がん患者のための食事レシピ No.011

がん患者のための食事レシピ No.011

2011.4.26 update.

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プロフィール

川口美喜子
島根大学医学部附属病院臨床栄養部副部長・管理栄養士。2005年より島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働に携わる。
病院栄養士になってから、食事に悩む患者さんのために患者さんに寄り添える栄養士が必要だと感じていました。そんなとき、院内で事務職に就いていた青山栄養士に出会い、共に歩んでくれるように説得しました。青山栄養士は辛い思いをしながらも、楽天的で無頓着な私と活動を共にしてくれました。最近は、私よりも強く逞しく大きな心で食の奥深さを語ってくれます。親子ほど年の離れた私たちで、患者と家族の体と心を和ます命を繋ぐ病院食を考えていこうと思います。

青山広美
日清医療食品(株)島根大学医学部附属病院事業所・栄養士。
初めてがん治療に苦しむ患者さんに会った時、「今は食欲がないから何もいらない」「治療が辛くて食べる気分にならない」「食べられないから来なくていいわ」と言われることばかりでした。「食欲はないけど、私は生きるために食べたい」という言葉に驚きとショックだったことを覚えています。毎日が特別な食事ではないけれど、患者さんのその日、その時食べたい希望に合わせた調理は、人を思うやさしい料理になると思います。

パスタムース

 

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対応

嚥下困難 柔らかいものを好む人 食欲不振

 

レシピの背景

入院期間が一年近くと長く、入院生活に疲れた患者さんでした。また、コミュニケーションがなかなかとれず、食事の要望を聞くのに時間がかかっていました。

 

「食べたい物が思い浮かばない」という患者さんのためにいろいろな工夫を行いましたが、日に日に病状は悪くなる一方で、不安なことがたくさんあり、食事のことを聞いても「いまは何も食べたくない」といわれるばかりでした。

 

ある時、患者さんから「ケチャップ味のものは好き」と教えてもらいました。しかし、ケチャップ粥を出してみたところ「おじやは嫌い」といわれ、新たなメニューを考えることになりました。

 

調理のポイント

パスタは袋のゆで時間より長くします。30?40分は茹でて、芯が残らないようにします。芯が残っているとミキサーにかけた時、滑らかさが悪くなります。

 

 

レシピ紹介(3人分) 

 

一人当たりエネルギー60kcal、たんぱく質1.6g

<材料> 

【ソフトパスタ】

乾燥パスタ     90g

湯冷まし      270cc

塩          少々

ソフティア2※    6g

 

【トマトソース】

トマトピューレ  60cc

たまねぎ     60g

トマトケチャップ  15g

塩          0.6g

砂糖         6g

水         30cc

コンソメ       0.5g

 

<作り方>

(1)パスタを柔らかく茹でる。(30から40分位は茹でて柔らかくしておく)

(2)柔らかく茹でたパスタを湯冷ましとともにミキサーにかける

(3)鍋に(2)とソフティア2※を加えてよく混ぜ、火にかけて80℃まで温度を上げる。荒熱を取ってビニール袋に入れ、冷やし固める。

(4)ゼリー状に固まったら、器に搾り出し、トマトソースをかけたら完成!!

 

【トマトソース】

(1) たまねぎはスライスしてから柔らかく茹でておく

(2) (1)に水、砂糖、コンソメを加えて火にかけひと煮立ちさせ、ミキサーにかける。トマトケチャップとトマトピューレ加えて味を整える。

 

提供を終えて

患者さんからは久しぶりにパスタの味が楽しめたと喜んでいただけました。ソースを変えれば、何通りも楽しめるメニューです。

 

ムース麺はそば、うどんでも同じように作れます。年越には、このムース麺を使えば、家族みんなで年越しそばを楽しんでもらえるのではないでしょうか。

 

また、もう少し食感を残したい場合には、茹でた麺を粒が残る程度にミキサーにかけます。こうすると、麺の食感を楽しめます。このとき、麺は柔らかく茹でておいたほうがミキサーにかけやすいようです。

 

 

※ソフティア2 (ニュートリー株式会社)

食品のゲル化剤ソフティア2のゲルは、60℃でも溶解せずセットできます。暑い季節でも室温で溶けず、寒い季節には温めても使用できます。味噌汁などの温かいゼリーを作ることも可能です。


 

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