6.1UP! 管理栄養士さんに聞く「食」のお話(4)

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日常生活の中で「あー、今日も腎臓がよく働いてくれているな。」と実感することは無いと思いますが、腎臓は毎日とても大事な働きをしています。例えば、皆さんが食事としてとんかつを食べるとします。とんかつに含まれるたんぱく質は体内で代謝され、余分なものは老廃物として血液中に溜まります。この老廃物をろ過するのが腎臓の働きです。

 

たんぱく質を食べ過ぎるとたくさんの老廃物が血液中に溜まり、腎臓に負担がかかります。その為、腎臓病になるとたんぱく質を制限する食事になるわけです。しかし、ただ単にたんぱく質を減らせば良いかというとそうではありません。たんぱく質は体の細胞を作る大事な栄養素の1つです。その為、食事制限の際には適量の「良質なたんぱく質」を摂ることを重視します。では、一体、良質なたんぱく質というのはどんな食品のことでしょう?

 

人間の細胞は20種類のアミノ酸(たんぱく質の素)で構成されており、その中でも生体内では作ることができない9種類のアミノ酸のことを必須アミノ酸と言います。人間に必要な必須アミノ酸が食品中にどれだけバランス良く含まれているかを表しているのがアミノ酸スコアです。このアミノ酸スコアが100に近ければ近いほど「良質なたんぱく質」と言われています。

 

アミノ酸スコアが高い代表的な食品は卵、肉・魚・牛乳などいわゆる動物性のたんぱく質です。たんぱく質だけ摂ることを考えると、植物性の食品を摂るよりも動物性の食品から摂った方が、余分な老廃物を作らずに必要なたんぱく質を摂ることが出来ます。その為、腎臓病の人は植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質を適量摂ることで、腎臓にかかる負担を軽減出来ます。

 

しかし、動物性たんぱく質だけ摂っていればいいかというとそういうわけではありません。動物性たんぱく質には脂質が過剰に含まれていることが多いからです。脂質は人間の細胞膜を作るための大事な栄養素ですが、摂り過ぎると動脈硬化や心臓病の原因になります。植物性のたんぱく質の代表でもある「大豆」製品にはコレステロールを低下させる働きや、イソフラボンによる抗酸化作用が期待出来ます。

 

でも、植物性たんぱく質はアミノ酸スコアが低いのでは?と心配になる方がいらっしゃると思います。食物性たんぱく質の代表でもある「大豆」製品、例えば豆腐のアミノ酸スコアは86です。100までは届きませんが良質なたんぱく質と言えるでしょう。しかし、精白米はアミノ酸スコアは65とあまり高くありません。ところが、大豆製品と精白米を一緒に摂ると、大豆製品に不足している必須アミノ酸はが精白米には多く含まれ、精白米で不足しているアミノ酸は、大豆製品に豊富に含まれているので、お互いの不足を補い合いアミノ酸スコアが100に近くなると言われています。その為、アミノ酸スコアをより良くするには大豆製品と精白米を一緒に食べると良いでしょう。

 

このように上手な組み合わせで良質なたんぱく質を摂り、健康維持にお役立て下さい。

 

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このページは、igs-kankanが2011年6月 1日 12:00に書いたブログ記事です。

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