第41回 ギスギスした人間関係を改善するには何が必要?(問題提起)

第41回 ギスギスした人間関係を改善するには何が必要?(問題提起)

2019.10.21 update.

IVR看護研究会

 2000年に発足し、安全安楽かつ効果的に患者がIVRを受けられるようにIVR看護のあり方を検討する場です。放射線科における看護の臨床実践能力を高めるため専門知識や技術の習得、研鑽をめざし、チーム医療における看護師の役割を追究し、また、IVR看護師の専門性を確立するため、継続して学習する場、人的交流の場を提供することを目的としています。

 発足間もなくから開催している研究会(セミナー)は、3月16日に第19回を迎えました。記念すべき第20回は、2020年9月12日に開催予定です!

公式webサイト:http://www.ivr-nurse.jp/
Face book @ivrnurse2016

 

 

S看護師のもやもや

 

 S看護師が血管造影室に配属されて3カ月が経過しました。この職場は4月から専属チームが発足したばかりです。IVR看護の質の向上を目的にチームが結成され、S看護師を含む5名がメンバーに選出されました。S看護師はチームリーダーに任命されました。他4人全員看護師経験10年以上のベテランです。各看護師は昨年まで腹部アンギオ(血管造影検査)をやっていた2名、脳アンギオ検査をやっていた1名、心カテ(心臓カテーテル検査)をやっていた2名(S看護師とA看護師)と背景が異なります。

まずは、お互いの仕事を覚えることから始まりました。S看護師は心カテの指導をA看護師にお願いしました。ほかの看護師は、A看護師の指導の下、心カテの仕事を一所懸命習っていました。

 

 

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 しばらくしてS看護師はA看護師の指導中の言動が気になってきました。例えば、腹部アンギオをやっていたB看護師は、これまで放射線科医と共に患者の情報収集用紙を作成し活用していたそうです。そこで、A看護師に心カテもこの情報収集用紙を使ってはどうかと勧めたところ「心カテはそういうことやってないので」と言ったり、術前訪問をしたいとC看護師が話していても「情報はカルテを見れば分かるよね? カルテから分かる情報で十分やれます」と冷たく返すことが度々あり、もめているようでした。  

 ほかの看護師からも同様の不満が多く聞かれるようになりました。チームメンバーは経験豊富な看護師ばかりです。ほかの看護師がこれまでやってきたこと、高めてきた専門性をA看護師が否定することで、みんなの士気が下がり、このままでは誰かが辞めると言い出すんじゃないか、チームが白紙に戻るのではないかとS看護師は危機感を感じています。S看護師が「チームの振り返りのためにも話し合いをしませんか」と提案しても「えっ? 何を話し合う必要があるんですか?」とA看護師には素直に賛同してもらえません。  

 チームリーダーとしてメンバー間に確執が生じている現状を改善するために、話し合いをすることにしたS看護師。何を目指したらいいのか、一人悩んでいます。

 

(IVR看護研究会 高田沙織)

 

 

 

 

 

 

 

 

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IVR看護ナビゲーション

IVRに携わる看護師向けの実践的な書物がほとんどない中で、各施設では独自のマニュアルを作って看護にあたっている。その現状を打破するために編集された本書は、医師のIVR手技、看護師のケアが系統立てて解説されている。2007年には「日本IVR学会認定IVR看護師制度」も発足し、ますますIVR看護が期待される中、時宜にかなった実践書。

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