第25回  私の勇気が患者を守る(問題提起)

第25回  私の勇気が患者を守る(問題提起)

2018.8.20 update.

IVR看護研究会

 2000年に発足し、安全安楽かつ効果的に患者がIVRを受けられるようにIVR看護のあり方を検討する場です。放射線科における看護の臨床実践能力を高めるため専門知識や技術の習得、研鑽をめざし、チーム医療における看護師の役割を追究し、また、IVR看護師の専門性を確立するため、継続して学習する場、人的交流の場を提供することを目的としています。

 発足間もなくから開催している研究会(セミナー)は、今年3月で第18回を迎えました。第19回は、2019年3月16日開催予定です。

公式webサイト:http://www.ivr-nurse.jp/
Face book @ivrnurse2016

 

◎エピソード

 

L看護師のもやもや

 

 先日、ASO(閉塞性動脈硬化症)の患者Aさんの下肢EVT(EndoVascular Treatment;血管内治療)を施行したときのことです。病棟から「高齢で多少認知症があり、腰椎圧迫骨折歴がある」と申し送りを受けました。この時L看護師は「Aさんは長時間仰臥位を保持することができるだろうか?」と不安を感じました。

 Aさんは「よろしくお願いしますね。なんだかよくわからないけど、先生から治療しようと言われたから」と言っています。L看護師も「足の治療なので、じっとしていなければならなくて辛いと思いますが、一緒に頑張りましょうね。痛かったり、辛いことがあったら教えてくださいね」と声を掛けながら準備しました。しかし「治療している足を動かさないでじっとしていることができるかな?」と不安は募ります。「途中でセデーション(鎮静)を実施するなら、はじめからしっかりセデーションをかけてほしいな」と考えましたが、医師へ言えないまま治療が始まりました。

 予想した通り治療は開始から5時間を超えました。「腰が痛い」「動きたい」「もうやめて」といった表出が増え、Aさんはもぞもぞ動き出しました。L看護師は「辛いですよね。もう少しですから頑張りましょうね」「危ないのでお辛いとは思いますが動かないでくださいね」と声をかけ続けました。

 そんな時、施行していた医師がL看護師に「動かれると治療できないんだ。動かないように足元でしっかり押さえて」と言いました。覆布がかかってしまった状態のAさんの足を、治療中動かないようにするための適切な固定方法がとっさには思い浮かびません。看護師はX線の出ている治療の間中、被ばくしながら患者さんの足を押さえることになりました。難渋する治療に、医師の言葉も「動くと危ないから動かないで!」と荒くなります。かなり時間がたって患者さんが随分辛い思いをしたのち、やっと医師から指示が出て、セデーションを実施することになりました。

 「なぜ治療が始まる前に『セデーションをしっかりかけてから治療を始めませんか』と言えなかったのか……」。L看護師はもやもやを感じました。

                                     

 

◎問題提起

 

 

 IVR治療の進歩に伴い治療時間も長時間になることがあります。意識下で長時間の同一体位保持はかなり辛いことです。生理的ニード・安全のニードが阻害された状況の患者さんの状態に合わせた適切な看護を提供するために、L看護師は「EVT施行前にセデーションをかけるほうがいい」と考えました。しかし、その考えを医師に伝えることができなかったのはなぜなのでしょうか?

(IVR看護研究会 増島ゆかり)

 

 

<次回につづく>

 
 

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