刊行即重版! 著者に聞いてみた『ナラティブホームの物語』

刊行即重版! 著者に聞いてみた『ナラティブホームの物語』

2015.4.23 update.

 

 3月に刊行された『ナラティブホームの物語 終末期医療をささえる地域包括ケアのしかけ』。

 昨秋、朝日新聞に著者インタビュー「(2014衆院選)高齢者医療に足りぬもの」が先行掲載されたり、かねて医療界の枠を超えた注目が高まっている富山県砺波市の医療法人社団ナラティブホームの実際がわかるとあって、前評判も上々。発売前から予約が相次ぎ、上梓から10日間程で異例の重版出来となりました。

 今回、霞ヶ関に寄られる上京日に、ターミナル駅の雑踏で待合せ。「ひさびさ映画でも観ようかなって思ってた(笑)」空き時間をつかまえて……

 

著者・佐藤伸彦さん(ものがたり診療所所長)本人に感想を聞いてみました

 

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――あらためて、ご執筆おつかれさまでした。刊行後、読者の反響はいかがですか?

 

 装丁がピンク地で、明るくに仕立ててもらったおかげで手に取りやすいようで、各地で講演の機会に設定いただいているサイン会での評判も良いです。ただ、実際に読みだしてみると、「(内容が)重くて、つらい」という感想がすぐ届き出しましたね。    

     

 

――冒頭から人の死がでてきますものね。

 

 でも、読み続けました」と、皆さん言ってくれて。人の死って、やっぱり軽く読みとばせるものじゃないです。重く受けとめるものだと思いますし、じっくりページをめくってもらえたら嬉しいです。

                        

 

――Amazonでの配本日が3月9日。すぐ「ランキング1位(臨床看護学)」になりました。それに先立って2月末、北海道での講演会・サイン会がお披露目の機会に。

 

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 以前からの日程がタイミング良く入っていて、間に合って良かったです。

 

――お騒がせしました…。ぎりぎりで製本トラブルが起きかかったのですが、印刷会社の担当者がすぐ連絡してくれて、日曜日に打開して事なきを得まして。

 

 おかげで、江差、函館の連続開催で50冊づつ展示は完売で。サインなんて書きなれないから、けっこう腕が疲れました。それから、宮崎県の延岡の講演会でも完売。同時期に小川利久さん主催のエイジングサポートセミナーでも、私いないのに、でもいいからと(笑)、お披露目で展示していただきました。

 せっかく呼んでいただける講演の機会はこれからも大事にしたいのですが、砺波での診療が基本ですから、原則、月に1回だけお引き受けしています。

 今決まっているのが 5/23大垣(岐阜)、6/20東久留米(東京)、7/10・11北海道エイジングセミナー、7/25宮古島(沖縄)、8/22ケアDO北海道、9/12鹿追(北海道)、10/29学会シンポジウム(京都)、12/10横浜 です。委細は、おって主催の方の公表を待ってくださいね。

 

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函館での講演会スタッフ集合写真

 (前方左から三番目:しかけ人の医療ソーシャルワーカー Aさん)

 

大学病院(総合診療科)と連携し、医療は地域ぜんたいでささえる

 

 基盤ができた今は、ナラティブホーム・ものがたり診療所として次のステップに進んでいます。これまでのお付き合いを経て地域の基幹である(富山)大学病院の総合診療科との連携がうまくいっていて。私がもし倒れたとしてもバックアップしてくれる体制が大事ですし、私は思うんですが、ジェネラリストの教育って、看護師さんや介護福祉士さんと医師で共通の基盤があったほうがいい。医療人育成プロジェクトとして整備できないかなんて相談をしています。
 

 

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――現在、初動段階での読者の多くは女性、看護職の方が多いです。これから、どんな層に読んでいただきたいですか?

 

 自分と同世代の、つまりもう終わりが見えてきたおじさん世代かな。というのは、いわゆる多死社会が確実とされる2025年問題も、ほんの10年でいやおうなく過ぎてゆくわけです。若い世代には、より未来のことにも目を向けて取り組んでほしいって思います。

 もちろん若い人に読んでもらえたら嬉しいけど、若い看護師さんやヘルパーさん、特に研修医やレジデントたちは、まずは自分自身の医療技術や知識の研鑽に励んでから、ナラティブホームにも「弟子入り」なんて言ってきてほしいなって。学校出ていきなり来てくれても、その気持ちって大事だけれど、何にもできないから。医療者はプロじゃないと行き詰ります。

 

 日本中の同じような志をもった人がいる医療機関や施設を、若い人が研修しながら全国をぐるぐる回って、ひとを育てあうしくみもつくれたらって、相談しているんですよ。

 

――まだ未公開(now printing)ですが、貴著についての記事がこれからどんどん世に出ることになっています。これから本書に興味を持たれて読まれた方に、こんなことを聞いてみたいという著者からの要望は?

 

 「ナラティブの侵襲性」についても考えてほしいし、一緒に考えたいです。というのは、ナラティブって、本書では別テーマになってしまうからきちんと紙数を割いていないですが、誤って使うと患者さんや医療者自身にも害が及んでくるものです。「いのち」と「生命」の二項対立じゃなくて「二項バランス」がキモであることも、読者の方はどう思われるのか、伺ってみたいですね。

 

――最後に。本書で実際に登場されているばあちゃんやじいさんからの反響と、期せずして「ボーナストラック」になったお父様からの色紙について、いわくを紹介いただけませんか。

 

 ばあちゃんたちは掲載のお願いのときからみな快諾で、実際に載って大喜びでした。わざわざ何冊も買ってくれて、生前に撮った記念写真の隣にこの本を飾ってくれてたりしていて、嬉しかったですよ。

 あの色紙は、お手数をおかけしてありがとうございました。

 亡くなった父が末っ子の私あてに遺した言葉を、あれ実際は母が代筆したそうで、自分もこのタイミングで初めて存在を知ったんだよね。茨城県で暮らしている姉が何十年もしまい込んで忘れてたものが「出てきたよ」と、まず写メを送ってくれたのでした・・・驚きました。

 

――それで、お姉さまからすぐ編集部に送っていただいてスキャンして、それからやっと砺波のお手元に届けたのでした。もう台割(本の設計図)も確定していたのを組み直して。こんなことってあるんですね。伸彦の本が出るんだからいま出てこようって(笑)、モノや言葉の魂が思われたのかも。

 

 それはわかんないけどね(笑)。でも、本当にありがとうございました。

 

             

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ナラティブホームの物語 終末期医療をささえる地域包括ケアのしかけ

佐藤伸彦 著【A5版・272頁・1,800円+税】
超高齢・多死社会を迎えたこの国で、人が安心して死ねる住まいをめざしたチームが富山県砺波市にある。家庭のような病院をめざした医師と、患者固有の物語に添ったケアを追求する看護師と介護福祉士たち。2010年開設以来、全国から熱い注目を集めるナラティブホームはどのように誕生し、日々運営されているのか。さらにその診療、看取り、エンゼルメイク、葬儀、アルバム作りまで、医療者の実践の詳細を1冊にまとめた。

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