歯科との連携で看護師の負担軽減!?

歯科との連携で看護師の負担軽減!?

2012.3.27 update.

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岸本 裕充

兵庫医科大学歯科口腔外科学講座准教授。1989年阪大歯学部卒。卒後兵庫医大にて臨床研修。96年同大助手,2002?04年米国インディアナ大医学部外科に留学。05年兵庫医大講師,09年より現職。口腔ケアから頭頸部癌治療,インプラントまで幅広く取り組む。2011年に編著『《看護ワンテーマBOOK》成果の上がる口腔ケア』(医学書院)を上梓。

「周術期の口腔機能管理」が新設!

 

本年(2012年)4月からの平成24年度診療報酬改定で、「周術期の口腔機能管理」という項目が新設されました。頭頸部・消化器がん、心臓血管外科等の全身麻酔での手術を受ける患者に対し、術前には口腔清掃(必要なら応急的な歯科治療も)、それに加え術後には咀嚼や嚥下などの口腔機能の向上を図り、経口摂取・栄養の改善につなげます。これによって、誤嚥性肺炎等の合併症を予防し、回復を促すことによって在院日数の短縮やQOLの向上を期待するものです。手術だけではなく、口腔領域に障害を生じる放射線治療やがん化学療法を受ける患者も管理の対象となります。

 

歯科を併設しない病院では、他の医療機関の歯科に患者を紹介し、口腔機能の管理計画の策定(以下、「周計」と略)を依頼することができます。通常は、周計をした歯科でそのまま周術期の口腔機能管理(以下、「周管」と略)を実施しますが、患者の「かかりつけ歯科」に周管を依頼することもできます。

 

歯科との連携で看護師の口腔ケア負担を減らすことができる!

 

手術、放射線治療や化学療法を実施するのは医師からの依頼を起点として、歯科医師が周計します(:連携のイメージ;厚労省HPより)。口腔がんや顎骨骨折など、歯科医師が自分で治療する場合は、歯科医師が治療と周計を兼ねますが、いずれにしても歯科のレセプトで算定するものです。したがって、病院での看護師による口腔ケアに対して保険点数がついたのではありません。読者の中には「なぁんだ」とがっかりされる方がいるかもしれませんが、周管を計画的に導入することによって看護師による口腔ケアの負担を確実に減らすことができるのです。

 

患者のセルフケアが期待できない場合には看護師が口腔ケアを行なう。これは絶対に必要なことで、点数がつく、つかないにかかわらず、実施しなければならない必須の基本ケアです。以前は、「絶食にしているので歯みがきはしなくても大丈夫」というような誤解がありました。実際には、絶食中は唾液の分泌など口腔の自浄性が低下しているため、むしろ「食べていない口が意外に汚い!」ということが少しずつ認知されるようになり、ICUで経口気管挿管中、というような患者への口腔ケアは人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia; VAP)を含めた肺炎の予防になることから、少しずつではありますが積極的に取り組まれるようになりました。

 

でも、それでも時々、看護師の皆さんは口腔ケアでどうしたらいいか、困ることはないでしょうか。「グラグラと動揺している歯があるため、もしくは歯肉から出血しそうで、口腔ケアを実施しにくい」「口腔ケアをがんばっているのに、口臭が改善しない」という経験があるはずです。

 

実は、周管によって、これらの解決が可能な場合が多いのです。まず、歯科における事前の的確な口腔のアセスメントが大切で、動揺している歯があれば、前もって抜歯しておく、もしくは動揺していない歯を固定しておけば、口腔ケアを実施しやすくなります(:口腔環境の整備)。

 

また、口臭が改善しない時、口腔ケアが不充分な場合もたしかにあるのですが、むし歯や歯周病が放置されたままでは、たとえ口腔ケアを完璧にしても口臭が改善しないため、応急的にでも歯科治療をしておく必要があります。

 

つまり、看護師が口腔ケアに関わる前の段階から歯科の介入を開始しておくと、口腔ケアが容易になる、というわけです。この医科歯科連携は本院が他施設に先駆けて取り組んできたものです。「成果の上がる口腔ケア」(P14~19参照)をご参考にしていただければ幸いです。

 

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成果の上がる口腔ケア

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