WOCナースが教える 快適!ストーマ生活 装具交換編

WOCナースが教える 快適!ストーマ生活 装具交換編

2012.10.05 update.

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松浦信子

がん研有明病院看護部WOC支援室師長・WOCナース。1993年、慈恵第三看護専門学校卒業後、慈恵第三病院入職。98年、米国テキサス大付属MDアンダーソンキャンサーセンターにてWOCN(Wound, Ostomy and Continence Nurse)スクール修了。同年、癌研究会附属病院(現がん研有明病院)入職、ストーマリハビリテーション室(現WOC支援室)にてストーマ保有者の療養支援に携わる。04年より現職。

「ストーマをつくるとこれまでと同じように暮らせなくなる」という不安をお持ちの方は少なくないと思います。

 

しかし、ポイントを踏まえて工夫をすれば、日常生活はもちろん、仕事やスポーツ、海外旅行まで含めて、ストーマとともに、快適に過ごすことが可能です。

 

今回は「知っておきたい装具交換のポイント」です。

 

潤滑・消臭剤を活用する

 

stm2-1.jpg結腸ストーマの場合は、袋の中に潤滑・消臭剤を少量入れておくと、便が袋にべとつかず処理しやすくなります。潤滑・消臭剤は5mL程度注入したのち、袋をもむようにして袋全体に行き渡らせます。また、装具交換時だけではなく、排便処理を行うたびに排泄口から注入しておくと、効果が長続きします。

 

 

尿路ストーマの装具交換では、尿の水分をとる

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尿路ストーマの場合、排泄される尿の水分によって、面板がはがれやすくなることがあります。装具交換の際には、ペーパータオルを小さくたたんで尿を吸収させ、皮膚を乾燥させるとともに、尿の排出がないタイミングを見計らってすばやく装具を貼るようにします。

 


脱臭フィルター

消化器用ストーマ袋の上部には脱臭フィルターがついており、袋内のガスが自然に脱臭されながら抜けるようになっています。しかし、脱臭フィルターの排気口は小さく、ガスが多量に排泄された場合には袋内にガスが充満してしまうことがあります。

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また、装具交換後2~3日すると、便に含まれる水分によって脱臭フィルターが目詰まりを起こすことがあります。脱臭フィルターが目詰まりを起こすとガスが抜けなくなり、袋内にガスが充満したり、脱臭効果がなくなってにおいがフィルターから漏れ出ることがあります。袋内に充満したガスが自然に抜けるのを待つのは時間がかかり、また破裂する可能性があるため、こうした場合は便を出す排泄口を開いてガスを抜きます。


逆に、ガスが出にくい人の場合は袋内からガスが抜けすぎて真空状態となり、便が袋の上部から下部に下りにくくなってしまうことがあります。こうした場合は、脱臭フィルターの上部にある排気口を専用シールやテープで塞ぐことによって真空状態が緩和され、便が下部に下りてきます。

 

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(本記事は松浦信子・山田陽子 著『快適!ストーマケア 日常のお手入れから旅行まで』

からの抜粋です。 )

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