かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.8.17 update.
1981年北海道大学医学部卒。同第2外科入局。医学博士。2年間のフランス留学をはさんで、心臓外科・血管外科の第一線で活躍。最近は、動脈硬化性疾患についての啓発活動や看護師教育にも力を注いでいる。心電図が苦手なナースを救済するために、北日本心電図教育研究会を主宰。
『かんたんポイント心電図』の奥出先生による心電図クイズ!
難易度★★★の問題です。少し難しいかもしれませんが、チャレンジしてみましょう♪
【問題6】 難易度 ★★★
56歳の男性。感染性腸炎で入院中
早朝、動悸と胸部違和感にてナースコールあり。脈に不整あるため、心電図モニターを装着した。
心室性期外収縮の診断で経過観察とした。
この判断は、正しい?誤り?
答えは2ページ目へ↓
心室性期外収縮(PVC)ですが、「多源性」であり、比較的危険度が高いタイプです。全身状態などを確認したうえで慎重に観察し、早めのドクター報告が望ましいでしょう。
規則的な脈の中に割り込むような形で、幅広く異常な形のQRSを持った波が見られるので、これは心室性期外収縮(PVC)です。
心室性期外収縮はよく見られる不整脈で、検脈の時に「脈が飛ぶ」という形でしばしば認められます。
普通は自覚症状も少なく血行動態に与える影響も少ないので、そのまま経過をみて構いません。
しかし、この心電図の場合は心室性期外収縮の異常波形が同じ形ではなく、異なる場所から発生した期外収縮であることが考えられます。これは「多源性」心室性期外収縮と呼ばれ、心臓が不安定な状態です。心室頻拍や心室細動などに移行する危険が高いと考えられ、より厳重な注意が必要です。
このような「危険な心室性期外収縮」のパターンについては、覚えておいたほうが良いでしょう。
危険な心室性期外収縮(PVC)
この症例では、モニターに目を光らせ慎重に観察するとともに、早めのドクター報告が望ましいでしょう。
また、患者さんの症状や状態もしっかり観察してください。血圧の低下や心不全症状がないかどうかなどは基本です。
また、このような不整脈は急性心筋梗塞の場合にもしばしば見られるので、胸痛などがあれば12誘導心電図での確認が必要です。
心電図なんて全然わからないよ(><)という方には、もっと簡単に解説したこの本がオススメ!
著:奥出 潤
A5判/192ページ/定価2,520円(本体2,400円+税5%)
心電図の読み方、とり方、伝え方がわかる! もう心電図は怖くない!
新人ナースのアキちゃんは、心電図が大の苦手。でも、Dr. Oが臨床に必要なポイントだけをわかりやすく教えてくれるから大丈夫! 読み進むうちに、心電図のしくみから診断までが自然に理解できる。これから心電図を学ぶ人にも、心電図の知識をもう一度整理したい人にもぴったりの1冊。