かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2013.6.05 update.
『訪問看護と介護』2013年2月号から、作家の田口ランディさんの連載「地域のなかの看取り図」が始まりました。父母・義父母の死に、それぞれ「病院」「ホスピス」「在宅」で立ち合い看取ってきた田口さんは今、「老い」について、「死」について、そして「看取り」について何を感じているのか? 本誌掲載に1か月遅れて、かんかん!にも特別分載します。毎月第1-3水曜日にUP予定。いちはやく全部読みたい方はゼヒに本誌で!
→田口ランディさんについてはコチラ
→イラストレーターは安藤みちこさん、ブログも
→『訪問看護と看護』関連記事
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自分の両親、夫の両親ともに看取り終えている私にとって、「看取り」の問題は、「どう看取るか?」ではなく、「どう看取られたいか?」に変わってきています。より当事者に近くなった、と言えるのかもしれません。
自宅での看取りが家族にかける負担については、嫌と言うほどわかっています。同時に、看取りがどれほど多くの「経験」を看取る側に与えるか、ということもです。
さて、まだ高校生の娘の顔を思い浮かべながら、自分はどんなふうに看取られたいか、考えてみました。
もし娘が結婚したとして、娘夫婦との同居は、私にとってかなり億劫なことです。若いころから気ままに生きてきた私が、歳をとったからと言って、娘家族の中で縮こまって生活していけるとは考えられません。かと言って、マイペースを貫けば、娘にとってはいい迷惑でしょう。やはり別居。つかず離れずの距離で行き来したい、というのが本音です。
日本人の平均寿命は、女性のほうが長い。だから、夫に先立たれて、私が1人残ったとする。元気なうちはいいけれど、脳梗塞などで身体が不自由になった場合、介護保険を駆使しても1人暮らしは難しくなるかもしれません。ピンピンコロリと逝きたい、という人も多いけれど、人生は自分の思いどおりにはならぬもの。あるいは、認知症やがんになるかもしれません。そうなったとき、私はどこに行くのだろうか? 介護保健施設? 特別養護老人ホーム? それとも、認知症のグループホームかしら。病状が悪化してきたら、やはり病院に担ぎ込まれるの? でも、病院はせいぜい3か月しか置いてはくれません。病院をたらい回しにされて、植物状態のよう
になって点滴を打たれ、そのまま衰弱死を待つのかしら。たまに娘が面会に来て、「このごろ、お母さんは寝てばっかりだね」なんて言われるを聞くのかしら。
あるいは、父のように、がんになってホスピスに入るのかしら。娘は、私と一緒に父を看取ったホスピスをとても気に入っていて、「お母さんが死ぬときも、ここで死ねるといいね」なんて冗談を言って笑っていたけれど……。
あれこれ考えていると、“お1人様”になったときの自分の死に場所がありません。
どうしたものだろうか……。
これは、きっと私だけでなく、私の世代の多くの人の悩みなのだと思います。ただ、みんなまだ「自分のこと」にまで考えが及ばないだけ。ほとんどは親の看取りで右往左往している、というのが今の40~50歳代なのでしょうから。
いよいよ高まる在宅医療・地域ケアのニーズに応える、訪問看護・介護の質・量ともの向上を目指す月刊誌です。「特集」は現場のニーズが高いテーマを、日々の実践に役立つモノから経営的な視点まで。「巻頭インタビュー」「特別記事」では、広い視野・新たな視点を提供。「研究・調査/実践・事例報告」の他、現場発の声を多く掲載。職種の壁を越えた執筆陣で、“他職種連携”を育みます。楽しく役立つ「連載」も充実。
5月号の特集は、ステーション経営を安定・向上させる秘訣がいっぱい。時間もお金もかかる大規模化やネットワーク化などはさておき、まずは明日からでもできる“工夫”を集めました。それらは、利用者さんの満足度にも直結! 制度の枠も飛び越えて、夢を叶える経営戦略を“企業ヒミツ”ギリギリのところまで明かしていただきました。