チャイルド・ライフ・スペシャリストのオシゴト。【2】

チャイルド・ライフ・スペシャリストのオシゴト。【2】

2011.5.31 update.

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大曲 睦恵(おおまがり ちかえ)

2001年4月日本女子大学卒。同年9月からカリフォルニア州にあるミルズ大学付属大学院修士課程にてChild Life in Hospitals and Community Health Centers with Children who have Medical Needsを専攻。2003年12月同大学院卒業後、2004年4月から静岡県立静岡がんセンターにてチャイルド・ライフ・スペシャリストとして勤務、2012年5月より現職。趣味はA型らしくお部屋の掃除、でも病院のプレイルームやおもちゃの片付けはいつも時間がかかり、その間に入院している子どもたちやお母様達が手伝って下さり、「本当にA型なの?」と疑惑を持たれています・・・

第2回 CLSになったきっかけは?

 

国立がん研究センター中央病院緩和医療科

大曲睦恵

 

 

CLSになりたい方、留学等に関心がある方は以下のサイトをご参照下さい!

book 北米チャイルド・ライフ協会

book 日本チャイルド・ライフ学会

book チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会

 

 

第1回はこちらから

 

現場での衝撃

 

私は大学時代、社会福祉学科の児童福祉専攻でした。その頃は近所の小学校の学童クラブ(放課後や春・夏休みなどの長期休暇中に子どもを預かる制度)のパート補助員として、元気な子どもたちとドッヂボールや鬼ごっこをしていました。

 

3年の春と秋に現場実習があり、私は2回とも児童養護施設の配属になりました。そこにはさまざまな背景の子どもたちが生活していました。7割ほどが虐待を受けてきた子で、ほかに両親が刑務所にいる子、隣接している乳児院の前に置き去りにされた子、事故で両親を亡くした子…それまで関わってきた子どもたちとは異なる子どもたちの背景に、大きな衝撃を受けたことを覚えています。それでも、その施設の子どもたちは毎日を一生懸命に過ごしていました。

 

しかし、そのような背景の子どもたちに安心して生活できる環境を提供している一方、1人ひとりの子どもに細部まで配慮した心のケアを行き届かせることは難しいように感じました。日々の安定した生活あってこその心のケアだとは思いますが、職員の方々は長時間の残業は当たり前。家に帰る日も月に数えるほど。そこへきて、さらに個々の子どもの心のケアをも求めることはとても大変です。限られたマンパワーに対して、多様で深刻な心理的負担を抱えた子どもたちのニーズは無限のようでした。

 

心のケアの必要性

 

また、「生活」をともにしていくからこそできる心のケアと、違う立場だからこそできる心のケアがあるのではないかと思いました。実習を行った施設では、週2回カウンセラーさんが来ていたのですが、対象は思春期の、そして学校生活や施設での生活に支障がでるほどの心理的負担を抱えた子どもたちでした。

 

より心のケアの必要性を感じたのは、その施設の子どもたちが通っている保育園に付き添いで行ったときのことです。その保育園はその施設の子だけでなく近隣の子どもも受け入れており、いわゆる「しつけ」中心の一日が提供されていました。「いただきます」を言うまでは食べてはいけない、食べている途中で遊びだす子がいたら厳しく注意する、場合によってはごはんも取り上げる。遊びの中でも、乱暴な遊び、目に余る行動は厳しく注意する。

 

もちろん、生きていく、成長していくためにしつけはとても大切ですし、そんな機会が欠けている子たちにとっては大切な学びの機会です。ですが、そこにいる子の中には家族の愛を一心に受けたい時期に家族と離れて生活している子もいます。乱暴になってしまう理由、言葉では表現できないからこそ態度で表現しなければいけない理由があるのではないか。しつけとはまた別の形で、複雑な背景をもつ1人の子どもとしての心のケアを提供することがこの子たちには必要なのではないか、でもどんな風にしたらいいんだろう。そんな風に感じていました。

 

CLSを知って

 

そんな中、周囲では就職活動が始まり、私は漠然と、そのような子どもたちの心のケアに関わることがしたいと思っていました。けれどどんな仕事をしていいのか分からない。迷っていたある日、母が「この仕事はどう?」と、新聞をみせてくれました。そこには、当時日本でいちばん最初にCLSを始めた方を紹介する記事が載っていました。

 

そこにはとても素敵な笑顔の女性が、やはり笑顔のお子さんと一緒に写っている写真がありました。しかもそこが病院だということに驚きました。入院している子どもとこんな風に笑顔で関われるんだ、どうしたら子どもがこんなに笑顔になるんだろう。この仕事は、もしかしたら養護施設にいるような子どもたちの心のケアにも活かせるかもしれない。とにかくこの仕事に必要なことを勉強したい。その一心でその資格、チャイルド・ライフ・スペシャリストについて調べ、留学を決めました。

 

第3回へ

 

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コメント

苦しい時は誰かに側にいて欲しいと思います。側に居てもらえるだけで癒されると思うんですね、でも心から落ち着くことのできる人はなかなかいないのが‥‥‥。
そんななか、病院んで、笑顔で、という記事に暖かな情景が見えるようでした。ついつい笑顔になりました。
ほっとできた一時でした。

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