(5)少子化対策 私たちはこう考える――インターネット調査に寄せられた584人の声を読む

(5)少子化対策 私たちはこう考える――インターネット調査に寄せられた584人の声を読む

1999.3.25 update.

河合 蘭 イメージ

河合 蘭

かわい らん◎出産医療ジャーナリスト。3人の母親。現代の女性が親になる前後に直面する問題について,産婦人科医療,新生児医療,不妊治療の現場を取材してきた。産みたい人が産める社会をつくるべく活動中。近著に『卵子老化の真実』(文春新書,2013),『出生前診断―出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書,2015)。ホームページはこちら

 今月は,連載開始前に行なったインターネットアンケート「結婚,子ども,妊娠・出産に関するアンケート」で寄せられた自由記述から,少子化対策について寄せられた意見の抜粋を紹介したい。

 アンケートは2013年8月6日~9月30日まで,医学書院のウェブマガジン「かんかん!」に導入ページを置いて実施した。SNS(Facebook,Twitter等)で協力を呼びかけ,ウェブサイト「プレジデントオンライン」「MAMApicks」「babycom」の応援もいただいたので回答者の大半は非医療者である。回答者は女性が9割を占め,子どもがいない人が全体の約4割いた。都市部の正規雇用の女性が多く回答しているものの,全体としては多様な立場からの声が集まっている。

 全部で584件も書きこまれた自由記述はどれも考えさせられるものばかりだったが,スペースの都合により今回はワークライフバランス,経済的支援,そして政策や社会のありかたについての回答を中心にごく一部を紹介する。[ ]内にコメントを寄せてくれた方の性別等の属性を示した。

 

日本の労働問題は,そのまま少子化の原因に

 紹介するのは少子化対策について自由に書いてもらった部分で,具体的な悩みや不安,疑問,抗議から事象の分析までさまざまだ。仕事については,母親か父親,もしくは両方の労働時間が長すぎて育児がたいへんという声と,育休や時短労働にいい顔をされないという職場の空気について書いた人が圧倒的に多かった。これと並んで熱かったのは,就労形態,会社によって受けられる支援制度があまりにも違うことに対する憤りの声だ。

 生産労働人口の減少から「女性活用」が叫ばれ,国は経済的支援を薄く,就労支援を手厚くした家族政策を取り続けているが,このアンケートで訴えられた職場の現実をみる限り,それは画餅といわざるを得ない。実際には子どもを抱える身で日本風の長時間労働に耐える自信がなく退職する人も多く,そして柔軟な働きかたを選択した人間に待っているのは,延々と非常に低い賃金で働き続け,結局次の子は産み控えなければならないような厳しい現実だ。

 長時間労働と雇用形態による格差は日本全体の問題だが,これらはそのまま少子化の大きな理由にもなっていた。具体的な要望としては,長期の育休より学童期もしくはもっとあとまで子どもの病気などに対応できる「時間の融通が利く働きかた」が強く求められていた。男性についても,夫がマスコミによく登場する育休をとるイクメンになってほしいという女性はあまりいなくて,平素の帰宅時間が早いことが強く求められていた。また育児中だから特別扱いしてほしいというよりも,社会全体が勤務のありかたを変えるべきだという意見が多かった。

 確かにこれは,産んだ人だけの問題ではない。産んだ人の遠慮と対をなすように,子どものいない女性からは「産まない人間が社会を支えている」「産んだ人がもてはやされている」といった発言もあった。育児中の同僚の業務を引き受ける側の負担感に注目することも重要だと感じた。

 また,子どもにできるだけ時間を割き家庭を大切にできる生きかたを選びたいという女性もいた。女性たちの生きかた,働きかたはダイナミックに多様化していて,ここで不公平感のない社会保障システムをつくっていくには,子育ての社会的価値について議論していく必要があると感じた。

 

がんがん残業ができなければ認められない

■就職した女性が20代前半で妊娠した場合,職場で歓迎されることはまずなく,30代近くになってやっと「仕方ない」と言われるくらい。妊娠・出産・育児はそもそも非常に肉体的負荷のあることなのに,出産=退職(をせまる風潮)は精神的にも経済的にも追い詰められる。リスクを感じるから避けるのは普通の感覚なのではないか。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■妊婦や小さい子のいる女性社員を「お荷物」とみる風潮がなくならない限り,キャリアを望む女性は子どもを産まないと思う。転職や昇進の機会と出産適齢期がかぶる。子どもをもつことを選んだ場合,子どもをもつために,今まで自分が築き上げてきた地盤をすべて失ってしまうような不安と戦うことになる。

[未婚,子どもなし,女性,26~30歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■とにかく長時間労働がなくなれば,働いている男女に,婚活,結婚,妊娠,出産,子育て,すべての余裕が生まれるのにな,と思っている。しかし,なかにはなりふり構わず長時間働かなければいけないエグゼクティブもいるだろうし,その地位を狙うものも長時間働くだろう。少なくとも,そうでない人たちが会社に長く拘束されることのないようにならないかな,と思っている。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,正規雇用]

 

■いちばん問題なのは,家族で子どもを育てるための時間がないことではないかなと思いました。ただ,育児休暇を延長することよりも,普段の労働時間をフレキシブルにすることのほうがありがたい気がします。

[既婚,子どもなし,女性,31~35歳,正規雇用]

 

■残業することが当たり前,残業しないと一人前の会社員ではない,とみなすような日本の悪い風潮を是正しない限り,「ママ社員」という扱われかたはなくならないと思います。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,正規雇用]

 

■子どもができて,わかることもある。働いていると,子どもがいて,残業ができないことで,肩身がせまい。それも,数年間だと思うのに,降格を意識させられる。子どもをとるか,仕事・役職をとるか……。子どもがいても働きやすい……なんて,ただのわがままかな?

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,医療従事者]

 

■私自身,出産ギリギリまでフルタイムで子育てしながら中小企業で働き現在は産休中ですが……現在の不景気で,人員削減をし少ない人数で仕事をまわしている企業が多いなか,女性にとって妊娠しづらい……報告しづらい!

[既婚,子どもあり,女性,26~30歳,正規雇用]

 

■疲れたママや困っているママが多くて産みたい気持ちにならない。良いロールモデルがいない。

[既婚,子どもなし,女性,31~35歳,自営業]

 

■仕事内容も残業で長時間拘束,休日返上が当たり前で,とても子育てできる時間がとれるように思えない。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,非正規雇用(パート・アルバイト)]

 

■周りで働いている母親のお子さんが1人っ子なのがすごく増えた。母親が社会復帰を果たすには2人以上は難しいのだろうか?

[既婚,子どもなし,女性,36~40歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■まずは待機児童をなんとかしてもらいたいです。私も都内在住,1歳で仕事に復帰する際は,近所の保育園は公立・民間とも全滅で,5駅先の保育園まで半年かけて通っていました。

[既婚,子どもあり,女性,41~45歳,正規雇用]

 

■各保育園すべてで,病児保育ができなければ,安心して働けない。病児保育を医師が行なうなど,医療費の無駄遣いであり,コストの無駄遣いである。

[既婚,子どもあり,男性,41~45歳,医療従事者]

 

■育休3年よりも,部分休業や育児短時間勤務を少なくても18歳以下まで認めるべきと思う。保育園に入れて短時間勤務をして5歳まで働けても,小学校にあがったら,短時間勤務ができず,少ない学童に預けるにしても預り時間が長く子どもに負担が強いられる。子どもを成人にするまで,一貫して育児と仕事を両立できるイメージがわかない。子どもを産んでもちゃんと育ててあげられない,漠然とした不安感があるため,子どもを産むのがためらわれる。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,正規雇用]

 

■女性だけに限らず,男性も長時間労働をさせないようにしてもらわないと困る。現在わが家は夫婦そろって残業が多いのだが,旦那が激務を強いられる環境だと妻が仕事をやめざるを得ない。

[既婚,子どもなし,女性,26~30歳,正規雇用]

 

■会社の拘束時間が長く,主人は子どもが好きだが,実質子育て,家事をするのはすべて私。分担などとんでもない状況。経済的にもあまり余裕がなく,私もパートで働いてはいるが,だんだんストレスが溜まりつつある。子どもが大きくなって手が離れていっても,その時々で問題は起こる。それに1人で対処し続けられるのか……正直不安。

[既婚,子どもあり,女性,41~45歳,非正規雇用(パート・アルバイト)]

 

何層にも不安を抱える非正規雇用者労働者

■働く女性の現状がまったくわかっていない! 正規雇用でない女性が多いのに,正社員向けの対策ばかりでは意味がない!

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■働く女性の多くが派遣・パートなどの非正規労働にもかかわらず,正規雇用者のみしか産休育休の恩恵を受けられない。共働きしなければ子どもを育てるだけの十分な資金も得られない(のに,妊娠したら辞めさせられてしまう)。

[既婚,子どもなし,女性,31~35歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■雇用形態による差別がない対策をしてほしい。産休や育休が取れるような恵まれた環境ばかりではない。出産で退職させられたら,保育園にも入れず,復職できないのではと不安です。

[未婚,子どもなし,女性,36~40歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■働いても働いても家族を支えられると自信がつくほどお給料をもらえない。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,非正規雇用(パート・アルバイト)]

 

■一度ドロップアウトすると再チャレンジが難しく,「自己責任」の名の下にセーフティネットも危うくなっている現代日本では,人びとは日々リスクを抱えて生きている。そのなかで子どもをもつことは,さらに大きなリスクを抱え込むことになる。この点を改善しないまま「子どものいる人生の素晴らしさ」について喧伝すれば,子どものある人・ない人を分断し,後者に不満を蓄積させるだけであると思う。それは子どものある人にとっても,「社会で助け合う子育て」を不可能にするという意味で,困難をもたらす。結果的に誰も幸せにならない。場当たり的な対策ではなく,社会制度の抜本的な改革が必要と思う。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,正規雇用]

 

多様な働き方を認めてほしい

■結婚や出産を機に正社員を辞めた女性の多くがパートを選ぶ理由をしっかり政府に考えてほしい。オランダのパート労働者の待遇が改善されたように,日本も働く環境を国が変えていく必要があると思う。これは育児だけでなく,今後ますます増えるであろう介護に向き合う人たちにも絶対必要だと思う。

[既婚,子どもあり,非正規雇用(パート・アルバイト)]

 

■出産後,家計のために働く人もいれば,育児がつらくて外に出たい人もいるし,そもそも身体が回復しきれなかった人もいる。今の,女性が制度を履行できる企業に入り,何が何でも仕事を続けることが前提の制度の整えかたは,一番困っている世帯の助けになるのか疑問。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,無職]

 

■個別のニーズに合った支援が選べるとよりよい。仕事を続けられる社会システム,子育てに専念できる社会保障どちらも大事。

[既婚,子どもあり,女性,51~55歳,自営業]

 

■夫婦共働きの場合,それぞれに1人分の労働力が求められるが,希望によっては,夫婦で1.5人分の労働でも大丈夫な労働環境や制度,人々の理解があるといい。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,無職]

 

■自由業の女性です。働く女性に対する支援について話題に上がるときは,大企業の従業員にしか適応できないような支援がほとんどのような気がします。中小企業や自由業・自営業の女性も利用できるサービスや支援策も提案されるといいなと思います。たとえば育児休暇など。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,フリーランス]

 

■いろいろな支援策はあるが,中小企業や個人営業の人間はどちらにせよ支援の対象外になる。ベーシックインカム等の明快で少ない判断基準による一律金銭補助がよいのではないかと思う。

[子どもなし,既婚,男性,36~40歳,正規雇用]

 

■いろいろ的外れだと感じます。男の視点からしかやっていない……という風にうつります。女を男並みに働かせるにはどうしたらいいか,という発想でしか考えていなくて,女性ならではのライフスタイルや特性を無視していて,それが実質に合っていないから,決定打にならないような気がします。ジェンダーフリーの考えかたが,そもそも実は少子化対策と相容れないのではと感じます。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,自営業]

 

重くのしかかる教育費の負担

 このタイプの政策については,民主党時代の子ども手当がすぐになくなったため信頼性という点で大きなダメージを受けていた。また正規雇用の女性の記述には「問題はお金ではありません」という言葉が何度か出てきた。しかし内閣府の全国調査では,子どもをもつうえで当事者が抱く最も大きな不安は何かというと経済的不安であったし,このアンケートでもお金に関する記述はかなり多かった。

 特に目立ったのは大学の学費の心配で,これは産もうとする子どもが2人以上になると大きな負担感になる。ただ,大学等高等教育の費用補助や無償化が進むだけでも負担は大幅に減る。前回ご紹介したベスト少子化対策のランキングでは,男性のトップは高等教育無償化だったので,これは男性向け政策ともいえる。次いで,2015(平成26)年度から多子家庭優遇が開始される保育料の負担感を訴えた人も目立ち,こちらは就労継続意欲との関連が強調されていた。

 現金での給付には手当目当ての出産をして子どもを捨てる親が出るという指摘,親の遊興費にもなり得る「ばらまき」だから明細を提出させよというような声も少なからずあった。

 

■子どもをもつか,もつ場合何人産むか(できるかどうかは別として,希望として)を考えるとき,いちばんネックになるのは「大学に行かせられるか?」だと思うし,共働きする子もち夫婦の多くが「進学の費用を蓄えるため」に働いている気がする。

[既婚,子どもあり,非正規雇用(パート・アルバイト)]

 

■教育費がいちばんきつい10代の子育てに金銭的支援が少ない。子育てして,自分の財布がさみしくなれば,年金が不安。今のシステムだと次世代が年金を支えるのに子育てしない人が得をするのに,不公平感がある。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■お金があれば何人でも産みたいというのが正直な気持ち。大学まで行かせてあげたい,と思うと2人でも悩む。さらに,子育てで多額の出費をしたあとも,自分の老後の貯金をしなければならないことがたいへんつらい。老後の経済的な苦労を子どもに背負わせたくない。

[既婚,子どもあり,女性,26~30歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■産後の女性の継続就労保障の一環として,保育園の無償化(低料金化)を検討してほしい。夫の扶養に入らず就労すると,税金のみならず保育料まで跳ね上がり,結果世帯収入はさほど上がらずにモチベーションが下がる。「もうわざわざ仕事なんかせずに,子ども産むのも1人くらいで……」といった消極的パターンに陥りかねない。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■日本は小学校から大学まで進学するとすると,教育にかかるお金が高すぎるという予想があちこちで見られる(銀行のライフプラン例など)。

[子どもなし,女性,正規雇用]

 

■日本の社会,4人家族をフレームにいれて設計されている。たとえば,車も乗用車は4人まで(チャイルドシートが3つは設置できない)のため,大きい車が必要になる。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,正規雇用]

 

■子ども手当などの現金支給ではなく,予防接種や医療費の負担軽減や給食費や私学・公立の高校の授業料を直接学校に納付するシステム(産科での分娩費の支払いのような)をつくってほしいです。あと子ども数に応じた減税と年金掛金の免除など,現金を動かさない補助の充実を希望します。

[既婚,子どもあり,女性,41~45歳,医療従事者]

 

■産まないより産んだほうが得をするシステムにすると産んで放置する人は必ず出てくると思うし,産まない人(産めない人)が責められる風潮になるのでそれは避けていただきたい。

[未婚,子どもなし,女性,26~30歳,正規雇用]

 

冷たいまなざしや社会不安が子どもを遠ざける

 日本社会が「基本的に,子育てしたいという気持ちを起こさせる社会ではない」という指摘も,非常に多かった。基盤ができていないのであれば,その上にどんな制度を乗せてみても効果が生まれるはずがなく,何をしても徒労であり,これが人々が少子化対策という言葉を聞いてげんなりする理由のひとつになっているのかもしれない。また,国の取り組みには本気が感じられないという声も多かった。

 

■少子化について危機感を真剣に抱いている人間は本当にいるのでしょうか? 実感がないのでは? ほんの一部の人に留まるような気がします。それではなにも変わりません。対象を幅広く少子化の原因と対策,リスクについて訴えていく必要があると思います。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,医療従事者]

 

■子どもは社会全体で育てるという観念がない国である。「なぜ自分たちが払った税金から助成するのか納得できない」とよく言われる。社会全体がそういう空気であり,支援うんぬんではなくて,そこがいちばんネックであると感じている。私は義務教育の時点でそういうことを教育する必要性を感じる。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,医療従事者]

 

■こども手当てを出したり辞めるといったり,政治全体がハリボテすぎる。年金しかり安心できる,まずは親になる人の保証をしっかり設けないと,子どもを産める環境が整わない。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,自営業]

 

■国の負債が増加する一方なのに,ポピュラリティ優先で痛みを伴う政策(増税など)を先送りにする政治も,「子どもたちの将来がかわいそう」的な発想を抱かせ,少子化に少なからずとも影響を与えている気もします。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,正規雇用]

 

■経済成長の望めないこれからの時代に(少子化政策に)たとえ成功して子どもを増やしたところで,国がその子どもたちを食わせていけるのか不安。

[未婚,子どもなし,女性,31~35歳,非正規雇用(派遣・契約社員)]

 

■今の高齢化社会が子どもたちの負担になりませんように。

[既婚,子どもあり,女性,36~40歳,無職]

 

■少子化対策担当相がコロコロ変わる現実に不満だ。本気で考えているのか?

[既婚,子どもあり,36~40歳,無職]

 

■施策の効果測定をちゃんとして

[既婚,子どもあり,男性,36~40歳,正規雇用]

 

■市や県,国といった役所が支援する取り組みのPR。世の母親たちに知らされない,知ろうとしなければ知ることができない情報が多い。産婦人科や小児科と連動して,子育て関連を公のものも民間のものも,母親が知ることができれば,もっと制度が生きると思う。

[既婚,子どもあり,女性,31~35歳,正規雇用]

 

■政治家が選挙で選ばれる以上,人口構造的に多数を占める高齢者を向いた政策が優先される傾向は今後も避けられない。現在のような地域別ではなく年齢階層別の選挙区としたり,子どもをもつ親には子どもの人数分の投票権を与えるなどの選挙制度改革があれば,若年者を向いた政治家が増えてくれるだろうが,これは望むべくもないことある。

[既婚,子どもあり,男性,31~35歳,医療従事者]

 

国のあり方として,国民の労働をどのように考えるのか? 女性の仕事と妊娠・出産・子育てとのかかわりをどのように評価するのか? そうした根本的なところが時の政権政党に関係なく共通理解として得られないと誰も安心して子どもをもつようにならないのではないかと思います。

 一方,団塊ジュニアが40歳前後となった今,今後は出産可能年代の女性人口がどんどん減少していきます。このことは,今後,時間が経てば経つほど,少子化対策に求められる合計特殊出生率のハードルはどんどん上がっていくことを意味します。

 少子化対策は時間との闘いでもあること,さらに今後,同じような合計特殊出生率が続くようであれば,市場も縮小せざるを得なくなり,結果として国内企業の活動も縮小を余儀なくされるということを経済界も認識すべきと思います。甘い汁だけ吸い続けて,市場を維持しようとしてもそれは無理なことだと思います。

[既婚,子どもあり,男性,51~55歳,医療従事者]

 

 

 このアンケートには,自らの言葉で真剣に記された重要な声があふれており,たくさんの人に読んでもらいたいと切に思う。日本の家族は一体どこへ行くのだろう,わが子はどんな社会に生きていくのだろうかと考え回答してくれた584名に心から感謝したい。

 他の自由記述を含む回答の全容はこちらのページで紹介し,PDFで配布している報告書は関係省庁等にも送付している。

 
*本連載は,『助産雑誌』2014年4月号に掲載した記事をWeb用に再構成したものです。
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*本記事と本記事に含まれる画像の無断転載は固くお断りいたします。転載・引用の際は,出典として本ページのURLを明記してください。

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