せん妄を予防するためのケア

せん妄を予防するためのケア

2013.12.16 update.

 みなさんはせん妄ケアで困ったことはありませんか。夜勤の際に受け持ちの患者さんが昼は穏やかだったのに急に大声を出す、人工呼吸器装着中の患者さんがどうにも落ち着きがない、要望を聞いても返事がない・・・などさまざまな場面で「これって、せん妄?」と思うようなケースに出会うのではないでしょうか。

 せん妄のことをきちんと知って、せん妄を起こさせない、起きてもあわてないようなケアを身につけましょう。

 

せん妄とは

 せん妄はDSM- Ⅳ TR などの定義をまとめると「急性可逆性精神障害で、錯乱と何らかの意識障害によって特徴づけられる。一般的に、情動易変性、幻覚または錯乱を伴い、また不適切で衝動的、非合理的、暴力的行動を伴う」とされています。

 要点をまとめると以下のようになります。

 

せん妄 図1.JPG

 

せん妄は3つの型に分けられる

 せん妄は、精神運動活動と覚醒レベルに基づいて、過活動型、低活動型、両者の特徴が交互する混合型に分類されています。

 過活動型は、幻覚、妄想、焦燥性興奮、失見当識があらわれるのが特徴です。低活動型は、錯乱(感情や思考の混乱)と鎮静があらわれるのが特徴で、幻覚、妄想、錯覚を伴うことが少ないとされています。

 

 せん妄 図2.JPG

 

せん妄ケアの必要性

 急性期病棟や高齢者が多い施設など、入院患者の多くがせん妄発症の高リスク患者である場合、せん妄ケアは重要かつ困難な課題といえます。

 せん妄ケアでは、以下のような包括的な取り組みにより、入院期間の短縮やせん妄の発症頻度を下げることに効果があるといわれています。

 

 せん妄 図3.JPG

 

せん妄を予防、早期終息するために 

 せん妄を予防、早期終息するために推奨されている主なケアを示します。

 物的・人的資源に加え施設の構造や対象とする患者の特性からここに示したケアをすべて実践するのは困難かもしれませんが、せん妄を予防、早期終息させて患者の回復を促すためには、可能な限り日常的なケアの中に取り入れていくことが望まれます。

 

●せん妄を予防するために必要なケア

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●せん妄を早期に終息させるためのケア

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<本稿は、書籍『せん妄であわてない』を元に、再構成したものです> 

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