働く身体のつくりかた 第4回

働く身体のつくりかた 第4回

2010.11.25 update.

岡田慎一郎  イメージ

岡田慎一郎 

1972年生まれ。理学療法士、介護福祉士,介護支援専門員。身体障害者,高齢者施設の介護職員,介護講師を務めるなかで、従来の身体介助法に疑問を抱き、独自に身体介護法を工夫。2003年、武術研究家の甲野善紀氏と出会い,その古武術の身体操法に感銘を受け、師事する。2004年頃から、古武術の身体操法を応用した「古武術介護」を提案したところ大きな反響を呼んだ。現在では、医療、介護施設などを中心に全国で年間200を超える講習会活動を行っている。
著書に『古武術介護入門(DVD付)』『DVD+BOOK 古武術介護実践篇』(医学書院)、『古武術介護塾』(スキージャーナル社)、『親子でいきいき 古武術あそび』(日本放送出版協会、2007)、『介護福祉士基本問題集』『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)などがある。
岡田慎一郎公式サイト(http://shinichiro-okada.com/

写真:安部俊太郎(http://shuntaro-color.com/

第3回よりつづく

第4回 背中と腕の連動性(3)

 

日常的な身体の使い方を見直すエクササイズとして、背中と腕の連動性をみるエクササイズを前々回から行っていますが、今回はひとまずそのまとめです。

 

肘を回す STEP3

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イラスト:三上修

(看護学雑誌2007年2月号より)

 


STEP3では、両手を前に出し、支えのない状態で、両方の肘を動かしてください。手首から先が一緒に回らないようにするのは同じです。STEP1、STEP2と比べても、今回は格段に難しくなります。


初めて取り組んでSTEP3までできる人は滅多にいませんので、できなくても気にしないでくださいね。休憩時間など、気が向いたときに取り組んでいると、いつの間にかできるようになります。

 

STEP3をクリアした人は、支えなしで両手同時に、あるいは左右互い違いに肘を動かすことにもチャレンジしてみてください。

 

まとめ

 

実は、「肘を回す」STEP1-3のエクササイズで問われるのは「背中と腕の連動性」です。手首から先を動かさずに肘だけを動かすためには、背中から肩にかけての筋肉を上手に使う必要があります。逆にいえば、「肘を動かそうとするとどうしても手首から先が回ってしまう」という人は、背中や肩の筋肉を使わず、むしろ(動かしやすい)手首から先を回すことで、肘を動かそうとしているのです。

 


あまり意識しなくても自在に動く手(手首から先)に、日常から動作の大部分を頼りきっていると、背中や肩など、体幹部に近い部分の筋肉を使わなくなってしまいます。その結果、背中から肩にかけての筋肉が随意に動かなくなってきます。いわば、軽い廃用症候群を起こしている、と考えればよいでしょう。

 


次回より、こうした体幹部を有効活用するエクササイズを紹介していきますが、それらを行いつつ、ときどき「肘を回す」STEP1-3にも取り組んでください。それによって自分の身体の状態を客観的にチェックしていただくことが、改善への第一歩となると思います。
 

第5回に続く。

<働く身体のつくりかた バックナンバー>

第5回は12月8日(水)UP予定です。

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