かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2018.6.11 update.
2000年に発足し、安全安楽かつ効果的に患者がIVRを受けられるようにIVR看護のあり方を検討する場です。放射線科における看護の臨床実践能力を高めるため専門知識や技術の習得、研鑽をめざし、チーム医療における看護師の役割を追究し、また、IVR看護師の専門性を確立するため、継続して学習する場、人的交流の場を提供することを目的としています。
発足間もなくから開催している研究会(セミナー)は、3月16日に第19回を迎えました。記念すべき第20回は、2020年3月7日に開催予定です!
公式webサイト:http://www.ivr-nurse.jp/
Face book @ivrnurse2016
J看護師のもやもや
IVR室に異動して3か月が経ちました。先輩から「記録だけじゃなく患者さんのこともみてね」と言われても、初めの頃は業務に追われ、とても患者さんのことなんてみられませんでした。でも、やっと少し余裕ができたようで、最近は患者さんの表情も気にするようになりました。そんなある日……。
患者さんの顏が汗で光っているのに気づき、バイタルをみると徐脈になっているじゃないですか! この状況に医師はまだ気づいていないみたい……どうしよう……。私からIVR中の医師に何かを言うなんて今まではできなかったけれど、患者さんを守るために言わなくっちゃ!
私が医師に報告した後、医師は硫酸アトロピンの指示を出し、すぐに脈は戻りました。患者さんの顔色もよくなり、その後無事にIVRは終了しました。
ホッとしながら片付けをしていると、そこに片付けを手伝いにきた先輩看護師が、硫酸アトロピンの空の容器を見つけ「コストは取った?」*と一言。私が「これからです」と返事をすると「忘れずにコスト取ってよ!」と注意を受けました。なんだかちょっと悲しい気分になりました。
さっきまで、自分が急変の早期発見をし、医師に報告し早期対応ができたことで無事にIVRが終わり、少し気分がよかった J看護師ですが、先輩からのひと言で意気消沈してしまいました。
先輩からしてみたら、コスト漏れが無いように確認しただけのことなのでしょうが、このように、何気ない言葉かけが意図せず後輩のモチベーションを下げていることはよくある話です。
それでは、先輩看護師はどんな言葉をかければ効果的な育成につながったのでしょうか?
(IVR看護研究会 野口純子)
<次回につづく>
*「コストを取る」
病院の収入は、診療報酬という、点数で表現された医療行為の価格で決まっていきます。
診療報酬は、「基本診療料」と「特掲診療料」の2つに分かれますが、 この2つを医療費として患者さんに請求することになります。 特掲診療料とは、保険診療における治療行為に対する点数で、 IVRは主にこの部分で収入に貢献しています。そのため IVRでは、使用した薬剤や器材、行った処置などを記録し、 医事課や会計課などに報告することが必要になってきます。
ここで報告し忘れると、 薬剤や器材を使用していないことになり、病院が損をすることになるため、 請求漏れがないように、使用した薬剤などを記録していくことを「コストを取る」という表現で使用しています。