私はこうしてCLSになりました!

私はこうしてCLSになりました!

2011.7.05 update.

常石 悠子(つねいし ゆうこ) イメージ

常石 悠子(つねいし ゆうこ)

2004年5月米国カリフォルニア州にあるミルズ大学大学院教育学部Child Life in Hospitals and Community Health Centers学科修了後、同州、Easter Seals Child Development Centerにて勤務。2005年夏日本に帰国し、同年12月より、国立病院機構名古屋医療センターにてCLSとして3年間活動。「もう日本を離れることはないだろうな」と思っていたら、夫と共に再びアメリカへ転居することに。現在、Visiting Nurse Service of New Yorkにて大切な人を亡くした子どもとその家族をサポートするボランティアを経て、小児緩和ケアプログラムのCLSとして勤務。周りが呆れるほどの方向音痴。でも、そんなことも全く気にせず、自分の道を突き進むマイペースなB型です。

チャイルド・ライフ・スペシャリストのオシゴト。【5】 

 

 

CLSになりたい方、留学等に関心がある方は以下のサイトをご参照下さい!

book 北米チャイルド・ライフ協会

book 日本チャイルド・ライフ学会

book チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会

 

 

前回はこちら

 

 

資格取得のためにアメリカの大学院へ

 

はじめまして!

 

大曲さんからのバトンを受け継ぎ、今回から連載を担当します、常石悠子です。どうぞよろしくお願いします。

 

今回は大曲さんが担当のときにいただいた、「CLSになるにはどうすればいいの?」というご質問に私の経験を通してお答えしたいと思います。

 

私がCLSに出会ったのは、かれこれ十数年前のこと。当時、大学3年生の私は子どもに関わる仕事がしたいと模索していました。そんなとき、母が日本で初めてCLSとして活動された方の新聞記事を送って来てくれました。そこには、入院中の子どもたちと笑顔で接する女性の写真と、病気であってもその子らしく成長していけるように治癒的遊びを通して子どもたちを支援するCLSの仕事が掲載されていました。私はこの職種にとても興味を持ち、すぐに情報収集を始めました。

 

調べて行くうちに、アメリカに、CLSになるために必要な科目が履修できる大学や大学院があること、CLSの資格を認定しているチャイルド・ライフ・カウンシル(Child Life Council;以下、CLC)という団体があることがわかりました。その団体のホームページをのぞいてみると、CLSの歴史や背景、CLSの仕事、資格認定試験についてなど詳しい説明がありました。

 

その中に教育機関の紹介もあり、私は一つひとつの大学院のホームページに行き、大学院の特徴、カリキュラム、受験資格、学費などを詳しく調べていきました。

 

情報を集めて行くうちに、実際にCLSの方にお会いしたいと思うようになり、大学4年生の冬に、当時日本の病院でCLSとして勤務されていた方を訪れる機会に恵まれました。初対面にも関わらず、とても気さくに話してくださり、「CLSに本当になれるのかな?」と不安に思っていた私を勇気づけてくださいました。また、ちょうどその日はプレイルームで手作り粘土を作る日で、私も子ども達と一緒に粘土作りを楽しみました。その方にお会いしたことで、CLSによる子ども達の支援や関わりについて具体的にイメージすることができ、私のCLSへの思いは一層強くなりました。

 

また、志望していた大学院の見学にも行きました。残念ながら、その日は休日で教授や学生と直接会うことはできなかったのですが、キャンパスの雰囲気を見て、学生生活を想像し、興奮したのを覚えています。私は参加することができませんでしたが、アメリカの大学や大学院にもオープンキャンパスがあります。そのタイミングに合わせて、教授と連絡をとり、直接教授や学生から話を聞き、自分に合った学校選びに役立てる学生も多くいます。私の場合、チャイルド・ライフ学科に歴史があり、CLSになるためのカリキュラムが充実していたミルズ大学の修士課程に進むことに決めました。

 

 

CLSになるための授業

 

「CLSになるための授業ってどんなんだろう?」とワクワクした気持ちとちょっぴりの不安を抱えての大学院生活が始まりました。私の受けた授業を一部ご紹介すると、「チャイルド・ライフ理論」、「身体・認知・心理社会的発達理論と実践」、「治癒的遊びの理論と実践」「病気の子どもや特別なニーズのある子どものアセスメントと介入法」、「子どもの社会的・情緒的・倫理的発達と学習」、「病気の子どもやその家族が受ける心理社会的影響とコーピング援助法」、「小児疾患及びその治療について(治療過程における心理的介入法など)」、「生死論・悲嘆学」、「チャイルド・ライフ・プログラムの管理と運営」、などなど、どれも専門性が高い授業内容でした。

 

多くの授業はディスカッション形式で進められ、どんどん発言するクラスメートに圧倒されることもしばしば。また、教室で講義を受けるだけでなく、病院見学に行ったり、病気を経験されたお子さんやご家族の話を直接聞く授業もありました。日々課題に追われ、ネコの手も借りたいほどの忙しい毎日でした。

 

授業のほかに、大学に併設されている幼稚園での実習と病院でのインターンシップが必須でした。初めは2学期間(約8ヶ月間)も幼稚園で実習することの意味がピンと来なかったのですが、病院でインターンシップを始めると、なぜ幼稚園での実習が大切だったのかがわかりました。私の考えですが、子どもたちの日常や本来の発達を理解することは、子どもが病気になったときに、子どもとその家族にどんな影響があるのか、病気の子どもの「日常」を守るために必要なことは何か、病気の子どもが退院後・闘病後に元の生活に戻り、成長していくために必要なサポートは何かなどを考えるための基盤となるため、CLSにとっては欠かせない基礎だと思いました。

 

 

CLSになるのは認定試験があります

 

大学院を修了し、CLSの資格認定試験を受けることになりました。その際、いくつかの条件を満たす必要があります。

 

one学士号以上の取得者または取得見込み者であること(Child Life Administrator(その施設のチャイルド・ライフ・プログラムの運営・管理責任者)となるには、修士号が必要)

 

two履修したチャイルド・ライフ関連科目の中から10科目を選び審査を受け、CLCの基準を満たしたと認可されること。2013年から、そのうち最低1科目は資格を取得しているCLS(Certified Child Life Specialist;以下、CCLS)が教えていることが条件となりました。

 

three指導条件を満たしたCCLSの監督・指導の下で480時間以上のインターンシップを行うこと

 

これら3つの条件を満たして資格を取得した後は、CLSとしての専門技術・専門知識を維持・アップデート・向上し、常に質の高いケアを提供できるように、専門分野の継続教育と5年ごとの資格更新が義務づけられています。5年間に50時間以上のチャイルド・ライフに関する学会や講習会、勉強会、大学・大学院の講義などに参加し、それらの記録をCLCに提出します。または、再試験を受け資格を更新する方法もあります。

 

こうして無事にCLSの資格を取り、日本に帰国し、名古屋医療センターでCLSとして働くことになりました。

 

今後連載を担当するCLSの方々からも、それぞれの道のりや経験について紹介していただくので、お楽しみに!

 

注:CLCのホームページに教育機関や受験資格などについて掲載されているので、詳しくはそちらをご参照ください。

 

また、それぞれの大学や大学院でカリキュラムが異なりますので、詳しくは各大学または大学院のホームページをご参照ください。

 

次回「病院でのインターンシップ」は→こちら

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