第12回 IVRは一期一会?(問題提起)

第12回 IVRは一期一会?(問題提起)

2018.2.09 update.

IVR看護研究会

 2000年に発足し、安全安楽かつ効果的に患者がIVRを受けられるようにIVR看護のあり方を検討する場です。放射線科における看護の臨床実践能力を高めるため専門知識や技術の習得、研鑽をめざし、チーム医療における看護師の役割を追究し、また、IVR看護師の専門性を確立するため、継続して学習する場、人的交流の場を提供することを目的としています。

 発足間もなくから開催している研究会(セミナー)は、3月16日に第19回を迎えました。記念すべき第20回は、2020年3月7日に開催予定です!


公式webサイト:http://www.ivr-nurse.jp/
Face book @ivrnurse2016

 

◎エピソード

 

F看護師のもやもや

 

IVR室勤務5年目となった私は、患者さんと短時間の関わりの中でもうまくコミュニケーションが取れるようになり、スムーズにIVRをこなしてきました。

そんなある日のことです。私は、患者さんの入室を待っていました。担当する患者Aさんは50代の女性。膵がんの患者さんで減黄のためにPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ)を行う予定でした。

IVR室の自動ドアが開き、病棟看護師がストレッチャーに乗ったAさんとともに入室してきました。私はいつものように、マスクを取ってAさんに挨拶をし、フルネームの確認を行いました。Aさんは名前を名乗ってくれましたが、私と目を合わそうとしません。

「あれ? 緊張してるからかな? 初めてだし不安もあるよな。1つひとつ、しっかり説明しながらやろう」と私は思いました。

そして、IVRが開始されました。Aさんのそばに寄り添い、1つひとつ今の状況やこれから行うことについて説明しながら術中のケアをしました。でも、Aさんは目も合わせず、そしてその目からは涙が流れていました。

PTCDが留置され、IVR30分ほどで終了しました。私はAさんとうまくコミュニケーションがとれなかったことに、もやもやした気持ちを抱えながらも、病棟看護師にAさんの状況を申し送りました。すると病棟看護師から「手術をするつもりで転院してきたけど、手術適応はないって今日IC(インフォームドコンセント)されたばかりなんですよね」と話がありました。その時、私はハッとさせられました。

IVRは患者さんと一期一会なことも多いのですが、数日後、Aさんは胆管ステントを挿入するために再びIVR室に来ることがわかりました。Aさんのことがずっと気になっていた私は、担当させてもらうようにしました。

入室時の挨拶の時でした。Aさんはしっかりと目を合わせてこう言いました。

「抗がん剤をやることにしたの。頑張ろうと思って。あの時はごめんなさいね」

私は、前向きになっているAさんを見て嬉しく思いました。

 

◎問題提起

 

患者さんと思うようにコミュニケーションを取ることができずにもやもやしていたF看護師。後日、気持ちが前向きに変化した患者さんと再会します。

この患者さんの状況の変化をふまえ、あの日のF看護師はどのようなケアを行えばよかったのでしょうか?

 

(IVR看護研究会 浅井望美)

 

 

<つづく>

 

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