働く身体のつくりかた 第6回

働く身体のつくりかた 第6回

2011.1.06 update.

岡田慎一郎 イメージ

岡田慎一郎

1972年生まれ。理学療法士、介護福祉士,介護支援専門員。身体障害者,高齢者施設の介護職員,介護講師を務めるなかで、従来の身体介助法に疑問を抱き、独自に身体介護法を工夫。2003年、武術研究家の甲野善紀氏と出会い,その古武術の身体操法に感銘を受け、師事する。2004年頃から、古武術の身体操法を応用した「古武術介護」を提案したところ大きな反響を呼んだ。現在では、医療、介護施設などを中心に全国で年間200を超える講習会活動を行っている。
著書に『古武術介護入門(DVD付)』『DVD+BOOK 古武術介護実践篇』(医学書院)、『古武術介護塾』(スキージャーナル社)、『親子でいきいき 古武術あそび』(日本放送出版協会、2007)、『介護福祉士基本問題集』『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)などがある。
岡田慎一郎公式サイト(http://shinichiro-okada.com/

写真:安部俊太郎(http://shuntaro-color.com/

 

第6回 上半身の連動性を高める(2)

 

前回とは違ったエクササイズで、背中と腕の連動を高めてみましょう。

 

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上半身の連動性を高めるエクササイズ

(1) 胸の前で手を組み、胸を張り、背筋を伸ばします。肩甲骨はやや中心寄りです。
(2)―(3) 腕を伸ばしていくにつれて、自然と胸がくぼみ、肩甲骨が左右に離れます。

(4)―(6) 胸を張り、背筋を伸ばしながら、腕を戻していきます。

 

これを繰り返します。

 

下半身の動きは、この段階ではさほど意識していただく必要はありませんが、がちっと踏みしめて、足元を固めてしまわないように気をつけます。上半身の動きに連動して動くようであれば、その動きに任せましょう。

 

日常の動きのなかで腕の曲げ伸ばしをする際、ほとんどの方が腕だけで曲げ伸ばし運動を行っています。ここでは、背中と腕とを連動させることによって、腕の曲げ伸ばしをしてみます。

 

今回のポイントは「背中から動かした結果として腕が伸びる(曲げる)」ということを意識することです。(3)のように、普通なら腕だけが伸びるところで、背中が丸まりつつ、それと連動するように腕が伸びる動作となっています。また、もとの姿勢に戻る際も、背筋を伸ばす動きに連動して肘が曲がり、胸の前に引きよせられています。

 

肩甲骨がポイント!

 

背中の動きでポイントとなるのは、今回も肩甲骨です。この動きを背中側からみると、腕を伸ばす時、肩甲骨は左右に広がり、腕を戻す時には肩甲骨は背中の中央に寄っています。つまり、肩甲骨を意識して動かすことで、背中と腕とが連動して動くようになるのです。

 

背筋力に代表されるように、背中の筋力は非常に大きな力を出すことができます。背中を使わずに腕だけで曲げ伸ばしをする運動ばかりに頼っていると、背中が硬くなってしまい,せっかくの大きな力が腕まで伝わりにくくなってしまします。

 

このエクササイズで肩こりが緩和されたという人が少なからずいらっしゃいます。それはおそらく、普段からあまりにも背中の筋肉を活用しない生活を送っていたからでしょう。いわば、ちょっとした廃用症候群に陥っていたというわけです。

 


講座などでこの動きを紹介すると、「この動きは何回くらい行なえばいいですか」と聞かれることがあります。私は1日10回でも十分だと思っていますが、漠然と形だけを真似しても何の効果も得られません。しっかりと背中から腕を動かすことを意識して行なうことで,はじめて効果が得られます。量より質、ということを肝に銘じてください。

 


 

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