かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.6.30 update.
川口美喜子
島根大学医学部附属病院臨床栄養部副部長・管理栄養士。2005年より島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働に携わる。
病院栄養士になってから、食事に悩む患者さんのために患者さんに寄り添える栄養士が必要だと感じていました。そんなとき、院内で事務職に就いていた青山栄養士に出会い、共に歩んでくれるように説得しました。青山栄養士は辛い思いをしながらも、楽天的で無頓着な私と活動を共にしてくれました。最近は、私よりも強く逞しく大きな心で食の奥深さを語ってくれます。親子ほど年の離れた私たちで、患者と家族の体と心を和ます命を繋ぐ病院食を考えていこうと思います。
青山広美
日清医療食品(株)島根大学医学部附属病院事業所・栄養士。
初めてがん治療に苦しむ患者さんに会った時、「今は食欲がないから何もいらない」「治療が辛くて食べる気分にならない」「食べられないから来なくていいわ」と言われることばかりでした。「食欲はないけど、私は生きるために食べたい」という言葉に驚きとショックだったことを覚えています。毎日が特別な食事ではないけれど、患者さんのその日、その時食べたい希望に合わせた調理は、人を思うやさしい料理になると思います。
☆こんな患者さんに
食欲不振、嚥下困難、口内炎、野菜嫌い、小児
一人当たりエネルギー230kcal、たんぱく質 3.3g、塩分1.5g
<材料>
かぼちゃ(皮なし) 180g
たまねぎ 120g
バター 15g
コンソメスープ (水180cc、ブイヨン2個)
牛乳 120cc
生クリーム 80cc
パセリ 少々
<作り方>
(1)かぼちゃの皮をむき一口大に切る。玉ねぎは薄くスライスしてバターで炒め、しんなりしてきたら、かぼちゃを加えて炒める。かぼちゃが柔らかくなったら、コンソメスープをいれて煮る。
(2)鍋を火からおろし、少し冷めたらミキサーにかける。再び鍋に戻して牛乳を加え、塩、こしょうで味を調える。
(3)スープを器に入れ、生クリームを浮かべる。好みでクルトン、パセリを散らす。
ポイント
小児がんの患者さんで、嚥下困難のない方であれば、クルトンを入れると「じゃりじゃりして美味しい」と喜んでいただけます。
Story
野菜嫌いの小児がん患者さん。「野菜はまずい」と感じていて食べようとしなかったのですが、これから先、いろいろなものを食べられるようになるためにも、野菜を「おいしい」と感じてもらいたいと考えたレシピです。甘くて食べやすいかぼちゃでポタージュを作ってみました。かぼちゃの形が残っていると野菜のイメージが強くて食べてもらえないかもしれないと考え、形が分からないようにスープにしました。
患者さんからは「甘くておいしかった」という声が聞かれ、お母さんからも「かぼちゃは好きじゃないと思っていたけど、スープだとよく食べてくれますね」と言ってもらえました。