第2回 「酸素の需要・供給バランスの指標」と「ショックの分類」

第2回 「酸素の需要・供給バランスの指標」と「ショックの分類」

2014.4.08 update.

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片岡 惇

千葉大学医学部卒業。武蔵野赤十字病院にて初期研修を行い、その後同救命救急科へ。3次救急とICU管理を日々行っています。患者さんの長期予後を見据えた全身管理が出来る集中治療医を目指しています。

前回は、ショックとはどんなものなのか、振り返ってみました。

 

第1回では 「血圧が下がらなくてもショックが起こっているかもしれない」ということをまとめました。では、血圧が下がらなくてもショックならば、酸素の需要・供給バランスがくずれていることをどのように認識すればよいでしょうか。

 

1つは第1回でも挙げた各臓器の症状です。それを数値として捉えることができるものが、「乳酸値」と「ScvO2またはSvO2」です。

 

■乳酸値

「乳酸値」は、組織で酸素が足りない状況で代謝が行われた際に、産生される物質です。ということは、乳酸値が上昇していると、組織で酸素が足りないということを示していることになります。

 

正常値は2mmol/L(18mg/dL)以下です。単位が測定器によって異なりますので、自施設の単位を確認してみてください。

 

もちろん例外はあります。乳酸は肝臓で代謝されるので、肝機能障害がある場合は上昇してしまいます。その他、薬物でも乳酸を上昇させるものがありますので注意してください。

 

■ScvO2

「ScvO2」は上大静脈から採血された血液のヘモグロビン酸素飽和度、「SvO2」は肺動脈から採血された血液のヘモグロブリン酸素飽和度のことです。これらは組織を通過して酸素が消費され、心臓に戻ってきた場所での酸素飽和度なので、低値を示す場合、酸素の供給量が少ない状況であることが多いということになります。

 

ショック時では、ScvO2を70%以上、SvO2を65%以上に保つとよいとされています。

 

この2つの数値をチェックすることで、ショックの早期発見にも役立ちます。

 

ショックの分類

 

ショックの発見、対応をするためには「ショックの分類」を知る必要があります。

 

ショックは大きくわけると4つに分類されます。

 

  代表的疾患
心原性

急性心筋梗塞、不整脈、心筋症、心筋炎

循環血液量減少性 出血(外傷、上部消化管出血)、脱水
血液分布異常性 敗血症、アナフィラキシー、神経原性(脊髄損傷)
閉塞性 心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓症
 

 

それではそれぞれの生理学的変化をみてみましょう。第1回でふれた、酸素供給量と血圧の式を見直し、どこが下がってショックとなっているかを確認して下さい。

 

 

心拍出量

左室充満圧

(前負荷)

末梢血管抵抗

心原性

循環血液量減少性

血液分布異常性

↑or→

or→

閉塞性

or→

 

 

■心原性ショック
急性心筋梗塞や心筋炎、不整脈などによって、心収縮力が低下することで、心拍出量が低下します。

  

■循環血液量減少性ショック

外傷による出血や消化管出血、または嘔吐・下痢などによる脱水、などにより循環血液量(前負荷)が減少し、心拍出量が低下します。

  

■血液分布異常性ショック
敗血症やアレルギー、脊髄損傷による自律神経障害により、末梢血管が拡張し、末梢血管抵抗が低下します。循環血液量が十分にあれば、最初は代償的に心拍出量は増加します。そのため末梢の血管拡張により、四肢は温かくなりますが、その後心拍出量が低下してくれば、四肢は冷たくなります。脊髄損傷は、通常のショックと異なり、代償機構が働かないため、徐脈となります。

 

  ■閉塞性ショック
その特徴は、心臓への血液灌流の障害と後負荷の増加です。心タンポナーデでは、心臓周囲の心嚢液増加により心室の拡張が障害され、心拍出量が低下します。緊張性気胸では、気胸による圧迫で静脈還流が低下し、心臓へ流入する血流が低下するので、心拍出量が低下します。肺塞栓症では、右室の後負荷が増大し、右室からの心拍出量が低下します。
 

簡単にまとめてみましたが、ショックの分類によって、対処法であったり治療の方法が変わってきますので、特徴をしっかり押さえておきましょう。

 

次回は「ショックの治療」について解説していきます。

 

第2回「酸素の需要・供給バランスの指標」と「ショックの分類」了

 

第1回 「ショックとは?」

第2回 「酸素の需要・供給バランスの指標」と「ショックの分類」

第3回 「ショックの治療」

 

 

 

 


 

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