働く身体のつくりかた 第5回

働く身体のつくりかた 第5回

2010.12.08 update.

岡田慎一郎 イメージ

岡田慎一郎

1972年生まれ。理学療法士、介護福祉士,介護支援専門員。身体障害者,高齢者施設の介護職員,介護講師を務めるなかで、従来の身体介助法に疑問を抱き、独自に身体介護法を工夫。2003年、武術研究家の甲野善紀氏と出会い,その古武術の身体操法に感銘を受け、師事する。2004年頃から、古武術の身体操法を応用した「古武術介護」を提案したところ大きな反響を呼んだ。現在では、医療、介護施設などを中心に全国で年間200を超える講習会活動を行っている。
著書に『古武術介護入門(DVD付)』『DVD+BOOK 古武術介護実践篇』(医学書院)、『古武術介護塾』(スキージャーナル社)、『親子でいきいき 古武術あそび』(日本放送出版協会、2007)、『介護福祉士基本問題集』『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)などがある。
岡田慎一郎公式サイト(http://shinichiro-okada.com/

写真:安部俊太郎(http://shuntaro-color.com/

第5回 上半身の連動性を高める(1)

第2-4回では、ご自身の背中と腕の連動性のレベルを確認していただきました。なぜ、手首から先を動かさずに肘を動かすことが、背中と腕との連動性チェックになるかというと、この動きの成否は、背中、特に肩甲骨まわりの筋肉が自由に動かせるかにかかっているからです。

 

Fig1をみてください。肘の向きは、実は背中の、肩甲骨の閉じ開きと大きく連動しています。

 

つまり、STEP1-3の動きがうまくできなかった方は、肘を動かす際に肩から先の腕に頼ってしまうあまり、背中の動きが消えてしまっていたと考えられます。こうした状態が長く続くと、健康に日常生活を送っている人でも、廃用症候群といってもいいような、かたい身体に陥ってしまう危険性があります。

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Fig1 肩甲骨と肘との連動
肩甲骨を背中の中心に寄せていくと肘は下を向きます(a)。逆に、肩甲骨を開いていくと、肘は横を向きます。(イラスト 三上修 看護学雑誌72巻2号より)

 

上半身の連動性を高める

 

 背中と腕との連動性を高めるには、日常生活のなかで全身の連動性を意識することがいちばん大切です。そのうえで、連動性を高めることに焦点をおいたエクササイズを行うとよいでしょう。今回は、肩甲骨を開くエクササイズをご紹介します。

 

肩甲骨を開くエクササイズ

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1 背筋を伸ばし、両肩のつけねを、指で触れる
2-3 そのまま、両肘を身体の前でつけるように前にもってくる。肩甲骨が大きく左右に開く。再び1に戻り、繰り返す。(イラスト 三上修)

 

写真でも動画でも、私は肘をつけるにともなって前かがみになり、しゃがみ気味になっています。背中の筋肉を動すと全身に影響が及ぶため、自然とこのような動きとなりますが、無理に全身の動きまで真似していただく必要はありません。1,2の動作を繰り返すうちに、自分のなかに生じてくる自然な働きを感じるように心がけてみるとよいと思います。
 

<働く身体のつくりかた バックナンバー>

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