2010年11月アーカイブ

第2回  師長は看護部の要(かなめ)

 

前回は、相手が患者という生き物であるか、組織という生き物であるかの違いだけで
物事を進めるプロセスは看護過程も看護管理も同じなんですよ〜ということをお伝えしました。
どちらも対象が違うだけで、マネジメント(=やりくり)は同じ。

 

ただ、別の見方をすれば、対象が異なるわけですから、
臨床現場のスタッフと看護管理者は、異なる次元で仕事をしなくちゃいけない、
ということも同時に言えるんです。

 

 

マネジャーは縁の下の力持ち

 

臨床における実際的な看護ケア、すなわちクリニカルケアは、対患者に対するマネジメントです。これがスタッフナースの仕事。

 

これに対して読者のみなさん、特に師長以上の役職についたみなさんは、自分が担当している部署(組織)に対するマネジメントがお仕事です。すなわち、皆さんは「マネジャー」なのです。

 

マネジャーというと、アタマに浮かぶのは、中学や高校の部活のマネジャー。

 

『もしも高校野球のマネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』、通称「もしどら」という本がヒットしましたが、部活動のマネージャーだって、マネジメントという点では同じです。

 

例えば、サッカー部のマネージャーの役割は、大会での優勝といった目標に向って、部員であるサッカー選手がその力を最大限発揮できるよう直接的、間接的、さまざまな環境づくりを行うことです。

 

師長も同じです。部署の目標に向って、スタッフたちが自分たちの持つ専門性を十分に発揮できるよう、業務環境、労務環境を整え、スタッフの能力開発、人財育成を行います。そういう地道な、縁の下の力持ち的立場が、師長本来のマネジャーとしての立ち位置です。

 

師長の仕事は現場の下準備

 

でも、実際の看護部の組織って、なかなかそういうふうにはなっていません。
よく見るのは、看護部長が頂点で、スタッフが底辺のピラミッド型看護組織です。
でも、よく考えてみてください。

 

看護部という組織の目標は「質の高いケアを提供すること」ですよね。そして「質の高いケア」を提供するのは誰か、といえば師長でも、看護部長でもなく、スタッフです。だとすれば、クリニカルケアのプロであるスタッフが、余すところなく専門性を発揮できるような組織作りが必要です。しかし、底辺にスタッフが位置するピラミッド型の組織では、どうしてもスタッフの力を十分に発揮することはできません。

 

では、スタッフが質の高いケアを提供できるような組織とは、どのような形がよいのでしょうか。

 

まず、看護部長は、組織全体を俯瞰しつつ、方向性を決めていくポジションにいなければいけません。つまり、ディレクションのプロとしての役割、Director of Nursingでなければならないのです。

 

これに対して、師長の役割は、看護部長からのディレクションに耳を傾けつつ、直接的に患者と関わる最前線にいるスタッフの仕事を陰ながら支えること、です。

 

冬季オリンピックのカーリングにたとえるなら、ストーンを投げるのは看護部長、ストーンが目標にとどくように一生懸命ブラシでこすっているのが師長です。ストーン同士があたるサークルのなかはいわば「現場」ですが、看護部長や師長はそこに直接介入しません。その下準備をするだけです。

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「ピラミッド型のヒエラルキーをつくらない」「マネジャーは現場に直接介入しない」。これが、スタッフの力をいかす組織作りのポイントです。

 

でも、世の中には、「あたしが師長よ! スタッフよりもあたしのほうが力量が上なんだから!」という思いが、言葉には出なくても行動に出るタイプの師長さんが少なくありません。

 

読者の皆さんには、そんな師長さんになってほしくありません。師長さんの役割は、スタッフが気持ちよく仕事ができるようにする環境づくり。威圧感を与えたり、職場を牛耳っても、何もいいことはないのです。

 

師長が離職率を左右する

 

威圧感を与えていては、スタッフは萎縮してしまい、人財育成に逆効果。実は、これにはデータもあるんです。ある病院の離職率を調べたところ、師長によって、離職率に違いがあることがわかりました。さらに追跡調査をすると、離職率の高い師長が異動すると、異動先の部署の離職率が上がることもわかったのです。もちろん、その逆に、離職率の低い部署の師長は、異動先でも離職率が下がる傾向が見られました。

 

つまり、病院全体の離職率といっても、実は部署の雰囲気、師長の力量によって左右されている、ということです。職員は病院というより、ある部署で毎日の仕事をしているわけです。離職するかどうかは実は、その部署の雰囲気や労務環境によって大きく左右されるわけですね。

 

「病院の要は師長」ということを裏付けるようなデータだと思いました。師長さんたち、スタッフが忙しいからって、現場の仕事を手伝っている暇はありません。その場ではスタッフから感謝されるかもしれないけれど、小手先だけの対策では職場環境の改善はありませんよ!  

がん患者の食事というと、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。がんによる体力の消耗や化学療法の副作用によって、徐々に経口摂取では十分な栄養を取ることができなくなり、経管栄養や静脈栄養に移行する。そうしたイメージが強いのではないでしょうか。

 

しかし、患者に合わせたレシピを工夫していくことによって、口から食べる喜び、楽しみを続けることは可能です。この連載では「口から食べることを諦めない」をテーマに、当院で実際にがん患者さんに提供しているレシピを紹介します。

 


レシピNo.001 白身魚入りふわふわ卵焼き

 

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対応
嚥下困難、食欲不振などの方を元気付けるレシピ。ちょっと変わった卵料理として提供しつつ、多くの食材を摂取できる。魚の匂いが気になって食べられない方にもお勧め。

 

レシピの背景
このレシピは、下咽頭癌術後、放射線療法施行後、咽頭痛、頚部痛、嘔気、食欲不振のあった患者さんに提供したものです。気管切開のため、会話は筆談で行いました。

 

調理のポイント
気管切開を行っているため、食事を飲み込む時に切開口から食べ物が出てしまうことがありました。これを防ぐため、食べ物の固さや形態、口腔内でのまとまりやすさに気を配る必要がありました。

 

管理栄養士としての患者さんとの関わり
医師から抗がん剤治療開始の説明を受けた不安から、食欲不振となりました。受け持ち看護師からの情報では、そのときの気分で、食べたり、食べなかったりするようになったとありました。患者の気持ちを少しでも和らげたようと、病棟訪問の頻度を増やしたところ、会話も次第に多くなり、自分のことを話されるようになりました。

この際、患者さんの嗜好、家でよく食べていたものなどを聞き、その後の献立の参考にしていきました。ただ、食欲のない時には、食べ物のことを聞かれるのは患者さん負担になるため、体調、表情には充分気を配りました。食欲がなく、食事をほとんど食べていないため、ふたを開けたときに「美味しそう」と喜んでもらえる、見た目のよい料理をめざしました。

 

レシピ(3人分)
一人当たりエネルギー:303kcal たんぱく質 11.7g  塩分1.2g

 

<材料>
 白身魚 100g(青魚は、匂いが強く不向き)
 卵 2個
 ほうれん草の葉先 60g
 人参 30g
 マヨネーズ 30g
 薄口しょう油 10cc
 生クリーム 15g
 だし汁 90cc(かつをと昆布。生地の固さを調整しながら入れる)
 片栗粉 6g(小さじ2)

 

<作り方>
 (1)魚は蒸してほぐす。人参と茹でたほうれん草はみじん切りにする。
 (2)ボールに卵を割りほぐし、(1)の材料と調味料、だし汁を加えて混ぜる。
 (3)アルミカップに入れ、コンベクションで蒸し焼きにする。

 

フライパンで作る場合は、卵液に入れるだしの量を多めにして、スクランブルエッグを作る要領で卵を炒って餡かけにする。だしの量でしっとり感が違う。

 

患者さんの反応
患者さんから「ふわふわしていて食べやすかった。飲み込みも大丈夫だった。味もしっかりしていて美味しかった」という反応がありました。

 

アレンジのアイデア
食欲がなく食べる量が少ない患者には、一口でいろいろな食品が食べられるように野菜をみじん切りにしてたくさん入れてもよいでしょう。カロリーアップのために、生クリームやマヨネーズあるいは、必要な方はマクトンオイル※を入れてもよいと思います。マヨネーズを入れると味がしっかりして、食欲のない時にも食べやすいでしょう。

 

お役立ち製品 

マクトンオイル(キッセイ薬品工業)・・・体内で速やかにエネルギーに代わり蓄積脂肪になりにくい液体油脂。油っぽさが少なく、口当たりがさっぱりしている。

 

感想はツイッター@igskankan2010(ハッシュタグ#ganrecip)までどうぞ!

【プロフィール】

川口美喜子

島根大学医学部附属病院臨床栄養部副部長・管理栄養士。1981年大妻女子大学家政学部卒、1993年、島根医科大学研究生(第一内科)修了、博士(医学)学位取得。島根大学医学部附属病院栄養管理室室長を経て、2005年より島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働に携わる。2007年より現職。 病院栄養士になってから、食事に悩む患者さんのために患者さんに寄り添える栄養士が必要だと感じていました。そんなとき、院内で事務職に就いていた青山栄養士に出会い、共に歩んでくれるように説得しました。青山栄養士は辛い思いをしながらも、楽天的で無頓着な私と活動を共にしてくれました。最近は、私よりも強く逞しく大きな心で食の奥深さを語ってくれます。親子ほど年の離れた私たちで、患者と家族の体と心を和ます命を繋ぐ病院食を考えていこうと思います。

青山広美

日清医療食品(株)島根大学医学部附属病院事業所・栄養士。2004年、島根県立女子短期大学卒、2004年日清医療食品(株)入社、現在にいたる。 初めてがん治療に苦しむ患者さんに会った時、「今は食欲がないから何もいらない」「治療が辛くて食べる気分にならない」「食べられないから来なくていいわ」と言われることばかりでした。「食欲はないけど、私は生きるために食べたい」という言葉に驚きとショックだったことを覚えています。毎日が特別な食事ではないけれど、患者さんのその日、その時食べたい希望に合わせた調理は、人を思うやさしい料理になると思います。

  ■ 介護食&栄養補助飲料プレゼント

と、いうわけで学会に行けなかった方、学会には行ったけれど企業ブースには立ち寄っていない方のために今回、以下の4社より商品をご提供いただきました。

病院、施設、在宅で使用を検討されている方はぜひこの機会にお試しください。

 

応募期間

11月19日(金)〜 12月10日(金)

 

応募方法

・お名前

・メールアドレス

・職種

・経験年数

・希望するプレゼント(下記(1)(2)(3)(4)(5)のいずれかを番号で) 

・プレゼント送付先の郵便番号、ご住所 (施設・病院でも可)

を明記のうえ、メールにて

kankan@igaku-shoin.co.jpまで。

 

ご応募、お待ちしております!

 

当選の発表

プレゼントの発送をもって、代えさせていただきます。

 

 

30本セットを10名様に!

kracie06.jpg (1) Kracie 『アコロンDK』(アルギニン強化飲料)

〜入院患者様やご高齢の方の活き活きした日常生活のために〜

「アコロンDK」は、ミネラルやビタミンなどをおいしく摂取していただけるように工夫した、みかん味の栄養補助飲料(亜鉛)です。

●亜鉛、鉄、銅、セレンなどの微量元素やビタミンを配合。

●1パック(125mL)にアルギニン3,000mg配合。

●高麗ニンジン、サンショウ、ショウガから抽出した植物エキスを配合。

■1ケース(125mL×30本)希望小売価格:7,875円(税込)

詳細はこちら (外部サイト Kracie 『アコロンDK』 に移動します)

 

30本セットを20名様に!

(2) kracie07.jpgKracie  『アコロンDKバランス』(ビタミン・ミネラル補給飲料)

〜ビタミン・ミネラルの栄養補給を必要とする方々のために〜

「アコロンDKバランス」は、栄養素のバランスに着目したビタミン・ミネラル配合飲料です。不足しがちな栄養素を摂取したい方、食欲が低下している方、栄養バランスをととのえたい方、また高齢者の方や寝たきり患者さまなど、栄養サポートとして幅広くご利用いただけます。さっぱりと飲みやすいリンゴ味の栄養補助飲料(亜鉛)です。

●ビタミン・ミネラルをバランスよく配合。

●1パック(125mL)にアルギニン1,000mg配合。

高麗ニンジン、サンショウ、ショウガから抽出した植物エキスを配合。

■1ケース(125mL×30本)希望小売価格:4,725円(税込)

詳細はこちら (外部サイト KracieアコロンDKバランス』 に移動します)

  

2.5g×50包入り1袋を20名様に!

1190-101.jpg(3) ヘルシーフード トロミ調整食品『トロミパワースマイル

食べ物や飲み物に混ぜるだけで簡単にトロミがつけられる「トロミパワースマイル」。少量で強いトロミがつくので経済的!ダマができにくいので、どなたでも簡単にトロミがつけられます。苦味やえぐ味がほとんどないので、飲み物のおいしさを損ないません。手早くしっかりトロミをつけたい方におすすめのトロミ調整食品です。

2.5gスティック50包入りと、700g、2kgの袋入りがあります。

■1袋(2.5g×50包)希望小売価格:1,302円(税込)

詳細はこちら (外部サイト ヘルシーフード株式会社に移動します) 

  

3種×各1パックを10名様に!

maruhanichiro.jpg (4) マルハニチロ食品 家庭用介護食『やわらか食シリーズ
 

『簡単!おいしく!やわらか和食 ポークムースかつ和風煮』『簡単!おいしく!やわらか洋食 ハンバーグムース洋風ソースがけ』『簡単!おいしく!やわらか中華 餃子ムース中華ソースがけ』をご提供。

料理のおいしさをそのままに、風味豊かに仕上げました。
主菜・副菜・和菓子の豊富なラインアップで、お食事に「おいしい幸せ」を提供します。
すべて電子レンジもしくは流水解凍のため、手間をかけずに調理できます。

 

●区分3

●電子レンジ調理もしくは流水解凍

詳細はこちら (外部サイト マルハニチロ食品 家庭用介護食『やわらか食シリーズ』 に移動します)

  

3種×各2本セットを10名様に!

(5) 明治乳業 『明治メイバランスブリックゼリー brick_jerry.jpg

ストロベリー、あずき、杏仁豆腐の3つの味のゼリーで、エネルギー、たんぱく質、亜鉛がおいしく摂取できます。

●1パック(220g)あたり350kcalのエネルギーが摂取できます。

●1パック(220g)あたりたんぱく質12g、亜鉛6mgを配合しております。

●溶かしたあと再度冷やして固めることで、お好みの形にして盛り付けることができます。

■1ケース(220g×24本)希望小売価格:5,040円(税込) 

詳細はこちら (外部サイト 明治乳業(株) 栄養ケア倶楽部 『明治メイバランスブリックゼリー』 に移動します)  

 

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毎年恒例の日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会。

第16回となる今年も、「脳卒中」「口腔ケア」「食形態」「栄養」「チームアプローチ」「地域連携」など様々な項目について、講演やポスター発表が行われておりました。

 

■ 口腔ケアと誤嚥性肺炎

100903_01.jpg 看護師が関連する分野で多く目に入ったのは、誤嚥性肺炎について。

色々なテーマの講演のなかで触れられており、摂食・嚥下リハビリテーションを進めるにあたってのトピックスであることが感じられました。

1日目の最後に参加した交流集会「摂食・嚥下看護認定看護師に聞いてみよう」では、いくつかのテーブルに分かれて、相互交流しやすい形で摂食・嚥下看護のテーマの発表がなされましたが、そこでも「誤嚥性肺炎の予防」目的での口腔ケアについて触れられていました。

口腔ケアのやり方や、歯周病と誤嚥性肺炎やVAP、がん、糖尿病といった全身疾患の関係について興味ある方はぜひ『看護学雑誌』2010年9月号をご覧ください。

個人的に気になったものとしては、2日目の「口腔ケア・咽頭ケア」のいくつかの講演。咽頭ケアについての発表数はまだ少ないですが、会場内の立ち見はおろか会場外のモニターを見るのも大変な人だかりでした。皆さんの興味も高いことが伺えます。

 

■ 食形態と栄養

100903_02.jpgまた、「食形態」は講演やポスター発表の数も多く、患者さん一人ひとりにあわせた食べやすい食事を提供することへの関心の高さがうかがえました。

「栄養」の講演も、管理栄養士さんや看護師さんの注目を集めていました。患者さんの栄養状態は、摂食・嚥下のリハビリテーションを成功させるためだけでなく、他の様々な要因にも結びついているので、興味のある方は多いのではないでしょうか。

ちなみに、弊社の、栄養サポートの基本がこの1冊でわかる臨床栄養ガイドの決定版 『JJNスペシャル 「治る力」を引き出す――実践!臨床栄養』も会場持ち込み分は売り切れ。アセスメントやモニタリングではとくに何をみたらいいのか? 輸液・栄養剤投与を安全確実に実施するには? 合併症やトラブルの予防・対策は? などなど、NST活動のみならず、“毎日の栄養管理”にも役に立つビジュアルな実践書です。興味のある方はぜひお手にとってみてください。

 

■ 企業ブース

100902report.jpg「食形態」「栄養」への関心の高さは、大きな学会につきものの広大な企業ブースへ行っても実感できます。それぞれ試食ができたり、営業の方が製品の特徴について詳しく教えてくださるので、患者さん一人ひとりに合わせた食事を検討するのに役立ちます。

病院にも業者の方がお越しだとは思いますが、多くのメーカーが一箇所に集まっているので比較もしやすく、新しい良いものを見つけられるかもしれません。学会へ行ったら、講演だけでなく企業ブースにも訪れてみると楽しいのではないでしょうか。

 

[→とろみ・介護食・栄養補助飲料プレゼントページに続く]

日々時間に追われ、せっかくの休日もおうちでダラダラなんてことありませんか?
 

私はあえて時々“何もしない休日”を作るようにしています。


うっかり何もせずに過ぎてしまうと残念な気持ちになりますが、意識的に羽根を伸ばすとそれだけで贅沢な1日をすごせます。

そんな日におススメするのが、名付けて「姫さまバスタイム」。

 

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目覚まし時計をかけずにゆっくり起きて、好きな時間にお風呂に入ります。
好きな香りの入浴剤を入れてぬるめのお湯で半身浴!!
 

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お風呂の蓋を半分だけ閉めて、読みたかった本を読んだりしています。
考えことをしたり、好きな歌を歌ったり・・・。
 

体が温まったら、ボディスクラブなどを使ってマッサージ!!
私はホットマッサージソルトを使っています。
 

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お風呂あがりにはボディクリームをしっかり塗って保湿も忘れずに!!
優しい香りのボディクリームなら、みなさんのお仕事にも差し支えないのでは?
 

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お風呂から出たら、好きなDVDを観たり、美味しいスウィーツを頂いたり、
慌ただしい日々を過ごす毎日だからこそ、ゆったりした時間って大切かもしれないですね!

 

疲れたときにはお姫さまみたいに  のんびり、素敵な香りに包まれてみてください♪ 

 


ぴろりん Profile

アメリカ テキサス州ダラス生まれ。大学入学の際に帰国。
大学卒業後、出版社にて文芸書、新書、美容雑誌、漫画編集等に携わる。
2010年3月退職後、映画・映像コラムやファッション誌のディレクションを行う。趣味はジョギング、食べ歩き、自分磨き。
天真爛漫な性格な為に有名人、無名人問わず友達多し。横浜市在住。


無音劇場


信田さよ子 (原宿カウンセリングセンター所長) Profile

1946年岐阜県生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了後、駒木野病院勤務などを経て、現在に至る。臨床心理士。アルコールをはじめとする依存症のカウンセリングにかかわってきた経験から、家族関係について提言を行う。
著書に『アディクション・アプローチ』『DVと虐待』(ともに医学書院)、『母が重くてたまらない』(春秋社)など多数。最新著に『ふりまわされない』(ダイヤモンド社)、『ザ・ママの研究』(よりみちパン!セ、理論社)がある。 


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[前回まで]

健康そのものだったポスカン(ポスト還暦)の売れっ子カウンセラーの嘉子は、ある日心臓がギュッと締め付けられるような違和感を覚えた。あわててH医療センターを受診すると、即刻検査入院を命じられた。

 

「今度新しく入院なさる木川さんです。よろしくお願いします」
担当の女性スタッフが、病室の入口に立ち、明るい声であいさつした。たぶん、患者が新しく入院するときのしきたりなのだろう。
午前10時近いというのに、カーテンは閉じられたままである。嘉子は小さな声で「よろしくお願いします」と言い、見えない相手に向かっておじぎをした。嘉子の挨拶に対して、返事はおろか身じろぎの気配すらうかがえなかった。
カーテンを開け放てば、病室のすべては見通せるだろうし、窓の外の景色も見えるはずだ。しかし室内は天井から吊るされた四枚のクリーム色の布できっちりと四分割されている。
カーテンが四つのベッドを包囲しているが、よく見ると、足の部分と天井近くは網状になっており、床に立つ足だけは見えるようになっている。姿は隠れていても音は聞こえてくるし、足の数からベッドサイドに何人いるかが把握できるようになっている。
嘉子はシーンとした病室を観察しながら、まるで想像力を掻き立ててくれといわんばかりの仕掛けだと思った。

 

記憶の病院

 

H医療センターの入院予約時に、医師から個室か四人部屋かを問われたとき、嘉子は迷わず四人部屋を選んだ。お金がもったいないのがいちばんの理由だったが、ひとりでぼんやり横になっているより、大部屋で患者仲間がいたほうがずっと楽しいことをよく知っていたからだ。
嘉子自身二回の入院経験がある。ふたりの子どもをいずれも帝王切開で出産したので、それぞれ十日間入院した。個室の入院だったので、家族が面会に来ないときはひどく寂しかった記憶がある。
そのとき床頭台に置いたラジオからイヤホン越しに聞こえてきたのが、デビュー直後のオフコースの「さよなら」だった。一九七四年のことなのに、今でもはっきりと覚えている。
嘉子のふだんの楽天的な話しぶりからは想像できないが、過去に夫と二人の子ども、つまり家族全員が別々の時期に命の危険にさらされるような事態に遭遇し、長期にわたり入院をした。そのつど毎日のように病院に通ったので、実は嘉子は入院生活のベテランといってもいい。
娘の真衣の一か月の入院経験は鮮烈な記憶となって今も残っている。
先天性心疾患だった真衣は、小学校一年で手術に踏み切った。心臓専門のA病院は、一九八〇年代の日本では最先端の治療技術を誇っていた。
しかし嘉子と真衣が今でも思い出話に花を咲かせるのは、入院中に出会った心臓病の子どもたちと、若い看護師の女性たち、そして早朝から出勤してひとりずつベッドを回って問診をしてくれた医師たちの姿だった。
真衣は病棟で出会った同年齢の子どもたちのことを、今でもひとりずつくっきりとした輪郭とともに、パジャマの色やデザイン、好きな食べ物までも思い出すことができる。病院という環境は、ひとの個性を際立たせる装置に満ちているのかもしれない。
A病院ではその当時すでに、子どもの心理的ケアのためにいくつかの工夫がこらされていた。ICUで意識が回復したとき最初に目にするだろう玩具を渡しておき、消毒して準備するのもそのひとつだった。
真衣はずっと大きくなるまで、消毒薬の匂いがしみついた熊のぬいぐるみに鼻をすりつけ匂いを嗅ぐのが大好きだった。ICUの記憶はうすぼんやりしているのに、なぜかその匂いは真衣を心の底から安心させてくれるのだった。

窓に舞う桜

 

嘉子は入口から向かって右側の窓際のベッドに案内され、備品の説明を簡単に受けた。そのあいだもコトリとも音のしない残りの三つのベッドのことが気になってしかたがなかった。
窓にかかったレースのカーテンを、思い切って沈黙を破るようにシャーッと音をたてて開け放った。
五階の窓からは都心の高層ビル群と白っぽく霞んだ四月の空が見えた。ななめ下に視線をやると、病院付属の看護大学の寮らしい古い建物が見える。すぐ脇にあるこんもりとした緑の公園は桜の木に囲まれていた。
突風が吹いてきたのか、樹木の緑がさわさわと揺れた。そこから不意に白い煙のような渦巻がいくつも湧き上がり、まるで這うように病院の建物に沿って下から吹き上げてきた。
驚いてよく眺めると、それは桜の花びらだった。
すぐ目の前を風のように登っていく無数の桜の花びらは、嘉子の病室を超えてはるか屋上のあたりまで舞い上がっていった。もっと上の階に入院中の患者さんも、窓越しにこの花びらを見ることができただろうか。
嘉子はしばらく呆然とみとれていた。

 

衣擦れとうめき声

 

これから始まるいくつかの検査があるので、嘉子は昨晩詰め込んだ荷物を早めにカバンから出して、整理を始めた。
広い収納庫や最新のテレビ設備は、さすが新築されて間がない病院だと思わせるのに十分だ。おまけによく見渡すと、ひとりあたりのスペースも広く、嘉子はけっこう満足していた。
パジャマに着替えると、嘉子の気分は不思議なもので少しずつ狭心症の入院患者らしくなっていった。
どっさり持ってきた読了する予定の本や、書きかけの原稿が保存されたパソコンを棚から取り出す元気もなく、ベッドに横になった。白い天井を見上げていると、前夜までの慌ただしい仕事の段取りの疲れが出たのか、眠気が襲った。
……うとうとしていると、入り口わきのベッドのあたりから、突然「ガ、ガーッ」と音がした。びっくりした嘉子は眠気も醒めてしまった。病室で初めて聞いた音は、ものすごい高いびきだったのだ。
午前十時を過ぎたばかりなのに、あんなに眠っていて大丈夫なんだろうか、他人事ながら心配になった。
こんどは、隣のベッドからかすかな物音が聞こえた。
サッ、サッ、という音は、衣擦れのようにも思えた。嘉子は聞き耳を立てながら思わずカーテンの下部に注目した。網の目越しに、椅子に座っている女性の靴が目に入った。靴といっても、中年女性がよく履いているウォーキングシューズだ。それもかなりはき古している。
女性はベッドの上の誰かに話しかけている。
「どう?」「う〜ん」
「このあたり?」「……」
唸り声とも溜息ともわからない声だが、ベッドの上に寝ているのはどうやら20代の女性のようだ。とすると二人は親子だろうか。
再び沈黙が始まり、サッサッというひそやかな音だけがカーテン越しに聞こえてくる。ときどき、娘のうめき声らしいくぐもった声も聞こえる。
いったい何をしているのだろうか。姿が見えないぶん、嘉子の想像力だけがフル稼働する。
そうか、きっと母親が娘の背中をさすっているのだ。
嘉子は確信した。どこをさすれば楽になるのかを娘に確かめながら、ひたすら母親はサッサッとパジャマの上から体をさすり続けているのだ。絶えることなく、もう何分間、いや何十分間その動作を続けているのだろう。
嘉子は自分だったら、と想像してみた。
ベッドわきの椅子に腰かけて不自然な姿勢でベッド上の娘の体をひたすらさすり続けるなんて、とうてい無理だ。たぶん五分でギブアップするだろう。肩凝りのひどい嘉子はそう思った。
 

 

(第3回了)

 

[→第4回]

第2回よりつづく


愛情欲求から自由になる(1)

愛情欲求といかにつきあうか

 

「認めて欲しい」というアイデンティティ欲求の背後にあるのは、一言でいえば「愛情欲求」です。これにどれくらい縛られるのか、あるいは自由になれるかというのは、その人が仕事を続けていくうえではもちろん、生きていくうえで死活的に重要の課題です。


ちょっと話のスケールが大きくなってしまいますが、愛情について、僕はこんなところから考えてみることがあります。地球上に生きる生命のなかで、人間を含めた哺乳類の子育てというのは、かなり特殊です。他の生き物に比べて、異様なくらいのエネルギーを、哺乳類は子育てに注ぎ込みます。

 

たとえば単細胞生物は細胞分裂するだけですし、魚類も大半は卵を産みつければ終わりで、子育てのプロセスを持ちません。鳥類はある程度、子育てしますが、哺乳類に比べれば非常に短い期間です。これに対し、哺乳類だけが数年という長期のサイクルにわたって子育てをする。

 

子育てとは、幼弱な子供の世話をすることですよね。哺乳類の場合、危険回避、栄養といった基礎的な援助はもちろん、あやしたり、教育したりという、非常に複雑なプロセスが形成されています。そして、そういう子育てに象徴的に見られる関係性を、僕たちは「愛情」と呼んでいるんだと思うんです。

 

哺乳類だから苦しい

 

「私たち哺乳類は、子育てに異様なほどエネルギーをそそぐ、特殊な存在である」ということを認識すると、愛情欲求で苦しんでいる人も、少し楽になるんじゃないでしょうか。

 

仏教は愛について、非常に端的に「もっとも強力な“執着”である」と喝破しています。仏教のこの認識は、さまざまな宗教・思想を通じてみても、かなり透徹した高みにあるものだと僕は考えていますが、それは、僕らの生物学的なあり方からかけ離れた認識だからです。

 

それぐらい、僕らは愛情欲求と密接な関係をもつ存在であり、なかなかそこから自由になれない。でも、だからこそ、アイデンティティや愛情といった厄介な案件を扱うときには、「僕らが特殊な生命体である」という事実からはじめたほうがいいと思うんです。

 

もっと端的に言うならば、愛情を要求したり、人に認めてもらいたいと僕らが感じるということ自体、地球上の生物全体からみたら「病気」なんだということを認識する。そこからスタートする。

 

哺乳類のなかでも、人間はとりわけ異常です。20年から場合によっては30年、子育てをやるわけですからね。僕たちはその間に徹底的に甘やかされて、徹底的に「愛情がないと生きていけない」と刷り込まれて育ってきたわけです。

 

もちろん、それはそれで人類学的な側面からは必要なんだと思います。でも、そのことで苦しくなっているときには、そうやって特殊な愛情を受けてきたんだな、ということを認識して、ちょっと相対化してみると、少し楽になる。

 

ものすごくさびしくてしょうがないっていうときに「ああ、私も哺乳類だからなあ」と考えてみる。「哺乳類の中でも最悪に甘やかされた人間やもんな」と思えば、ちょっと深呼吸して、風呂でも入ってみようかな、と思えるんじゃないでしょうか。

 

<医療者のための心の技法 バックナンバー>

第1回 3年で辞めないために(1)

第2回 3年で辞めないために(2)

第3回 3年で辞めないために(3)

 

次回は12月2日(木)UP予定です。乞うご期待。

本連載では名越先生への質問、悩み相談を受け付けております。ツイッターならハッシュタグ「#nakoshi」で受付中!

photo by 安部俊太郎

 

第1回 看護管理と看護過程はおんなじだ

皆さんはじめまして。「看護管理なんかこわくない」の中島です。

 

この連載では、師長や主任になって「看護管理、勉強しなきゃなあ」と思っている人や、長いこと管理職やってるけど、管理ってなんか苦手、という人のために、超実践的な看護管理のお話をお届けしようと思ってます。

 

最初のお話は、皆さんが学生の頃に学び、日々の実践のなかで行っておられるであろう、看護過程と看護管理のつながりについて。

 

看護過程の味わいは、学生ではわからない

 

「カンゴカテイ?? うふぁ?まるで眠りを誘う呪文かお経のような講義を思い出す」なんて人もいそうです。今だから告白しますが、筆者も学生時代、統計学と看護理論、そして「カンゴカテイ」なるものは、ほとんど眠っているか、代返かというありさま。看護研究大好き、カンゴカテイ大好きな今の私からすると、なんともったいないことをしたと思いますが、それはそれでよかったのだと思っています。

 

なぜって、もしも学生のときに、必死に勉強していたら、きっと今頃はすごいアレルギー反応が出ていただろうから。「看護診断」「看護過程」「看護理論」といったものは、学生にとっては机上の学問に過ぎません。それらを学生のうちに体系的に学んで身につけ、さらに患者の状況に合わせて使い分ける、なんていうのは夢物語というのが現実です。

 

実際、看護過程をしっかり勉強していないからといって、現場に出てから困ることはあんまりありません。臨床に出てすぐの看護師は日々の業務で手一杯。毎日、一人ひとりのことをじっくりと考えてる時間なんてないも?ん! というのが多くの看護師さんたちの本音だと思います。

 

管理って要するに「やりくりする」ってこと

 

そんな「カンゴカテイ」と看護管理、どうつながるの? というわけですが、看護管理というのは、「ある組織において簡単にいかないことについて、現状のデータをとり、分析し、なんとかうまくやりくりすること」です。「管理」は英語ではmangement。その意味するところは「succeed in achieving or producing (something difficult)」。簡単に訳すと、「(難しい課題に対する)目的達成または創作の方法、手順、工程、そのやりくり」となります。

 

組織というのは、師長や主任にとっては「病棟」や「外来」といったひとつひとつの部署をさしますから、看護管理とは要するに「自分の部署で生じるいろんな難しい問題に対して、うまくやりくりすること」なんです。

 

つまり、師長さんや主任さんといったマネージャクラスの人の仕事は、日々を大過なく過ごすことではなく、困難なこと「something difficult」に対して何とかやりくりすることなんですね。

 

毎日、いろいろな問題が勃発し、一筋縄ではいかない個性の強いスタッフをまとめ、1か月の半分は勤務表に頭を悩まされる、本当に大変な日々。ホントに管理って大変! って思うことでしょう。

 

でも、仮にも管理職というところにステップアップしてしまった皆さんは、そこについては観念するしかありません。管理は難しいこと、困難なことに取り組むのが仕事。そこんところは、しっかりと肝に銘じておきましょう。

 

看護師なら誰でも毎日、「管理(management)」をやっている

 

でもね、ちょっと考え方を変えてみると、それって「看護過程」と一緒じゃないですか。確かに対象は違います。看護過程の対象は「患者」ですが、看護管理の対象は「組織」です。でも、どちらも困難なこと(Something difficult)を解決するために、データをとり、分析し、なんとかうまくやりくりする、という点では同じだと思うんです。

 

「でも、わたし看護過程もまったく勉強していないし。学生の頃に教科書開いたっきりだから、同じだっていわれてもピンとこないよ」という人もいそうです。

 

でもね、臨床で働いてさえいれば、ほとんどの看護師さんは日々の実践のなかで、看護過程を展開しているんです。気づかないだけで。なぜ気づかないかというと、それはほとんど瞬時に、無意識のうちに行っているから。

 

たとえば、朝のラウンドの時、環境整備しながらベッドサイドに行くと、もうその瞬間からカンゴカテイは始まっています。バイタルサインを確認しているときも、フォーカスアセスメントしているかもしれないんです。ん? それってどういうこと? という人のために、少し看護過程についておさらいしてみましょう。

 

「看護過程」とは、何かしら問題を生じている患者さんに対し、どうケアを提供していくかについてのプロセスと、それに伴う考え方のことです。はじめに、何が問題となっているのかを情報収集します。そこから、さらに「特にここ!」というポイントに問題をしぼりこんでいくのがフォーカスアセスメント。そして、患者さんがどうなることが幸せなのか考えて、患者目標を設定します。

 

そして、その目標に到達するために、どのように日々の看護を展開していけばよいのか、看護計画を立て、実践し、それで患者さんがどうなったのか評価し、目標に対してまた新たな再計画を立て、また実践。最終的には、退院し、看護サマリーを通して外来へ継続看護を引き継ぐまで、そのプロセスを繰り返す。こういう一連のプロセスが、看護過程です。

 

こうやってあらためて見直してみると、カンゴカテイって臨床でしっかりと仕事をしている皆さんにとっては、当たり前の日常じゃないでしょうか。単に機械のように情報を集めるのではなく、患者さんの訴えや症状にフォーカスして、なんらかの判断をくだすために、情報を集め、考える。師長になるくらい経験を積んだ皆さんは、きっとそうやって看護を行ってきたことと思います。これって文字通り、管理(management)のプロセスなんですよね。

 

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組織だって生き物だ

 

こういうことを日々無意識のうちに続けている私たち看護師は、物事を客観的に捉えることに非常に慣れている「はず」です。患者の訴えであるS(subject;主観)データを得たときには、必ずO(Object客観)データで裏づけして判断します。

 

たとえば「眠れない」という患者に対して、「本当に眠れていないのかな?」という疑問をもつことがあったとします。その疑問から看護記録を調べてみると、夜間のラウンド中の記録に「鼾あり、睡眠中」の記載を見つけます。そこから、「本当は眠れているのだけれど、本人の主観として十分な睡眠ができていないのかもしれない」という推論にいたります。

 

このように、主観と客観、両面から現状をしっかりと検討してから看護行動を起こす。こういう看護過程の理論に基づいた科学的看護を日々行っている看護師にとって、看護管理なんて、本来へっちゃらのはずなんです。対象が「患者」から「組織」に変わっても、組織だって「生き物」です。その生き物をなんとかマネジメントして、やりくりしていくのが看護管理だ、というふうに考えれば「看護管理、おそるるに足らず」です。 

 

次回は11月29日UP予定です。

 

中島先生への質問、感想は下記フォーム、もしくはツイッターハッシュタグ #kangokanri まで!

プロフィール

中島美津子(なかしまみつこ)

「じ」じゃなくて、濁らない「し」の「なかしま」です。夫の転勤により各地の病院に勤務。九州大学医学部保健学科、聖マリア学院大学看護学部、東京警察病院看護部長を経て、2010年5月より東京病院副院長となりました。研究テーマは「働きがいのある組織づくり」で、働き方についての認識のパラダイムシフトを図る啓発活動を全国で展開中。
「すべては幸せにつながっている」「ケア提供者が幸せであることは質の高いケア提供を可能にする」という信念の下、日々仕事を楽しんでいる超positive思考の二児の母。
みっちゃんのブログ(http://ameblo.jp/tokyobyouin-director/

 

第2回よりつづく

第3回 背中と腕の連動性(2)


前回のエクササイズはうまくできたでしょうか? 今回も上半身の連動性をチェックするエクササイズの続きです。

 

肘を回すSTEP2


STEP1から少し難易度をアップします。組んでいた手をはなし、右手(左手)を、左手(右手)の指で支えます。この状態で右手の肘を、先ほどと同じように動かしてみましょう。

手首から先がつられて回らないように注意です。左右を変えてもチャレンジしてください。

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手首から先は止めたまま、肘だけをくるくると回してみましょう!

 

第4回は11月24日(水)UP予定です。
 

<働く身体のつくりかた バックナンバー>

同じ3分なら!!

 

忙しいとついつい食事はコンビニのお弁当やカップ麺に偏りがち。

たしかにお手軽で便利ですが、毎日となるとなんだか侘しい気分にもなりませんか?

 

同じ3分待つのなら、少しでも手作り感のある食事にしたい。

お腹に優しくて、美味しいものを食べたい。

そんなときに私がいつも作るお料理がこちらです!

(お料理って言うほどでもありませんが・・・。)

 

題して『温玉なんでものせうどん

以前私が担当していた漫画家さんから教えていただきました。

 

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作り方は超カンタン♪♪

市販のおうどんを軽くお湯に通して、上に温泉たまごを乗せるだけ。

麺つゆを作らなくても、温泉たまごに付いているお出汁をかければできあがりなので簡単! 

しかも温泉卵って、生卵を含めた他のどんな調理方法よりも消化吸収に優れているらしいですよ!!

 

上の写真は、我が家の冷蔵庫に常備しているキムチをトッピングしたものです。

香りや辛みが欲しいので、私は柚子コショウも混ぜてます。

さっぱり食べたい時はカイワレ大根とアボガドなどをトッピングしても美味しいですね!(下写真)

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腹持ちが良くて、胃がもたれない。尚かつ『お料理した気分』が味わえます!!

 

温泉たまごはお鍋のときにポン酢と混ぜても美味しいので、この冬、常備しておいてもいいかもしれません。

 一度お試しください♪

 



ぴろりん Profile

アメリカ テキサス州ダラス生まれ。大学入学の際に帰国。
大学卒業後、出版社にて文芸書、新書、美容雑誌、漫画編集等に携わる。
2010年3月退職後、映画・映像コラムやファッション誌のディレクションを行う。趣味はジョギング、食べ歩き、自分磨き。
天真爛漫な性格な為に有名人、無名人問わず友達多し。横浜市在住。



医学書院 ナーシングカフェ 現場でいきる“心の技法”

【日時】2011年1月26日(水)19:00-21:00
【講師】名越康文先生(精神科医/京都精華大学教授)
【内容・趣旨】
 医療現場には「心の問題」があふれています。精神を病んだり、告知に動揺する患者さんへの対応はもちろん、同僚との関係性、医療者としての自分のあり方に悩む人も少なくないはず。テレビ、雑誌などでも活躍する精神科医、名越康文先生に直接、日ごろの悩み、疑問を聞くチャンスです。お茶菓子、飲み物をご用意しますので、お気軽にご参加ください。 
【対象】看護師、研修医、その他医療従事者
 

定員に達しましたので、応募を締め切りました。

たくさんのご応募ありがとうございます。

 

【参加費】3000円(茶菓子代含む。当日会場にてお支払いください)

【定員】40名(定員に達し次第、締め切ります)
【申し込み方法】
表題に「名越康文先生セミナー申し込み」と記していただいたうえで、

(1) お名前
(2) ご所属
(3) 職種
(4) メールアドレス
(5) 名越先生への質問(簡潔に)

5点を明記のうえ、下記e-mailアドレス、Fax番号までお送りください。

お申し込みいただいた方には、折り返し受け付け番号を発行いたします(受付番号発行をもって、お申し込み完了となります)。

【申し込み・お問い合わせ】
医学書院看護出版部
E-mail:kankan@igaku-shoin.co.jp
Fax:03-5804-0485
Tel:03-3817-5772
(お電話でのお申し込みは受け付けておりません。申し込みフォーム、ファックス、E-mailをご利用ください)
 

 

『病態生理ビジュアルマップ』の感想、募集中!

 

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リアルなイラストとチャートを豊富に収録。病態生理の切り口から疾患とケアのポイントを解説するシリーズ『人体の構造と機能からみた 病態生理ビジュアルマップ』が、2010年9月、医学書院より刊行されました。

いまのところ「[1]呼吸器疾患,循環器疾患」「[2]消化器疾患」編が刊行されていますが、すでに全国の看護学生のみなさんから大反響が!

ここではその一部をご紹介します。

すでに『病態生理ビジュアルマップ』シリーズをお持ちのみなさんは、ツイッター、ハッシュタグ「#vmap」で感想をつぶやいてくださいね。

 

みなさんからの感想

 

●単刀直入に…『からみた看護過程』シリーズからさらにパワーアップしている。一目で疾患がわかります(I専門学校3年) 
●何と言っても病態生理から診断・治療、ケアのポイントまで1冊にまとまっているのが嬉しい。これ1冊で病気のことがわかるので安心(S大学2年生) 
●薄くて持ち運びに便利。頁がよく開くのでコピーもとりやすく、実習には受け持ち患者さんに関係した部分だけコピーして持っていってます(B専門学校3年) 

 

riceballかんかん ↑コピーしちゃだめじゃん!

shadow編集者A いやいや、個人利用の範囲でのコピーはみとめられているんだよ。

riceballかんかん そっか! じゃあぼくもいっさつまるごとコピーして、がくせいさんにくばってくるね。

shadow編集者A それはだめだよ! 認められるのは個人利用の範囲。著作権者に無断の再頒布は犯罪だよ。

 

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●病態生理マップがとても大きく載っていてビックリしました。こんな教科書は見たことがありません。疾患がどのように生じているかが一目でわかります(N大学1年) 
●写真のような絵が人体のイメージをするのにとても役に立つと思いました(E短大2年)。 
細かい文字を読まずとも図で何となく把握できます(M大学4年) 
●症状や治療、ケアについても丁寧に示されていて、実習中にこの本があれば疾患の理解がさらに深まったと思います(G専門学校3年) 
学校で学んだこと+αの内容も多々含まれていて病態についての理解力がさらに付きました(T専門学校3年) 
●私は4年生なので国家試験の勉強にも活用させていただきます(U大学4年)

 

書籍情報

 

編集:佐藤 千史/井上 智子
判型 A4変
頁 184
発行 2010年09月
定価 3,150円 (本体3,000円+税5%)
ISBN978-4-260-00976-8

 

『人体の構造と機能からみた 病態生理ビジュアルマップ [2] 消化器疾患

編集:佐藤 千史/井上 智子
判型 A4変
頁 144
発行 2010年09月
定価 3,150円 (本体3,000円+税5%)
ISBN978-4-260-00977-5

前回は「気虚」と「水滞」について触れました。今回は「気」についてちょっと深めてみたいと思います。

 

 ■「気のせい」とは云うけれど

「病は気から」、と云いますが、この言葉をどういう意味で使ってらっしゃるでしょうか?あなたの具合の悪さは体の異常によるものではないよ、大丈夫、心配ない!という軽い励ましのような感じで使われていることが多いと思います。それは錯覚だよ、実体のないものだよ、という時には「気のせい」といったりしますね。

 

西洋医学では、患者さんの訴えがいろいろな検査の結果の異常として現れてこなかったり、検査結果と一致しない時、「気のせい」という言葉はとても便利です。それで納得し、ホッとしてくださる患者さんも多いです。

 

しかし、それでも自分の感じている具合の悪さを何とかして欲しい!と患者さんがおっしゃる時はどうでしょうか。西洋医学は、形のないもの・測れないものを扱うことがとても苦手です。ヴィジュアル・アナログ・スケール(VAS)のような物差しを使って患者さんの訴えをなんとか「測れるもの」に変えていく努力をするか、さもなければ立ち往生してしまいます。

 

かつて、ヒステリーと呼ばれた病気があります。この病気は些細なことに感情的になったり、過剰に怒りっぽくなったりするものと誤解されていますが、精神医学での本来の意味は、心の中の不快な感情、不満、葛藤などを、言葉で表現するのではなく、身体のいろいろな症状で表現することをさしていう言葉でした。医者は身体的な病気を疑って検査をいくらやっても、何の異常も見つからない、そういう患者が女性に多いことから、“子宮”という意味のヒステリーという名前がつけられたのですが、まさに「気のせいだ!」と言いたくなる病気ですね。

 

■「気」とは何ぞや?

漢方医学では、「気のせい」が出発点になります。昔の人は、体の中をめぐりながら正常な体の機能をささえる3つのものがあると考えていました。それが、気・血・水です。このうち血と水は、血液と水分と考えてもらってほぼ差し支えないので、イメージしやすいのですが、「気」だけが目に見ることができず、現代医学でも位置づけが困難な概念です。そのため、「気」=実体のないもの・思い込みのようなものというイメージが定着し、あなたの症状は実体がないものである、という代わりに、「気のせいだ」といわれるようになったと思われます。

 

photo by suneko「気」には、空気・大気のように、気体・ガスという意味があります。風が風車を動かすように、目に見えないけれど体中をめぐってエネルギーを生み出すものを「気」と呼び、昔の人はそれをガス状のものであると想像したようです。元気いっぱい、とか、元気が出ないとかいう表現は、体の中のエネルギーが多い・少ないを表します。ガスを表す「気」の字を使っていることから、エネルギーはタンクに溜まるガソリンのイメージではなく、風船のようなものに気体が詰まっているイメージで、気が不足するとガスの抜けた風船のようにシナッと萎れるのだ、ということになるわけです。これを漢方の用語で「気虚」といいます。

 

また、胃の調子がなんとなく悪くて、げっぷが良く出るようなときや、おなかの中にガスが溜まって、それがうまく出ず、張ってシクシク痛むといった症状は、気がおなかの中で滞っている、と考えます。これを漢方用語で「気滞」といいます。げっぷやガスをうまく体の外に出せると、すっきりした感じがしますが、ガスが出る前は、なんともうっとうしい感じが続きます。そこから、わけもなくふさぎこんだり、落ち込んだりする気持ちが長く続くとき、昔の人はこれを「気鬱」と呼んで、エネルギーがうまく回っていかないから、そういう気持ちになるのだ、と解釈しました。まさに、“気のせい”だ、ということです。

 

ちなみに、うつ病は英語でデプレッションといいますが、デ+プレス、すなわち「下に押される」という意味に由来しますから、鬱陶しい・胸がふさがる、というよりは、沈む・ヘコむというニュアンスに近いと思われます。体をめぐる「気」というものを前提としない考え方から生まれた単語と言えます。

 

■さて、どうしましょう

では、「気虚」「気滞/気鬱」に対して、漢方ではどのような治療を行うか、ということですが、簡単にいえば、前者には気を補い、後者には気をめぐらせる、ということになります。

 

現代では、元気が不足したときには栄養ドリンクやビタミン剤などを摂るひとが多いですが、昔の医学書をみると、「まずはしっかり食事をとってゆっくり休養すること」と当り前のことが書いてあります。そのうえ、本によっては、あまり薬に頼りすぎるなとか、薬は食事や休養の代わりにはならないとか、漢方薬に魔法のような効果を期待しているひとにはガッカリな記述が見られます。

 

photo by kimi-でも、漢方には、気を補う薬(補気薬)というのがちゃんとあって、人参や黄耆といった生薬がその代表選手ですが、人参は弱った胃腸の機能を回復させる薬で、黄耆は異常な発汗を正常化させて皮膚の機能を整える薬です。つまり、漢方で治療の対象となる気虚は、胃腸が弱って食物をうまくエネルギーに変換できなかったり、発汗がひどくて消耗が異常に激しかったりで、普通に食事や休養をとったのでは追いつかない場合の気虚、ということになります。人参や黄耆ほどではないですが、食品であるナツメの実(大棗)やもち米(粳米)にも気を補う作用があります。参鶏湯(サムゲタン)という韓国料理があって、鶏の内臓を取り出して人参・ナツメ・もち米などを詰めて煮た料理ですが、胃腸の働きを回復させつつ、カロリーの高い鶏肉を摂るわけですから、「気虚」の治療としてまことに理にかなっています。

 

外来で、すぐに疲れる・だるくなる、という訴えで来られる患者さんをよく診ますが、診察して本当に胃腸や皮膚の機能が落ちている場合は、人参や黄耆の入った薬をお出ししますが、大きな緊張を強いられている人や、むしろ気滞や気鬱に近い人も同じように疲労感を訴えることがあり、その場合は薬を適切に選ぶ必要があります。 

 

じゃあ漢方では具体的にどのような方法で治療を行うのでしょうか。次回はその辺についてお話ししたいと思います。

第2回よりつづく

 

3年で辞めないために(3)

 

テクニックとしての「俯瞰で見る」

 

自分の職場にどっぷり漬からず、一定の距離をとる。そういうことができるスキルを、ここでは「俯瞰で見る」と呼びましょう。それは、必ずしも仕事にコミットメントしない、ドライな態度とイコールではありません。むしろ、「俯瞰で見る」というスキルは、その集団での自分の役割を的確に捉え、組織に貢献するためには必須のものだと思うのです。


たとえば、今置かれた自分の立ち位置や仕事に全アイデンティティをかけている人は、遠からず、組織のなかで自分の力を有効に発揮することができなくなります。悪い場合には、エネルギーが空回りして、同僚にも迷惑をかけてしまうこともなりかねません。入職して数か月ですぐに辞めてしまう方が看護師さんでも少なくないと聞きますが、こういったパターンが多いのではないでしょうか。


組織のなかで、自分の力をいかせるのはどういう方面か、どこが手薄で、どこに人が余っているか、問題点はどこか……こういった課題に目を向けるためには、「俯瞰で見る」スキルが必要なのです。

 

仕事にアイデンティティをかけない

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医療職には、仕事こそがアイデンティティという人は少なくありません。それは、医療というハードな仕事をこなしていく上では、大きな力となりえます。しかし、だからといって自分のいまいる現場に全アイデンティティを注ぎ込んでしまうのは、人と人との関係性のなかで仕事を行っていくうえで、障害になりえます。


ここでいうアイデンティティとは何かというと、煎じ詰めると「私を見て」という欲求に端を発しています。これはこのままでは、もっとも幼稚なアイデンティティのあり方です。要するに幼い子供が「ここにいるよ、お母さん!」と主張するために泣きわめくのと同じ、愛情欲求ですね。大人になってもこの愛情欲求が強い人は、ほんとに苦しみます。もちろん他人にも迷惑がかかるかもしれませんが、何より本人にとって苦しい。


目の前の仕事に全アイデンティティをかけてしまい、結果として疲弊する。そういうタイプの人は、「(自分の)仕事への情熱の背景には、強い愛情欲求があるのかもしれない」と疑ってみるだけで、ずいぶんと楽になる場合があります。


「自分を認めてもらいたい」とか「認められなきゃ自分はおしまいだ」といった思考に陥っている人は要注意です。そういう重い思考回路に陥ると、俯瞰で見ることが難しくなり、結果的にはかえって自分の役割をちゃんと果たせないことになる。そうなると、仕事として義務、責任を果たせないという問題以上に、一日一日を納得して過ごすことが難しくなってしまう。

 

共感の基盤をつくる

 

俯瞰的に、自分の所属する組織を見渡せることができるようになってくると、極端に目の前の仕事にコミットしている人よりも適切に動けるし、人の立場に立って、やさしく振舞うこともできるようになる。つまり、他人に対する共感性や、他人の立場を推し量る知恵が自然と働き出すんですね。


「相手の立場を考えられる」「状況をもうちょっとだけ広く考えられる」というのは、人としての「知恵」の原型だと思います。こういう知恵の構造が働き始めると、仕事にしても、人間関係にしても、うまくいきやすいし、楽しくなります。

「俯瞰で見る」ことができないと、人に共感し、人とかかわっていくことが難しくなってしまう。そう考えると、このスキルは実は、医療者にとって重要な「共感」の基盤になるものだということがわかります。
 

 

<医療者のための心の技法 バックナンバー>

第1回 3年で辞めないために(1)

第2回 3年で辞めないために(2)

第3回 3年で辞めないために(3)

 

次回は11月18日(木)UP予定です。乞うご期待。

本連載では名越先生への質問、悩み相談を受け付けております。ツイッターならハッシュタグ「#nakoshi」で受付中!

photo by 安部俊太郎

息切れは気持ちいい

 


信田さよ子 (原宿カウンセリングセンター所長) Profile

1946年岐阜県生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了後、駒木野病院勤務などを経て、現在に至る。臨床心理士。アルコールをはじめとする依存症のカウンセリングにかかわってきた経験から、家族関係について提言を行う。
著書に『アディクション・アプローチ』『DVと虐待』(ともに医学書院)、『母が重くてたまらない』(春秋社)など多数。最新著に『ふりまわされない』(ダイヤモンド社)、『ザ・ママの研究』(よりみちパン!セ、理論社)がある。 


 

[←第1回]
[前回まで]

自他共に認める運動音痴の嘉子は、一念発起して都心のアスレチッククラブで水泳教室に通う。そこで出会った美人鬼コーチに衆人環視のなかで厳しくダメ押しされるのも、そうイヤでもないかも……。

 

女神ときどき鬼

 いくら一念発起したとはいえ、遅々として上達もしないのに4年間もレッスンを続けられたのはなぜだろう。嘉子はときどきその理由を考えた。

 予想どおり友人たちは、「ほんとに偉い、その年齢から水泳始めるなんて」「クロールができるようになったの!?すご〜い」と口をそろえて嘉子をほめたたえた。そんな「報酬効果」も継続の動機になっただろう。

 娘の真衣は、プールから戻ってサウナで顔がつるつるしている嘉子に向かって「ママ、けっこうやるじゃん」と褒めるようになった。最初のころに嘉子から「コーチが厳しくってさ」と愚痴を聞かされていたので、半年ももたないだろうと高をくくっていたのだ。そんな真衣の目に浮かぶ尊敬の気配も、嘉子の継続を支えたに違いない。

 もちろん、「女神ときどき鬼」の美人コーチの存在も大きかった。美しさに理由なんかいらない、というのが嘉子の持論である。どれだけ厳しくても、眉を吊り上げようと、あの顔と水着姿を見るとすべては許すことができた。

 これまで友人からは「嘉子さんは絶対Sよね〜」と言われてきたし、自分でもそう信じていたのだが、水泳を習いはじめて自分にM的素質があることを初めて発見したのだ。新たな自分を発見した嘉子は、悪い気はしなかった。カウンセリングの効果の一つが「新たな自分の発見」だとすれば、水泳にはカウンセリング的効果もあるのかもしれないと思った。

 しかしながら、継続を支えたいちばん大きなものは、たぶんあの息切れとともに訪れる感覚だと嘉子は思った。水泳のレッスンは最初から最後まで息切れの連続だった。それだけではない。そのあとにもっと大きな息切れが待っていた。

 ふらふら、よろよろしながらプールを上がり、コーチにおじぎをすると、嘉子は一目散にサウナに直行する。

 

サウナルームの快

 ジムのお風呂はなかなか快適だ。お湯の温度、浴槽の広さ、すべてが計算しつくされている。バブル全盛期に完成しただけあって、20年近くたっても古びていない。

 90℃に設定されたサウナルームは、混んでいるときは10人ほどの女性でぎっしりになる。老いも若きもバスタオルを体に巻いてひたすら熱さに耐える。

 嘉子はいつも目をつむりながら他の女性のサウナトークに耳を澄ましている。カウンセリングでは絶対に聞けない話が、ただで聞けるのだ。夫の話、子どものお受験の話、旅行の話、会社の愚痴……ふつうの人たちの生活を垣間見る貴重な機会だ。

 そのうちに少しずつ汗が出てくる。嘉子はいつも腕に噴き出た汗が、大きな水滴になるまでを1回のサウナの目安にしていた。平均して12分かかるのだが、体調によって汗の出方が違う。サウナ、水ぶろ、サウナ、水ぶろ、シャンプー、サウナ、水ぶろを繰り返すと、ちょうど1時間になる。

 いったいどれだけ汗が出たのかわからなくなるほど、大量の水分が体から放出されてぐったりとする。ときには水風呂から上がるときに頭がくらっとする。熱くてたまらないときは呼吸も苦しくなる。もう限界だとギブアップしてサウナからあがるまでの1時間は、ぎりぎりまで自分が追い込まれる濃密で特別な時が流れている気がした。

 限界まで到達した脱水と、ふらふらになるまでの息切れは、このうえない爽快感と達成感をもたらした。すべての毒を出し切ったような、体中の血管が開き切ったかのような脱力感は、しつこい肩こりを一瞬だけど忘れさせてくれる。

 運動嫌いの嘉子にとって息切れは、これまで忌避すべき、苦しいだけの感覚だった。水泳とサウナがセットになることで、それがどれほど気持ちいいものかを還暦を過ぎて初めて知ったのだ。

 

坂道をのぼりながら

 

 会員になっているジムに行くには、大きな通りを横断し、細い坂道を登り切るまで10分ほど歩かなければならない。

 東京でいちばんおしゃれなエリアだが、住宅街のなかを縫うように伸びるその道は薄暗く、くねくねと曲がっている。その先には巨大なタワーマンションが立ちふさがるようそびえ立っている。きらきらと輝く光の柱の向かって左隣りに、20年前には近隣でいちばんモダンだった半円形の9階建てのビルがある。その4階が目指すジムの場所である。

 夕暮れの坂道をのぼる息切れも、いつのまにか嘉子にとっては水泳やサウナと同様に身近なものになっていた。わずかな苦しさが、心地よさと満足感を与えるのだった。はずみに乗って、ときには自分よりずっと若い男性をわざと早足で追い越してみたりもした。

 いつのまにか、坂をのぼりながら、サウナ、サウナ、と掛声をかけるのが習慣になった。急な坂道をそう唱えながら早足で一気にのぼると、よりいっそう息切れが激しくなり、そのぶんどこか満たされた気持ちになった。

 体が満たされるのか、こころが満たされるのか。その分かちがたい感覚がいっそう気持ちよかった。これがランナーズハイなのだろうか、と自分を観察しながら、ヘンなおばさんと思われてもかまわないとばかりに、掛け声をかけて坂をのぼった。

 ところがその日は違った。

 坂をのぼりはじめたばかりなのに、こころなしかいつもより息切れがひどい。3月末のせいか空気は生暖かい。気をとりなおして、いつものように「サウナ、サウナ」と掛声をかけて夕闇の中を歩きはじめたのだが、坂道の途中で嘉子は突然左胸に違和感を覚えた。

 今までに経験のない感覚だった。ギュッと締め付けられるような、心臓のあたりが一瞬わしづかみにされたような感じだ。

 どうしたんだろう。戸惑った嘉子は思わず立ち止まった。その瞬間、それはふっと嘘のように消えた。初めて味わう感覚は、どう表現していいのか、どう名づけていいのかわからないものだ。そのときの嘉子も、それを痛みと名付けたわけではなく、まして重大な出来事だとは想像もしていなかった。

 立ち止まったまま息を深く吸い、呼吸を整えながら、嘉子は夕暮れの闇に沈みはじめた周囲の光景をゆっくりと眺めた。

 坂道に沿った歩道の左側には八分咲きの桜が枝を伸ばして垂れていた。右側には宝飾デザインの専門学校の風変りな校舎が見えた。

 街灯の少ない歩道に浮かぶその光景は、嘉子が心臓の「痛み」を初めて感じた瞬間の記憶として、のちに何度も思い出すことになった。

 

[→第3回]

もう夏の話になりますが、京都で取材をしてきました。

夏の京都。

いやー、溶けましたね。

 

んで、おみやげを探して東へ西へうろうろしましたよ。

京都駅の中を。

 

職場に買っていくおみやげ選手権!

京都のおみやげといえば、やっぱり八ツ橋が有名でしょうか。

最近はチョコレート八ツ橋なんかもあるそうです。

でも八ツ橋をおみやげに買っていくと、配るときや食べるときに手が汚れてしまいますよね。

あと、職場の人数によっては値段も馬鹿にならないです。

ではでは、職場に買っていくのに適したおみやげをちょっと探ってみたいと思いますよ。

 

■八ツ橋

言わずと知れた京都のお菓子ですね。

生だったり焼いてあったりしますが、とりあえず餡入りの生八ツ橋をチョイス。

八ツ橋箱.JPG八ツ橋モノ.JPG

 

僕はつぶあんが好きです。

配るとなると、ティッシュを敷いて置く感じになりますね。

ちなみに、上のものだと10個入り530円。

できれば、1人あたり2個あると見栄えもいいです。

 

■阿闍梨餅

最近人気の阿闍梨餅。あじゃりもち。

阿闍梨餅箱.JPG 阿闍梨餅袋.JPG 阿闍梨餅モノ.JPG

もちもちした食感ですが、餅というよりは饅頭に近いですね。

1個ずつ包装されているので、配るのにも安心。

お値段は10個入りで1100円。

これはオススメですねー。

 

■ゆず玉

うろうろしていたらお店のおばちゃんに捕まって買ってしまった1品。

ゆず玉箱.JPG ゆず玉モノ.JPG

ゆず風味のお団子(?)のようなものです。

かわいいですが、思ったほど黄色くないです。

ティッシュ敷いてもべとってなるような気がします。

ちなみに、6個入り480円。

少人数に買っていくならアリでしょうかね。

 

■ようかん

最後に、竹の容器に入ったようかんです。

興味はあるけど手が出ない、そんなイメージを持っていたので買ってみました。

羊羹箱.JPG 羊羹モノ.JPG

風情がありますね。

容器の片側にツメがあり、プリンのようにプッチンしてあげれば中身がにゅるっと出てきます。

こういう遊び心がいいですね。

ただ、配りやすいですが、食べにくいかもしれません。

お値段は3本で1000円。ちょっと高いですかね?

 

職場にはこれだ!

コストパフォーマンスをまとめてみましょう。

 

生八ツ橋 1個あたり53円

阿闍梨餅 1個あたり110円

ゆず玉  1個あたり80円

ようかん 1個あたり333円 

 

こうしてみると、生八ツ橋のコストパフォーマンスがいいですね。

この辺も人気の秘訣なのでしょうか。

 

ちなみに、配りやすさは阿闍梨餅、ようかん、八ツ橋、ゆず玉の順。

食べやすさは阿闍梨餅、ゆず玉、八ツ橋、ようかんの順です。

この辺で八ツ橋がちょっと評価を落としてしまうんですよね。 

 

というわけで、以上を総合的に検討し、今回独断と偏見で決定する「職場に買っていくおみやげ」第1位は...

阿闍梨餅

に決定です!

 

ワーワー

取材日記 青森編

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いがくしょいんのへんしゅうしゃさんは、基本的には東京の本社に生息してるけど、取材でいろんなところに行ったりもするよ。

 

青森の特別養護老人ホーム清風荘まで行ってきたよ。

清風荘は、今では常識となっている抜管やオムツ外し、摂食・嚥下食の取り組みを早い時期から行っていた施設なんだって。

 

こちらの方(下写真)は北海道医療大学認定看護師研修センターの城美奈子先生。
清風荘では、毎年城先生率いるWOC認定看護師研修生の方々が実習してるんだよ。

shuzai_1-1.jpg

今回の取材では4人の研修生の人達ともお会いできたよ。

むこうは誰こいつ?と思ってたこと間違いなしだけど、
認定看護師になるための過酷なスケジュールとか、
いざ実習でこれまでの知識を実践するとなったときの理屈どおりじゃいかないとか、
いろいろ大変ななかでそれでも認定看護師になるためにがんばってる姿をみて、役に立てるような良い本を作ろう!とパワーをもらったよ。

城先生、清風荘の職員の皆さん、研修生の皆さん、ありがとうございました?。

 

●研修生が訪問看護師の方々に講義してる様子
この時は褥創被覆材の貼り方のコツをレクチャー。

shuzai_1-5.jpgshuzai_1-4.jpg

 

●個人的に一番心に残った清風荘の施設の工夫
いろいろあったなかでも、特にトイレ。
右写真のように斜めにカーテンが付いています。
トイレは急変が多くて心配なので、何かあったとき安全なように看護師も一緒に個室には入ってもカーテンをひくことでプライバシーにも配慮しているとのこと。 shuzai_1-2.jpg

shuzai_1-6.jpg

ごはんもおいしい。
夕飯では噂の青森B級グルメせんべい汁。
お昼は付属喫茶店のパフェまでデザートでいただき幸せでした。

 

shuzai_1-3.jpgshuzai_1-2.jpgのサムネール画像

 

最後に
取材をご快諾くださった城先生、清風荘の職員の皆様、研修生の皆様に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。

清風荘での研修は今年で最後とのことですが、ぜひまた伺いたいと思います。

ありがとうございました。

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