がん患者のための食事レシピ No.007

がん患者のための食事レシピ No.007

2011.2.22 update.

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プロフィール

川口美喜子
島根大学医学部附属病院臨床栄養部副部長・管理栄養士。2005年より島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働に携わる。
病院栄養士になってから、食事に悩む患者さんのために患者さんに寄り添える栄養士が必要だと感じていました。そんなとき、院内で事務職に就いていた青山栄養士に出会い、共に歩んでくれるように説得しました。青山栄養士は辛い思いをしながらも、楽天的で無頓着な私と活動を共にしてくれました。最近は、私よりも強く逞しく大きな心で食の奥深さを語ってくれます。親子ほど年の離れた私たちで、患者と家族の体と心を和ます命を繋ぐ病院食を考えていこうと思います。

青山広美
日清医療食品(株)島根大学医学部附属病院事業所・栄養士。
初めてがん治療に苦しむ患者さんに会った時、「今は食欲がないから何もいらない」「治療が辛くて食べる気分にならない」「食べられないから来なくていいわ」と言われることばかりでした。「食欲はないけど、私は生きるために食べたい」という言葉に驚きとショックだったことを覚えています。毎日が特別な食事ではないけれど、患者さんのその日、その時食べたい希望に合わせた調理は、人を思うやさしい料理になると思います。

レシピNo.007 柔らかフィッシュバーグ

 

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対応

嚥下障害、食欲不振、煮魚が嫌いな方

 

レシピの背景

いわしは、骨が多くて出しにくい魚ですがミンチにすればOKです。山陰の海に近い当院では、新鮮ないわしを手に入れることが容易で、いわし料理を好む方も多くいます。

 

管理栄養士としての患者さんとの関わり

患者さんが白身魚ばかりでなく、いわしを食べたいと思われました。嚥下障害があり、においも気になるようでしたので調理法を工夫しました。

 

調理のポイント

新鮮ないわしを使うことがポイントです。 軽く揚げているため、魚の臭みがやわらぎます。仕上がりの固さは揚げる時間で変えます。油を使用しているためカロリーアップも期待できます。

 

レシピ紹介(3人分)

一人当たりエネルギー238kcal、たんぱく質12.8g、塩分1.6g

 

<材料> 

まいわしミンチ             100g

豆腐             125g (1/4丁)

たまねぎ           30g

にんじん                 30g

 

≪a≫

鶏卵             25g (1/2個)

生姜               少々                    

しょう油              5cc

砂糖            小さじ1杯

塩               少々

片栗粉           大さじ1杯

 

サラダ油(またはマクトンオイル)  大さじ1杯

 

≪b≫

しょう油           10g

塩               1g

砂糖             5g                            

出し汁           100cc

 

揚げ油

 

盛り合わせ

かぼちゃの煮物 (かぼちゃ 90g、しょうゆ 4.5cc、砂糖 3g、出し汁 適宜)

 

<作り方>

(1)たまねぎはすりおろし、人参はみじん切りにする。

(2)ボウルに(1)、まいわしミンチとaを入れてよくこねる。

(3)(2)をハンバーグのように形を整え、きつね色に揚げる。

(4)揚げたフィッシュバーグを調味だしbで煮る。

(5)かぼちゃの煮物を盛り合わせる。

 

患者さんの反応

「舌でほぐれる感じが最高、味も美味しい」「懐かしい味」「ふわふわと柔らかで食べやすかった」「いつも白身魚の煮物だったから、魚を食べたという満足感が味わえた」と感想をいただきました。

 

※ マクトンオイル(キッセイ薬品工業)・・・体内で速やかにエネルギーに代わり蓄積脂肪になりにくい液体油脂。油っぽさが少なく、口当たりがさっぱりしている。 

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