がん患者のための食事レシピ No.004

がん患者のための食事レシピ No.004

2011.1.11 update.

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プロフィール

川口美喜子
島根大学医学部附属病院臨床栄養部副部長・管理栄養士。2005年より島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働に携わる。
病院栄養士になってから、食事に悩む患者さんのために患者さんに寄り添える栄養士が必要だと感じていました。そんなとき、院内で事務職に就いていた青山栄養士に出会い、共に歩んでくれるように説得しました。青山栄養士は辛い思いをしながらも、楽天的で無頓着な私と活動を共にしてくれました。最近は、私よりも強く逞しく大きな心で食の奥深さを語ってくれます。親子ほど年の離れた私たちで、患者と家族の体と心を和ます命を繋ぐ病院食を考えていこうと思います。

青山広美
日清医療食品(株)島根大学医学部附属病院事業所・栄養士。
初めてがん治療に苦しむ患者さんに会った時、「今は食欲がないから何もいらない」「治療が辛くて食べる気分にならない」「食べられないから来なくていいわ」と言われることばかりでした。「食欲はないけど、私は生きるために食べたい」という言葉に驚きとショックだったことを覚えています。毎日が特別な食事ではないけれど、患者さんのその日、その時食べたい希望に合わせた調理は、人を思うやさしい料理になると思います。

■レシピNo.004 魚のおろし包み  

 

 

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対応

食欲不振、嘔気・嘔吐のある方、魚のにおいが気になる方

 

レシピの背景

食後に嘔気を誘発することが多い患者さんでした。患者さんの希望に沿って食事をつくりましたが、やはりは吐き気があるようでした。食事をされる様子を見せていただくと、噛む回数が少ないことがわかりました。

 

調理のポイント

魚のほぐし具合で仕上がりの口当たりが変わりますので、患者さんの嚥下状態や好みによって変えるのがポイントです。よくほぐすと飲み込みやすく、荒めにほぐすと魚の食感が残り喜ばれます。大根おろしゼリーの皮で包むことで魚の匂いが薄れるため、「食器のフタを開けたときの魚の匂いが嫌で食べられない」という方にも向いた魚料理です。

 

管理栄養士としての患者さんとの関わり

食事にかかる時間が早く、口に入れた食べ物をすぐに飲み込んでしまうことが吐気・嘔吐の原因ではないかと感じ、患者さんには噛む回数に注意してもらいつつ、噛みやすく、またしっかり噛まなくても飲み込める食事メニューを心がけました。
本品のように、噛むことが少なく食べられるメニューを提供することで患者さんの希望に沿うことはできましたが、噛んで食べる練習にはなりませんでした。噛むことに注意しながら食べてほしいと思いましたが、長年の習慣もあり、よく噛んで食べていただくことは難しいようでした。

 

 

レシピ(3人分)
一人当たりエネルギー162kcal、たんぱく質29.6g 塩分2.0g
<材料> 
・煮魚(種類は何でもOK)  80g×3切れ

・だし汁                    150g

・長芋                       30g

・卵白                     卵3個分

・おろし大根             300g

・しょうゆ       15cc (大さじ1杯)

・塩                   1.5g

・ソフティア※     大さじ1杯

<作り方>
(1)煮魚は骨を取り除き、ほぐす。(ほぐし具合は個別に調整する。)
(2)卵白をよく泡立てメレンゲを作っておく。
(3)ほぐした魚に(2)とだし汁を加えてやわらかさを調整する。(患者それぞれの状態に合わせる)
(4)おろし大根をつくり、残りの調味料・ソフティアを加えて混ぜ合わせ火にかける。
(5)深めの小鉢にラップを敷き、(4)を入れて冷やし固める。
(6)魚のほぐし身を団子状にまるめ、(5)の大根ゼリーの皮でつつむ。(茶巾絞りの要領)
(7)器に魚のおろし包みと大葉を添える。大葉の香りで食欲UP!!

 

※ソフティア2(ニュートリー株式会社)
食品のゲル化剤 ソフティア2のゲルは、60℃でも溶解せずセットできます。暑い季節でも室温で溶けず、寒い季節には温めても使用できます。味噌汁などの温かいゼリーを作ることも可能です。

 

 患者さんの反応
「魚の臭いが抑えられていて良かった。見た目もいつもと違う魚料理で珍しかった」と喜んで食べてもらうことができました。嘔吐の回数も減り、付き添いの奥さんと共に食事を喜んで頂きました。
再入院時、奥さんから「退院後は“やっぱり家の食事がいい”と言ってくれるかと思ったら、夫は“病院の食事が懐かしい、食べたい”と言っていました。食事のことでは安心しています」という言葉を掛けていただきました。


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