運動と栄養を考える

運動と栄養を考える

2011.10.11 update.

澤田江里子 イメージ

澤田江里子

トータル・コミュニケーションズ(株)管理栄養士


大学卒業後、病院にて勤務。管理栄養士取得後、調理現場、栄養指導、NST、嚥下食に携わり「食」の大事さを学ぶ。退社後サプリメントを勉強しサプリメント管理士取得後、老人ホームへ入社し栄養課リーダーを務める。その後トータル・コミュニケーションズ(株)へ入社。現在は健康・栄養PR業務に従事。

10月は体育の日がありますね。日頃から運動はしていますか?

 

9月の健康増進普及月間の記事にも掲載しましたが、「1に運動2に食事」というように、健康づくりには運動が欠かせません。

 

ではどれくらい運動したらよいのでしょうか。厚生労働省では「エクササイズガイド2006」を活用するように促しています。このエクササイズガイド2006では、「メッツ」(強さの単位):身体活動の強さが安静時の何倍に相当するかを表し、「エクササイズ」(身体活動量):メッツ×身体活動時間で表すとしています。

 

たとえば、

 

座って安静にしている状態は1メッツ

普通歩行は3メッツ

 

3メッツ×1時間=3エクササイズ

6メッツ×1/2時間=3エクササイズ

 

というように表します。

 

身体活動は「生活活動」と「運動」に分けられ、健康づくりのための身体活動は「1週間のうち23エクササイズ以上の身体活動を行い、そのうち4エクササイズ以上は3メッツ以上の活発な運動を行うこと」としています。

 

 

図 1エクササイズに相当する活発な身体活動 

tci_mhlw.JPG

(厚生労働省:健康づくりのための運動指針2006.7頁より抜粋)

 

 

図を参考にすると、歩行20分(3メッツ)で1エクササイズです。1週間で23エクササイズを行うには、歩行20分(1エクササイズ)×23エクササイズ(=460分の歩行)が必要です。

 

つまり、1日65~66分≒約1時間歩くことになります。毎日1時間以上歩くのはあまり現実的では無いという方は、メッツが大きい身体活動(強度が強いもの)と組み合わせて23エクササイズにします。

 

水泳7~8分(8メッツ)を週に2回、各30分取り入れた場合は、4エクササイズ×週2回=8エクササイズ行ったことになります。残りを歩行で補うと

 

(23エクササイズ-8エクササイズ)÷7日間=2.1エクササイズ/日

 

つまり、1日20分×2.1=約43分。毎日片道20分強の歩行を2回行うことになります。活発な身体活動を行うと、代謝が上がり生活習慣病予防や体力の向上に繋がります。また、活発な身体活動を行った際はしっかりと栄養をとることが大事です。

 

それでは、ここでクイズです。

 

 

運動後に主に必要となる栄養素は糖質、たんぱく質、ミネラル、水分です。糖質は消費したエネルギーを補給し、たんぱく質は運動で傷ついた筋肉を修復します。一方、ミネラルや水分も汗で失われるので補給が必要です。

 

運動直後に運動で失われたエネルギーやたんぱく質などの必要な栄養を補給することは筋肉の回復や疲労回復に大変効果的です。しかし運動直後は体の消化機能が弱まっています。失われた栄養を補給しようと、お肉やご飯等を補給しても上手に消化吸収できないことがあります。その為、運動直後はスポーツドリンクやプロテインのように消化の良いもので不足した栄養を補い、運動後1時間程度経ってからしっかりとした食事をとることをお勧めします。

 

質問コーナー!

 

Q1.水やお茶、あるいはコーラとかはダメなんですか?

A1.水分補給という意味ではお水やお茶でも良いです。例えば、起床時やお風呂上がり等の水分補給にはお水が適しています。しかし、運動の際には沢山の汗とエネルギーを消費するので、水分だけでなく、ミネラルやエネルギー補給が出来るスポーツドリンクのような飲み物をお勧めします。

コーラは糖分が多いのでエネルギー補給という意味では良いかもしれませんが、糖度が高いので運動前に飲むとかえって喉が渇いて逆効果になる可能性もあります 。運動後でも、飲みすぎてしまうとカロリーを摂り過ぎてしまうので注意が必要です。

 

 

Q2.プロテインって運動してる人が飲んでいるイメージがあるのですが。

A2.「プロテイン」とは、「たんぱく質」を指します。人の筋肉や肌、爪、髪の毛等人間の細胞はたんぱく質から成り立っています。そのため、運動などで筋肉を沢山使った時には筋肉細胞の修復の為にたんぱく質が必要になります。筋肉隆々の人が筋トレ後に飲んでいるイメージがあるかもしれませんが、ジョギングなど軽い運動をした後でも適量を守って飲めば、疲れがとれやすいといったメリットがあります。

 

 

Q3.最近よくBCAA、アミノ酸だとかを見るけれど、あれは何?

A3.BCAAはたんぱく質(アミノ酸)の一種で、9種類ある必須アミノ酸のうち、「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称です。筋肉の30~40%前後はBCAAで構成されており、運動時に効率良くエネルギーに代わるアミノ酸です。傷ついた筋肉の修復にも作用するので、運動前や運動後などたんぱく質が必要な時に上手にとり入れると良いでしょう。

 

 

適度な運動と適切な食事、しっかり休養を行って健康な体をつくりましょう。


たんぱく質(プロテイン)は何のために必要でしょうか?

正解不正解

傷ついた筋肉の修復のため

激しい運動や筋肉トレーニングで傷ついた筋肉の修復の為に必要です! ちなみに「プロテイン」とは「たんぱく質」のことであり、よく運動する人が飲むイメージのあるアレのみを指す語とは限りません。

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