第7回 継続って誰のためよ?(解説)

第7回 継続って誰のためよ?(解説)

2017.10.24 update.

IVR看護研究会

 2000年に発足し、安全安楽かつ効果的に患者がIVRを受けられるようにIVR看護のあり方を検討する場です。放射線科における看護の臨床実践能力を高めるため専門知識や技術の習得、研鑽をめざし、チーム医療における看護師の役割を追究し、また、IVR看護師の専門性を確立するため、継続して学習する場、人的交流の場を提供することを目的としています。

 発足まもなくから開催している研究会(セミナー)は、今年3月で第17回を迎えました。第18回は2018年3月10日開催予定です。

公式webサイト:http://www.ivr-nurse.jp/

Face book @ivrnurse2016

 

 

申し送りの目的って?

 

 解説は、継続看護の視点から考えてみたいと思います。申し送りとは、交代制勤務を導入している病院や施設などにおいて、勤務交代時に次の勤務者に患者の状態や状況を伝えること、また手術室や検査室、他の病棟などの看護師に病状やその他の情報を伝えること1)です。申し送りの目的は、次の勤務者に正しい情報を伝達し、患者に対する継続したケアを提供することです。

 申し送りを正しく行うと以下のようなことが可能になります。

  ①次の勤務者が患者のその時の状態を把握し、看護上の判断を下すことができる。

  ②看護者が交代しても、患者からの希望が伝わる。

  ③患者に必要な処置や医師からの指示が間違いなく行われる。

 

 これをIVRの場面に置き換えてみると以下のようになります。

  ①病棟看護師とIVR看護師が、互いに申し送りを受けることによって、患者のその時の状態を把握し、看護上の問題となる事象を判断できる。

  ②病棟看護師もしくはIVR看護師に交代しても、患者からの希望が伝わる。例えば、寒がりだから保温をして欲しい。膝が曲がらないからクッションを使って欲しいなどがあげられます。

  ③IVR術前に行われた処置、例えば前投薬などの内容、IVR術後の安静度の指示を伝えることにより、患者に必要な指示を間違いなく行うことができる。

 

IVR7_4406.jpg

 

 ここまでの内容をみると、「いつもやってることじゃん!」と感じると思います。ここで注目したいのは①の内容です。なぜなら、看護上の問題となる事象を判断するには、IVRそのものが患者にどのような影響を与えるかを、IVR看護師だけではなく病棟看護師も同じく理解していないと、予測した看護を提供することはできないからです。ここから継続看護を考えると、IVRで行われたことに関してはIVR看護師しか知らないわけですから、病棟看護師に申し送りをする際には、IVR術中に起きたことから予測される事象を申し送る必要があるのです。入院期間が短縮化されている現代では、IVRを受ける患者さんの反応、例えば不安の表出の仕方やメンタルケアに必要な情報は、病棟だけではなくIVRを担当する看護師から発信していく必要があります。

 そして、申し送りを受けた病棟看護師は、次の勤務者にもIVRを受けた患者に予測されることを申し送りしなければいけません。例えば、TACE(肝動注科学塞栓療法)を受けた患者さんの場合、塞栓した血管、塞栓の範囲や程度により疼痛部位や程度が違ってきます。痛みの訴え方もその患者さんによって違います。また、痛みにより不安も増強します。病棟看護師は、患者さんに安心して治療を受けてもらうためにも、「この患者さん、痛がりかも」と闇雲に判断せず、IVRを受けた患者に起こり得ることをしっかりと理解する必要があります。

 このように、申し送りされた内容に基づいて継続した看護が提供されることで、IVRを受ける患者への看護がつながり、患者の安全や安楽が保証され、無事に在宅へ戻ることが可能となります。

 

看護部を大きな「チーム」と考える

 

 私たち看護師は、勤務する部署によって行う業務に違いが生じます。でも、目指すゴール(目標)はひとつです。それは、IVRを受ける患者さんの治療が成功し、元気に自宅に帰ることです。この目標を達成するために、私たち看護師は看護部という大きなチームの中に身を置き、それぞれの部署における役割を発揮する必要があります。看護部全体をひとつのチームとして考えた時に、IVRを受ける患者のケアにあたる私たちはどのような看護を提供するべきでしょうか? チームワークの概念やチームワーク研究から考えてみたいと思います。

 チームと呼ぶための条件には、チームに備わっているべき要素が必要です。その要素は以下の4点になります。

 

  1. 達成すべき明確な目標の共有
  2. メンバー間の協力と相互依存関係
  3. 各メンバーに果たすべき役割の割り振り
  4. チームの構成員とそれ以外との境界が明瞭

 

 この4点に沿って、IVRを受ける患者に関わる看護師を、同じ看護部のチームとして考えてみます。

 

  1. 目標:IVRを受ける患者の治療が成功し、在宅に戻ることができる。
  2. IVRを受ける患者が安全かつ安心して治療が受けられるよう、チームメンバーである病棟看護師とIVR看護師、そして外来看護師がコミュニケーションを取り合い、相互作用のあり方を多様に変化させながら協力し、それぞれの看護がつながるように継続した看護を行っていく。
  3. 自分が看護を行う部署により、病棟での術前と術後の看護、IVRでの術中の看護、そして外来看護と、それぞれの役割を果たしていく。
  4. チームの構成員は全て看護師なので、それ以外の医師やメディカルスタッフとは職種という境界が明瞭である。

 

 以上のことから、IVRを受ける患者さんの治療が成功してまた在宅に戻り日常生活が送れるように、関わる看護師全体をチームとして捉えることがポイントです。そしてチームメンバーが協力し、チームワークを発達させることで、優れたチームを作っていく必要があると考えられます。

 チームワークが発達することは、看護の質が向上することにつながります。ここで、チームワークの3つのレベルを示したモデル2)を参考に考えてみたいと思います。

 

レベル1:円滑なコミュニケーションによって、メンバー間に情報の共有と連携そして協力の体制が整い、円滑な人間関係が構築されている。

レベル2:メンバーがチーム全体の目標達成を視野に入れ、絶えずそれを意識して、自分の役割以外の行動でも進んで実践したり、必要であれば今までにない新しい取り組みに挑戦したりする。

レベル3:メンバーが相互に知的に刺激し合って交流し、協同しながら創造的な発想を高め、独創的な成果を生み出す状態。

 

 

 看護師間の連携や継続看護を考えるにあたって、看護部全体を1つのチームとして捉え、病棟看護師とIVR看護師が優れたチームワークを発達させることができると、もっともっとIVRを受ける患者さんに良い看護が届けられるのではないでしょうか。

 

(IVR看護研究会 浅井望美)

 

[参考文献]

1)看護師・看護学生のためのいろいろ情報サイト「ナース専科」,看護用語集.

http://nurse-senka.jp/dictionary/?action_dictionary_detail=true&id=571[2017.10.14アクセス]

2)山口裕幸:チームワークの心理学―よりよい集団づくりをめざして.サイエンス社,2008.

 

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