[インタビュー]患者さんが安心できる検査説明のために

[インタビュー]患者さんが安心できる検査説明のために

2012.6.13 update.

外来の役割の拡大、入院期間の短縮など医療環境が変化する中で、検査説明においても看護師さんの重要度が増しています。
今回は、東京慈恵会医科大学附属病院グリーンカウンター看護主任の荒川直美さんに、安心して検査をうけてもらうためのポイントを伺ってきました。

(聞き手:編集部)

 

 

退院後を見据えた検査説明

 

――まず、グリーンカウンターとはどのような部署なのでしょうか?

 

荒川 「検査説明窓口」として予約された検査が円滑、安全に行われるように看護師が中心となり検査の目的・方法、注意事項の説明を行っています。

もともとは、外来の限られたスペースの雑然とした中で検査の説明を行っていましたが、個別に検査をきちんと説明できるスペースを作ることで、患者サービスの向上、医療チームとして安全に検査ができるようにする役割を担っています。

スタッフは看護師7名、事務員が1名います。

 

int_kensa_pic05.jpg

 

 

最近は、独居の方や高齢者世帯が増えている社会情勢の中でPFM(patient flow management)の視点をもって、治療が終わったらスムーズに今までの生活に戻れることを目指して、入院前から患者さんの退院後の生活を見据えた関わりが必要となり、在宅療養支援部門・病棟と連携して患者さんを整えられるようにしています。検査についても常に患者さんの生活を意識した説明を心がけています。


 

イメージできるよう説明し、安心して検査を受けてもらう

 

――そのような専門の部署がないところでも、患者さんから質問されたり、検査の説明に携わることになると思いますが、検査説明において看護師にはどのような役割が求められているのでしょうか。

 

荒川 外来・入院にかかわらず、基本的には検査の内容、流れ、検査にかかる時間などを説明しますが、ただ情報として伝えるのではなく、不安なく安全に検査を受けられるようにするのが重要な役割だと思っています。

検査に不安を感じる人は、やはり検査の流れや、細かなことをイメージができていないということが多いので、イメージできるよう具体的に説明することを意識しています。
int_kensa_pic03.jpg

例えば、食事制限といっても独居の高齢男性だと困難なこともよくあります。前の日は1日消化のいいものをとってくださいというだけではイメージできない人も多いのでオススメの食事リストを作って渡したり(画像)、それでも難しいような場合はレトルトの検査食を提案するなど具体的に対応するようにしています。

また、看護師は検査部や医師との「調整役」になる場面も多いので、それも重要な役割といえるでしょう。

 

――安心して検査を受けてもらうために意識していることはありますか?

 

荒川 患者さんの理解度に合わせた説明をするように心がけています。初めての検査を受けるような場合はイメージしやすいように、流れを詳しく説明しますし、2回目以降の人は理解度をつかんで、その患者さんにあわせて注意点などポイントを押さえた説明をするようにしています。

 

――医師からも説明をすると思うのですが、さらに看護師さんからの説明が必要とされているのはどのような面からでしょうか

 

荒川 当院では、医師が検査の必要性・目的を説明し患者さんに承諾をとります。その後グリーンカウンターで、検査の予約票に見落としてはいけない項目が書かれているので、それに沿って説明をしています。そのうえで、不安な点・疑問点などを説明することになるわけですが、その時点で二重チェックの効果があります。

医師が確認していても、患者さんの勘違いや思い込みで答えているような場合も意外に多くあります。

例えば、内視鏡検査では、抗凝固薬・抗血小板薬をとめていないと検査ができないこともあります。服薬について医師が「抗凝固薬は飲んでいますか?」と聞いたところ、その患者さんは自分の飲んでいる薬は血圧の薬なので「いいえ」と答えました。そこで医師は検査をしても問題ないと判断したのですが、グリーンカウンターで再度確認したところ、その血圧の薬だと思っていた薬が実は抗凝固薬だったということがありました。

 

――なぜ医師が見逃したことに看護師が気づくことができたのでしょうか

 

荒川 服薬内容に関しては医師の確認の後、グリーンカウンターにて再度確認していくというシステムですが、このケースでは、やりとりのなかで「採血をしたら5分くらい圧迫するようにと言われたことがある」という発言がでてきたことで気づきました。

「抗凝固薬」という言葉にぴんときていなかった患者さんに対し、ナースの聞き方によって引き出されることもあるかと思います。聞き方としては「何か先生に注意するように言われている薬はないですか?」といったわかりやすい言葉を使うよう心がけています。

 

――そのような聞き方などの、教育やトレーニングは行われているのでしょうか

 

荒川 グリーンカウンターとして、検査のことはマニュアルが作られており、それに沿ってそれぞれがスキルを身につけなければなりません。

また、他にも参考になりそうなケースがあった場合、その都度「こういうケースがあったからこういう聞き方をしてみるとよかったよ」ということをメンバー内で共有するようにしています。

知識とは別に、患者さんとの関係性が築けていない段階で説明をすることになることもあるため、コミュニケーションスキルが必要になってきます。患者さんが理解できるような対応力をつけるため、院内で行われるコミュニケーションの研修に参加しています。

 

――調整役という意味でも、院内でのコミュニケーションやネゴシエーションのスキルは重要になりそうですね

 

 

患者さんの表情、ひとこと一言を大事にする

 

荒川 検査説明における看護師の役割は、患者さんが不安なく安全に必要な検査が受けられるよう環境を整えることだと思います。検査の注意事項を把握することは勿論、患者さんの全身状態を捉えて医師・他の医療従事者と情報共有していくことが必要です。患者さんのちょっとした表情だったり、なにげなく発せられるひとこと一言を大事することで、安心して検査を受けてもらえるようにしたいですね。

 

――ありがとうございましたint_kensa_pic04.jpg

わかる!検査値とケアのポイント イメージ

わかる!検査値とケアのポイント

検査値から看護上の観察とケアのポイントがわかる実践書

検査の正常値と、異常値を示した場合に疑われる疾患をひと目でわかる一覧表で構成。さらに看護上の観察とケアのポイントを看護過程にそって列記したはじめての検査実践書。看護診断をにらんで「観察のポイント」ではアセスメントの視点から“継続・追加観察項目”“異常値をもたらす原因・成因”を示し、「ケアのポイント」では、“急性期・緊急時”に特に注意すべき点と“必要なケア”さらに“患者教育”“潜在的リスク”を示した。

詳細はこちら

トラックバック

http://igs-kankan.com/mt/mt-tb.cgi/609

コメント

このページのトップへ