〜3号 一部定価1,890円 ……5,670円相当
・ 『保健師ジャーナル』2011年1〜3号 一部定価1,365円 ……4,095円相当
・ 『訪問看護と介護』2011年1〜3号 一部定価1,260円 ……3,780円相当
・ 『助産雑誌』2011年1〜3号 一部定価1,365円 ……4,095円相当
・ 『看護管理』2011年1〜3号 一部定価1,575円 ……4,725円相当
・ 『精神看護』2011年1〜3号 一部定価1,260円 ……3,780円相当


ご応募、お待ちしております!

 

※追記(10月19日)

既に年間購読をされている雑誌は対象外です。 

 

「古武術介護」でおなじみの介護福祉士、理学療法士の岡田慎一郎先生が、医療、介護従事者のために「働く身体のつくりかた」を講義!  「身体の使い方」を見直すことで、身体介助などの技術を改善することはもちろん、日常生活への応用など、心身の状態をいまより少しでもよい状態に向けていただくことをめざします。

第1回 身体の使い方を見直そう


患者さんの身体をみる前に

 

解剖学や病態生理学をはじめ、医療職の皆さんは身体についての専門的知識をもって現場で働いています。しかし、患者さんの身体をみることは得意でも、自分の身体には十分な注意を向けているでしょうか。


筆者は2006年ごろより、医療介護職を対象とした介助法や、身体の使い方をテーマとした講義・執筆を行っていますが、身体についての知識を十分にもっているはずの医療職の皆さんの動きが硬く、力まかせになっている状態が多いことに驚かされます。その結果、腰痛をはじめとした身体的不調に悩まされている方も少なくないようです。


本連載では「身体の使い方」を見直すことで、身体介助などの技術を改善することはもちろん、医療職の皆さんの日常生活にも応用していただき、心身の状態をいまより少しでもよい状態に向けていただくことをめざします。

 

手の甲から握る

 

初回は、ちょっとした身体の使い方の工夫で、力の出方が大きく変わることを体験してみましょう。筋力トレーニングなどとは違い、行ったその場で変化が実感できると思います(動画)。


2人組になって、向き合います。まず,手のひらを上に向けた状態で指を組み合わせます。そこに,相手が上から力を加えて押さえ込みます。この体勢では、かなりがんばって我慢しようとしても、そのまま相手に押さえ込まれてしまうと思います(fig1,2)。

  

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Fig1 受け手は、手のひらを上にして両手を組み合わせる

 

 

 

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Fig2 攻め手が上から体重をかけると、もちこたえるので精一杯


次に、手の組み方をfig3のように、「手の甲を握る」形に変えてみましょう。この状態で同じように相手に押さえ込んでもらうと、先ほどとは違って、簡単には押さえこまれなくなったのではないでしょうか。相手を跳ね返すことができた人もいるかもしれません。

 

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Fig3 受け手(右側)が手の甲を握る形にすると、

攻め手が体重をかけてもそう簡単に崩れない。


 

手の組み方を変えただけで、ほとんど腕力を使っている実感がないのに、相手の力を受け止めることができるようになりました。どうしてこのような小さな変化で、大きな違いが生じたのでしょうか。


それは、手のひらから組んだ時には腕力のみを使っていたのに対し、手の甲から組んだ時には全身の力が引き出されたからなのです。

 

全身の力を引き出す形

 

手のひらから組んだ時には,上から押さえ込まれるとどうしても腕力に頼ってしまいがちです。なぜなら、手のひらから組んだ形は、腕の力を使いやすい状態にあるからです。一方、手の甲から組むと、逆に腕の力は使いにくくなります(fig4)。この状態で上から押さえこまれると、腕の力が使いにくいため、自然と腕だけではなく、全身が協調して対応できるようになります。

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Fig4 (a)手の甲から握った形は腕の力が使いにくいため、

(b)かえって全身の力を引き出しやすくなる。

イラスト:三上修(看護学雑誌72巻3号、2008年より)

 

がんばり屋さんの人ばかりに仕事を押し付けていると、いくら能力の高い人でも過労で倒れてしまいます。1人に仕事を押し付けず、暇そうにしている人にも少しずつ働いてもらえば、全体として大きな成果をなしとげることもできるでしょう。身体も同じで、腕だけに負担をかけず,身体全部が参加するような工夫を行うことで、パフォーマンスをあげつつ、負荷を分散し、故障を防ぐことが可能になります。


身体の使い方を工夫することで、効率よく力を出し、なおかつ怪我や故障を防ぐ「一石二鳥」の効果を期待することができるのです。


このように書くと当たり前のことのようですが、実際にはほとんどの方が、こうした「身体の使い方の工夫」を行っていません。この連載では、皆さんの身体に眠っている力を引き出し、いまよりも効率よく身体を使っていただく工夫を紹介していきたいと思います。

 

<働く身体のつくりかた バックナンバー>

雑誌『精神看護』の人気連載『いつでも・どこでも・かんたんチーム医療』の著者、趙岳人先生が、小さな講演会を行います。明生病院(熊本県)での「トップダウン式ではない身の丈医療」「ゆる〜いチーム医療」「思いやる関係」「ロヒプノール・ハルシオン全面中止の取り組み」「かんたんSST」などの実践を解説いただいたのち、参加者の皆さんと趙先生とで楽しくディスカッションできる時間を設けたいと思います。

この会もゆる〜く、でも、楽しく学びのある時間にしたいと思っています。皆さんの参加、お待ちしています。

 

講師

趙岳人 先生(医療法人健生会明生病院・精神科医)

 

終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。 

 

日時

11月27日(土) 13:30-16:00

 

場所

医学書院 2階会議室(東京都文京区本郷1-28-23 TEL03-3817-5700)

 

内容

スライド講演60分⇒その後ティータイム30分⇒質疑応答60分

 

参加費

2500円(資料代、茶菓子代含む。当日受付でお支払いください)

 

定員

80名

 

参加申し込み方法

お申し込みはkankan@igaku-shoin.co.jpまで。

表題に「趙岳人先生講演申し込み」と明記のうえ、

・お名前

・ご所属名

・職種

・参加動機、趙先生に聞きたいこと

 

をお送りください。

折り返し、整理番号をお伝えいたします。

また、定員に達し次第、締め切りとなります

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3年で辞めないために(1)

人員不足、高度化する医療、モンスター化するクレーマー……。精神科医、名越康文先生が、過酷さを増す医療現場で生き残るための処方箋をお届けします。第1回は「3年で辞めないために」。どんな仕事でも職場になじむのは大変ですが、医療現場も例外ではありません。職場のカラーを見極めつつ、そこから首ひとつ出すのが生き残りの要諦です。

 

自分の所属する組織の「色」を見極める


学校を卒業して最初に現場に入るときというのは、言い古された表現ではありますが「期待と不安」でいっぱいですよね。現場でのリアリティショックでガツンとやられる人もいれば、最初から張り切りすぎてしまい、いわゆる5月病になってしまう人もいるでしょう。看護師さんの場合は、数か月で辞めてしまう人も多いと聞きます。そういう意味では、入職して最初の数か月をどう過ごすかというのは、その後、医療者としてやっていくための1つの大きなポイントだと思います。

現場で生き残っていくためにまず気に留めてほしいことは、「あなたの所属した集団は何色?」という問いを持つことです。

医療現場にかぎったことではありませんが、日本では、どんな集団も村社会化しやすい傾向にあります。色にたとえれば茶色とか緑とか、1つの色のなかでグラデーションを描くような集団が普通です。青の人、黄色の人、ピンクの人、白の人……と、カラフルな人たちが1つの職場に共存するなんていうことは非常に稀で、それこそ、『踊る大捜査線』みたいな映画の中だけだと思ったほうがいい。現実には職場全体が1つの空気感を共有して、1つの色に染まりやすい。

職場の中ではけっこう際立ったキャラクターに見える人も、外側からみると、実は、あるグラデーションのなかに埋没していて、さほど突出はしていないものです。そういうふうに、自分の所属している組織の色をできるだけ客観的に察知しておくこと。言葉で言うほど簡単なことではありませんが、実はすごく大切なことです。

 

頭ひとつ出す

 


病院の方針から飲み会の話題まで、その組織にまつわるあらゆる物事が、「色」を形作っています。その「色」に適応するということは、人間としても、職業人としても、すごく大切なことであるのは間違いありません。最低限、それができなければ長く仕事を続けることはできないでしょう。

ただ、そうやって職場のカラーに適応しつつも、そこから「頭一つ出しておく」という態度を、僕はお勧めしています。どれほどその職場がすばらしい雰囲気をもっていたとしても、完全にその中に浸るのはまずいんです。勉強する内容にしても、人間関係にしても、その職場内で完結するんじゃなくて、少しだけでも、外部にアンテナを伸ばしておいたほうがいいと思います。

趣味に時間をとるのもいいのですが、それが「仕事から逃避するための趣味」だと、効果が薄いように思います。それ自体が、長い時間のなかで、自分自身のコアに育っていくようなものを見つけて欲しい。そういう物を、仕事であれ、趣味であれ、人間関係であれ、職場の外側にもっている人は、長く仕事を続けられるように感じます。

一言でいえば、「所属」と「分離」です。こんなことを言うのは、やはり年功序列、終身雇用制が崩れつつあるなか、日本の組織では、同調性圧力がすごく高まっているように思うからです。「学校裏サイト」というものが社会的な問題になったこともありましたが、子ども社会から大人社会まで、どこにいっても強迫的な同調圧力が高まっています。どんなにすばらしい集団であっても、「そこだけ」に閉じこもっていると、息苦しくなります。自分が所属する集団の外側につながる回路を持っていない人にとって、これから先の時代を生き残るのは非常に苦しいのではないかと思います。

 

第2回につづく

<医療者のための心の技法 バックナンバー>

第1回 3年で辞めないために(1)

第2回 3年で辞めないために(2)

第3回 3年で辞めないために(3)

 

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執筆者プロフィール

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名越康文。1960年生まれ。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院精神科主任を経て、99年、名越クリニックを開業。専門は思春期精神医学。精神科医というフィールドを越え、テレビ・雑誌・ラジオ等のメディアで活躍。著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『薄氷の踏み方』(甲野善紀氏と共著、PHP研究所、2008)などがある。

オンナに効く漢方ってあるんです(前口上)

 
女性と漢方…と言われて、真っ先に思い浮かべるのが「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」ということわざです。一般には、美人を花にたとえた表現といわれますが、ある漢方の先生が、これには漢方の生薬が織り込まれているよ、とおっしゃるのを聞いて、本当だ!と驚きました。
 
芍薬は漢方でもっともよく使われる鎮痙薬であり、生理痛に対する処方によく入っています。牡丹は根の皮を「牡丹皮」として使用し、月経困難に対してよく処方されます。百合はやはり根の部分(鱗茎)を使用します。ユリについては、百の症状が合わさったような不定愁訴症候群を百合病(ひゃくごうびょう)と呼び、その百合病に効く生薬だからユリに百合の漢字が当てられた、という説があります。ということは、「立てば芍薬…」には、女性は生理痛・月経困難・不定愁訴に悩まされる生き物だ、という含意があるようにも思えます。ちょっとうがった見方ですが…。
 
落語にはオフィスレディは出てきません
 
東京のど真ん中で外来をやっていると、普段は肩で風を切って歩いているようなオフィスレディを診る機会が多いのですが、そういう患者さんたちの訴えや症状には、ある傾向があるように思います。これは私の漢方診療におけるバイアスに左右されているのかもしれませんが、症状の訴え方が一見ばらばらで、非常にバラエティに富んでいるにもかかわらず、気が付いたらわずか数種類の処方のどれかを選択しています。興味深いことに、同じ東京でも、オフィスレディがほとんど来ないところで外来をやっていると、これらの処方を出す頻度がぐっと減ります。そう考えると、よく使われる漢方処方や生薬の薬効に、現代女性のライフスタイルの特徴を知るための隠されたヒントがあるような気がします。
 
私は落語を聞くのが大好き(特に上方のものを…)です。落語を聞くと昔の日本人がどんな姿だったかの描写がされています。たとえば、旅籠でパートタイム出稼ぎをしている農家の女性はこうです。「目が小そうて口が大きい、頬べたが高うて鼻が低い、“おたやん(お多福)こけても鼻を打たん”ような典型的な日本美人」「足がまた大きゅうございます。手とそろいになっております。十六文の甲高。ただ今のサイズで言うと30は超すんじゃないでしょうか、大きな足でございますよ!こんな大きな足に合う足袋がございませんからね、年中素足でございます。水にぬれては土を踏むものでございますから、踵へさしてアカギレというものが切れるのでございます。アカギレ・シモヤケ、これも懐かしい言葉になりましたねぇ…」「おなかが前へこう、ボぉーっとせり出して、おしりがこう…あの、なんですよ、この辺はお尻というような生易しいもんではありません。ここらを、オケツというんでございましょうね。ケツもケツ、今ゲツ来ゲツ再来ゲツ、伊達の大傑、天下の豪ケツ、ケツ喰らえ、いかなる裁判官もこのケツだけには判ケツを下しかねたという…」
 
最近はこういう方を東京近辺でお見かけすることはほとんどなくなりました。スレンダーで色白で、眉目秀麗の美人の方が本当に増えました。美人が増えるのは男性にとっては喜ばしい話ですけれども、こんなに増えたのはここ10年15年ぐらいの話じゃないでしょうか?その裏には、現代日本女性の急激なライフスタイルの変化が隠されていると私はにらんでいます。
 
がん研究センターの統計では・・・
 
 国立がん研究センターから、日本人女性で大腸がんが増えているという統計が出されました。それによれば、平成16年以降、結腸がんと直腸がんを合わせた大腸がんの死亡数は胃がんを抜いて第1位になりました。大腸がんが増えた要因の第1に挙げられたのは、食事の内容でもなく、便秘でもなく、なんと運動不足でした。
 
たしかに、考えてみれば、現代日本女性は、人類史上まれにみる「運動不足集団」かもしれません。落語に出てくる農家の女性は、腰まで田んぼに浸かって田植えをし、雑草を刈り、収穫も一切手作業でした。洗濯一つとっても洗濯板1枚ですべてやっていたし、水汲みの手間といったら!井戸が近くにあればまだいい方で、遠いところまで水汲みに行っていた人も多かったでしょう。料理もお風呂も火を起したり薪を割ったりするのがひと作業、子沢山の大家族では戦争状態だったでしょうね。
 
こういう状況では、毎日重労働なので、自然と食事の量も多かったろうし、たくましくなって快眠快便、結果が、手も大きい足も大きい、おなかもオケツもでっかい女性…ということになります。ところが、今はどうでしょう?毎日お仕事は田んぼ…じゃなくて、満員電車に押し込まれての“痛”勤。座れれば、前夜の疲れがたたってコックリコックリするのかもしれません。仕事も事務作業なら座ったまんまのことが多いだろうし、重い荷物を持って…という作業もほとんどないのでは?立ちっぱなし、というのはあるかもしれませんが、山を越えて隣の村まで徒歩で往復…なんてことは都会の生活ではあろうはずがありません。
 
 
当たり前ですがライフスタイルは変わっています
 
 
昔に比べ、動物性脂肪や蛋白の摂取量が増え、ビタミンもわりあい気を配っていますし、なにより日光に当たらないので、お肌はとってもきれいです。軟らかい食事が多いと顎の発達がほどほどで、顔もほっそりします。体つきも華奢なひとが多いのは、運動不足以上に、痩身をもてはやすメディアに影響されている、という事情もあるのかもしれません。
 
おそらく数千年の間、日本は農耕社会で、落語に出てくるような女性のライフスタイルが主流でした。人間の体のつくりも、そういうライフスタイルにゆっくりと適応して「進化」してきたはずです。ところが、そのライフスタイルがわずか数十年でひっくりがえってしまった。そうなると人間の体は不適応を起こすはずです。そのひとつの現われが「大腸がんの増加」であったのではないか?と私は考えています。
 
さて、ながい前口上になってしまいましたが、次回はこうした社会の変化にさらされている女性のみなさんに効く漢方について、少しずつ紹介していきます。

このうぇぶさいとは医学書院の看護出版部っていうところがつくってるんだって。

どんなところかよくわかんないから潜入してみることにしたよ。

 

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 みーてぃんぐすぺーす、ってとこにたくさん本が積まれてる。

昔の雑誌らしいけど、何に使うんだろう。

とにかく、これじゃあみーてぃんぐなんてできやしないね。 

『高齢者救急』ってこんな本
 

医学書院より『JJNスペシャル 高齢者救急 急変予防・対応ガイドマップ』が発売になりました。高齢者のケアをしていて「何かおかしい」と思っても「年のせいかな・・」と片付けてしまったり、「ほんとに帰して大丈夫かな・・」と思うようなケースはありませんか?

この本では、これまであまり語られなかった高齢者の“微妙な”変化や、“まずこれだけは気をつけよう”という点を解説していきます。高齢者の対応がなんとなく不安だったり、困っている看護師さんにぜひ読んでいただきたい一冊です。


著者の病院までいってQ(仮)


Qこの本の最もこだわったポイントはどこですか?

 

高齢者対応が苦手という人の原因の多くは「あいまいさ」であると思います。この「あいまいさ」を何とか文章として明確にして、スッキリさせようと考えました。自分が老年医学の研修をして指導医から教わったと感じるほぼすべての事を書いたつもりです!!

 

 

Qこの本はどんな人に読んでもらいたいですか?
 

病棟や救急外来で高齢者の患者さんを診て、どうしたらよいのだろうと困っている看護師さん。高齢者診療が苦手な研修医の先生にもぜひ。

 

 

Qこの本を作るうえで一番苦労したことは?

 

最初は、多くの方との共著でというお話があったと理解していたのですが、打ち合わせに行くと、医学書院の編集の人に「ぜひ先生おひとりで」と平然と言われました。「僕には無理です」とお断りしたのですが、「まあ、まあ、先生、普段感じていることを少しずつ文章にしていけば大丈夫ですから…」とはぐらかされ、時にはおだてられ、何とか出版にこぎつけました。

恐るべし、医学書院!!

 

 

Qところで、最近先生が一番ハマっていることは何ですか?
 

クラシック(オーケストラ)の演奏会に行くのがとても良い気分転換になっています。自らは音を出していないのに、素晴らしい音楽を紡ぎだす指揮者という存在は本当に素敵だと思います。生まれ変わったら指揮者を目指して勉強したいです(?)。

 

 

Q読者に向けて一言メッセージを
 

我々も必ず年をとり高齢者になります。

自分たちの将来の安心のためにも高齢者に優しい医療者仲間を増やしていきましょう!!

こんな本もあるよ!

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『医療者のための伝わるプレゼンテーション』

学会発表、多職種カンファレンス、患者教育…

さまざまなプレゼンテーションの場で、医療者の「伝える力」が求められています。

プレゼンテーションを成功させるために重要なのは、実施前のデザイン。

そのデザインから、発表後の評価までを5つのステップに分けて解説します。

 

101007pre1-1.jpg3+2STEPでプレゼン力UP!
 

はじめてプレゼンテーションを学ぶ人でも、経験はあるけどスキルを伸ばしたいという人でも、まず、どこから手をつけていいのかわからないという問題があると思います。

プレゼンテーションをただ行うだけならスキルを知らなくてもできますが、効率的に成長するためには、全体的枠組み、つまりフレームワークが重要となります。

設計図なしでは家を建築できないのと同じように、枠組みなしでは上手なプレゼンテーションはできないんです。

逆に言えば、枠組みの作り方さえ知れば、これまで苦手だった人も、伸び悩んでいた人も、効率的に成長できるようになります!

 

臨床現場でも、プレゼン力は役に立つ!


 プレゼンテーションスキルは、学会などでの発表以外でも役に立ちます。

医療は、患者さんをはじめとする「人」との接触をベースなりたっていますよね。

昔の武士は刀や武術で交わったかもしれませんが、今の時代、人と人とを繋ぐのは言葉がベースになっています。

そしてその言葉を、いかに的確に伝えるかというのがプレゼンテーションです。

そういう意味では、医療の世界は、毎日がプレゼンテーションの実践の場だと思います。

 

プレゼンが下手だとこんな問題も…


 私がプレゼンテーションスキルを学ぼうと思ったのも、臨床での失敗体験がきっかけでした。

研修1年目のときなんですが、たとえば

 

「この点滴を6時間おきにお願いします。

 点滴1本を1時間で落としてください」

 

といったお願いを、口頭や指示簿に書いて伝えることは、医療者の日常業務ですよね。

 

私はそれが、本当に下手だったんです。

指示がわからないといわれて、再度説明を繰り返しているうちに、仕事が滞ってしまうことが少なからずありました。

結構、深刻な問題になるレベルだったんです。

看護師から「先生の言ってることよくわかんないよ!」って言われるだけじゃなく、

指導医からも「ちゃんと的を得て話せ」と言われました。

 

それがトラウマになっていて、今でも時折その指導医の顔が脳裏に浮かぶほどです(笑)。

 

短い時間で、重要な情報は逃さず、効果的に患者さんの重症度を伝えるためにも、プレゼンテーションスキルが役立ちますよ!

 


101007pre_prof.jpg齊藤 裕之 先生 (同善会クリニック副院長) profile

川崎医科大学附属病院総合診療部、麻生飯塚病院(2003年ベストレジデント受賞)、奈義ファミリークリニック、東京医科大学病院総合診療科助教(院内ベスト指導医を2回受賞)を経て現職。
2007年より、家庭医療学会指導医養成セミナー、日本家庭医療学会学術集会、医学生・研修医のための家庭医療学夏季セミナーなどで「プレゼンセッション」を開催し、好評を博す。

 

 

<戻る 

「学会やカンファレンスで話すのって緊張する」

「患者さんのことを報告したら医師から"要領を得ていない"と怒られてしまった」......。

そんな看護師に必要なのが"プレゼンテーション能力"!
 

...といわれていてもどうやれば上手くなれるのか。 

 

そんな看護師のために、齊藤先生が無料でセミナーをやってくれるらしいよ!

某看護管理学会と同じ会場だから、ついでに寄っちゃおうかな♪

 

第141回医学書院看護学セミナー
“伝える”ためのプレゼンテーション技法 ──5 step approachのすべて

 

■ 講師
齊藤 裕之 先生 (同善会クリニック副院長)

■ 日時
10月26日(火) 17:30-19:30

■ 場所
新潟県新潟市・朱鷺メッセメインホールA

■ 受講料
無料

■ 定員
300名

■ 参加申し込み方法
お申し込みは、こちらのフォームから!

(※外部PCサイト(「医学書院看護学セミナー」事務局 株式会社東広社)に移動します。)

 

[ 後日セミナーレポートを掲載予定です。]

 当日参加される方は、ぜひ感想をつぶやいてみてください! #5step_pre

 

>つづきを読む

〜 魔法のお鍋 〜
 

2交代、3交代のお仕事をしているみなさま、食事に手を抜いてませんか?

かつての私も体内時計が狂いっぱなしだったので、お腹が空くとついついコンビニのお弁当やお菓子やアルコールで済ませてました。一人暮らしをしてるとお野菜不足にもなりますよね??

 

そんなみなさまにおすすめ♪
 
私の救世主をご紹介しますね!

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ルクルーゼhttp://www.lecreuset.co.jp/のお鍋ちゃんです!

お値段は少しお高めですが、かわいくって、色やサイズも豊富!お家に1つあると便利です!保温性もバッチリで、時間のかかる煮込み料理も簡単にできちゃいますよ!

 

〜 おすすめ簡単レシピ〜

『なんちゃってラタトゥユ』

 

作り方はいたって簡単!!

 

1. 材料を切ります(茄子、舞茸、パプリカ、ズッキーニ、たまねぎ、トマト缶)。

   冷蔵庫の残り野菜でOKです!トマト缶に残ったスープもお水を少し入れてお鍋に入れちゃいましょう!

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2. 1.をお鍋に入れます。コンソメキューブと、あればローレルも。

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3. 中火から弱火にかけます。

 

4. 沸騰したら火を止めます。

 

5. 少し寝かすと美味しくなるので、その間にバスタイム♪♪

  保温性が高いのでじっくりお野菜が柔らかくなっていくんです!!

 

30分くらいゆっくりバスタイムを楽しんだら、なんちゃってラタトゥユができてます!!

もう1度火を通して、塩・こしょうで味付けしたらできあがりです。

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パンと一緒に食べても美味しいし、カレーのようにご飯を添えてもOKです。

残ったらそのまま冷蔵庫へ!

一度冷めても美味しいので、翌朝食パンの上にチーズと一緒に乗せてトースターへ!簡単朝食のできあがり!!

 

お野菜をたっぷり摂って、キレイになりましょう!!

 



ぴろりん Profile

アメリカ テキサス州ダラス生まれ。大学入学の際に帰国。
大学卒業後、出版社にて文芸書、新書、美容雑誌、漫画編集等に携わる。
2010年3月退職後、映画・映像コラムやファッション誌のディレクションを行う。趣味はジョギング、食べ歩き、自分磨き。
天真爛漫な性格な為に有名人、無名人問わず友達多し。横浜市在住。

【はじめまして!】
長年編集者として働き、24時間勤務も当たり前の生活をして参りました。
でも、女性として生まれた以上、忙しくても時間がなくても『キレイでいたい』といつも考えています。
簡単!ラクチン!心も体も潤う!!そんなお話ができたらと思います。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!!



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