かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2012.11.05 update.
取材:イシカーさん
嶋守さやか先生(桜花学園大学・准教授)による地域福祉の授業で、保育学科1年生の学生さん150人が、『幻聴妄想かるた』を体験してくれました!
(ハロウィンも近いということで、先生も学生さんたちも思い思いの仮装をしていたよ。)
冒頭、嶋守先生はこのようにかるたを紹介してくれました。
「幻聴や妄想っていうと、みんないろいろな先入観(怖いとか、変とか)を持っていると思うけれど、本当はどうなのか、ということは誰も知らないですよね? 今日はそれを、当事者たちが作ったかるたを体験することで知ってもらいたいと思って、『幻聴妄想かるた』を持ってきました。今からみんなでかるた大会をしたいと思います」。
グループに分かれ、市原悦子さんの読み札がかかると学生たちの集中が高まります。
『露地』にある「かるたの遊び方」どおりに、嶋守先生が「はい」と言ったら札を取るというルールなので、おもわずお手つきをしてしまう学生さん続出。お手つきには罰ゲーム(自分の良いところを5つ言う)が課されるので、特別な緊張感もありました。
1札ごとに、「はい」「キャーーーっ!!」(ドーーーン)
音だけ聞いていると、いったいこの授業は何をしてこんなに盛り上がっているのかしらという状況。
以下は『幻聴妄想かるた』を体験した学生さんたちの感想です。
●自分のイメージでは、幻聴はいいことではないと思っていました。でも『幻聴妄想かるた』をやって、かるたに夢中になるだけじゃなくて、罰ゲームを楽しんだり、読み札に耳をかたむけて、みんなで笑ったりして幸せでした。もっといろんな人とやりたいなって思いました。
●かるたを通じて精神障害がどのようなものなのかを、今まで思っていたものとは違うことがよくわかりました。
●イメージを大きく変えることができました。ありがとうございました。
●普通に自分でも思ったりすることだったので、意外でした。
将来、学生さんたちが保育士になったら、地域においては精神の病は、想像以上に身近なものだということに気付くと思います。
そんなときに、ありのままをとらえることができる保育士さんになってほしいなとイシカーさんは思います。『幻聴妄想かるた』の体験が、そのきっかけになれたなら嬉しいです。
嶋守先生、学生のみなさん、ありがとうございました。
皆さんが仮装しているのにイシカーだけ仮装なしは失礼だろうと、
ドン●ホーテで買って取材に臨みましたが、ちょっと(かなり)浮いていたかな……。
右はアリスとネコ耳がカワイイ嶋守先生。
これが本物の幻聴妄想の世界だ!!
東京・世田谷のハーモニー(就労継続支援B型事業所)が、自分たちの幻聴妄想の実態をかるたにした。彼らの幻聴妄想の世界を知ることは、共存の意味を学ぶことである。解説冊子と、DVD『幻聴妄想かるたが生まれた場所』に加えて、女優の市原悦子さんによる『読み札音声』CDが付録になった豪華版。
[こんなふうに使ってください]
*医療者――心理教育のツールとして。地域で暮らすイメージをつくり、退院支援のきっかけに。
*教育者――精神看護学実習の教材として。
*当事者・家族――幻聴妄想をどう話すか、どう聞くか、どう解決するかの参考に。
*作業所――ユニークで、注目を浴びる商品開発の参考に。