マダニが媒介する新しい感染症―SFTS

マダニが媒介する新しい感染症―SFTS

2013.2.16 update.

宇田川廣美 イメージ

宇田川廣美

東京警察病院看護専門学校卒業後、臨床看護、フリーナース、看護系人材紹介所勤務を経て、フリーライターに。医療・看護系雑誌を中心に執筆活動を行う。現在の関心事は、介護職の専門性と看護と介護の連携について。「看護と介護の強い連携で、日本の医療も社会も、きっと、ずっと良くなる!」と思っている。

中国、米国、そして日本にも。

 

マダニが媒介して起こる新しい感染症とは、重症熱性血小板減少症候群―SFTS(Severe fever with thrombocytopenia syndrome)というものです。2009年3月~7月にかけて、中国中央部で原因不明の疾患が集団発生し、そこでSFTSが確認されました。2009年には、米国ミズーリ州でSFTSに似た症状の患者が発生し、その検体からSFTSウイルスにとても近いウイルスが検出されています。

 

そして、今回の日本での発生。冒頭のリード文でも述べたように愛媛県と宮崎県で2名の患者が発生していますが、他地域でもSFTSを疑われる患者が発生し、現在、検体検査が進められており、今後も患者数は増える可能性があります。また、今回の日本での患者に渡航歴はなく、ウイルスの遺伝子レベルも中国で発生したものとは異なり、日本国内に存在しているウイルスとみられています。

 

潜伏期間6日~2週間、致死率10~30%。

 

SFTSの感染経路はマダニによる咬傷からといわれていますが、実際にはダニに咬まれた覚えがなかったり、身体を調べてもダニに咬まれたであろう傷跡が確認できない場合も多くあるそうです。また、感染患者の血液・体液による接触感染も報告されています。

 

マダニに咬まれた経験者は、「蚊やブヨなどは痒さで咬まれたことに気づきますが、マダニに咬まれても痛みも痒みもありません」と言います。マダニは直径3~4mmほどの大きさで、吸血するとさらに大きくなります。もちろんマダニに咬まれた人がすべてSFTSウイルスに感染するわけではありません。ただ、現時点においてSFTSウイルスに対するワクチンはなく、対症療法で経過を診ていくしかありません。それだけに、SFTSウイルスを媒介するマダニに咬まれないように予防することが何より大切となります。

 

表 SFTS

潜伏期間

症 状

検査所見

致命率

6日~2週間

発熱、倦怠感、

食欲低下、消化器症状、リンパ節腫脹、

出血症状。

血小板減少(10万/㎜3)、白血球減少、

血清電解質異常(低Na血症、低Ca血症)、

血清酵素異常(AST,ALT,LDH,CK上昇)、尿検査異常(蛋白尿、血尿)。

10~30%

 

 

特に春から秋にかけて要注意。

 

マダニに咬まれないように注意することは、SFTSのほかにマダニ類が媒介して罹る日本紅斑熱症、ライム病、ツツガムシ病などの予防のためにも大切です。では、そのために心掛けることは・・・

 

1. 草むらや藪など、マダニが生息する場所に立ち入る際は、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を最小限にします。

 

2. アウトドアスポーツや趣味の家庭菜園などの後は、マダニに咬まれているところがないか、身体を確認しましょう。

 

そして、ペットと一緒に暮らしている方は、是非、パートナーである猫や犬にもマダニ予防を行いたいものです。我が家の愛犬は、散歩のたびに草むらをガサゴソ探訪し、そこに潜む猫ちゃんに恫喝されることがしばしばあります。そんな草むら好きの彼らにマダニ予防は必須。

 

ダニの活動が盛んになる春から秋は、人もペットも特に予防に努めることが重要です。

 

参考HP

●厚生労働省HP

『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の国内での確認状況

『重症熱性血小板減少症候群について』

『重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A』

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