『中動態の世界』の謎に迫る!

『中動態の世界』の謎に迫る!

2017.3.28 update.

國分功一郎(こくぶん・こういちろう) イメージ

國分功一郎(こくぶん・こういちろう)

1974 年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
高崎経済大学准教授。
専攻は哲学。
主な著書に、『スピノザの方法』みすず書房、『暇と退屈の倫理学 増補版』太田出版、
『ドゥルーズの哲学原理』岩波現代全書、『来るべき民主主義』幻冬舎新書、
『近代政治哲学』ちくま新書、『民主主義を直感するために』晶文社など。
訳書にドゥルーズ『カントの批判哲学』ちくま学芸文庫、
ガタリ『アンチ・オイディプス草稿』(共訳)みすず書房などがある。
最近ハマっているのは空手。

 

①中動態?……なんじゃそれ??

 

②ほうほう、中動態は「別の光を当ててみなければ見えてこない」?

 

③おっ?

 

④ホントだ! わかった!!

写真(C)岩沢蘭

 

 

『中動態の世界』の著者、國分功一郎先生は何をしているんでしょうかね

実は、本書のカバーの上にニスで文字が印字してあって、光の当たり具合によってはうっすら読むことができるんです。

本書冒頭に次の一節があります。

 

《その世界は失われた世界ではないし、未知の世界でもない。

ある意味では身近であるが、しかし、手をかざしていつもの日の光を遮るか、別の光を当ててみなければ見えてこない、そんな世界である。》

 

「これから中動態の世界の謎に探って行こう!」という決意に満ちた美しい文章です。そんなわけで、カバーにもいつもと別の光を当ててみた、と。

よろしれければ皆様もぜひ解読してみてください。

 

 

このたび小社では、「シリーズケアをひらく」最新刊として、國分功一郎先生の『中動態の世界――意志と責任の考古学』を刊行いたしました。

帯に《失われた「態」を求めて。》と大きく書かれています(「熊」じゃなくて「態」です。狩猟の本じゃありません……)

 

「失われた態」とは何か。中動態のことです。

私たちはふつう「能動態」と「受動態」しか知りません。つまり「する」か「される」の世界ですね。しかしそれだけではないことは、私たちの現実をみればすぐわかりますよね。

 

たとえば実際の臨床の場でも、主体-客体が明確なことばかりではありません。自傷の患者さんが、自分で切ったのに「切らされた」感満載だったり。あるいは看護師の語りが、いつの間にか患者さんが主語になっていたり。

 

こういう語りは非論理的に見えたりします。しかし、「これは語り手が混乱しているのではなく、むしろ語られる事象に相応しい文法を我々が持っていないに過ぎないのではないか?」という問いも立ちうるはずです。……こんな疑問に導かれて、本書は始まります。

國分先生は言います。

 

《誰も気にかけなくなった過去の事件にこだわる刑事のような気持ちで、私は、中動態のことを想い続けていた。》

 

どうやら、中動態というちょっと変わった入り口から入ると、意志や責任、さらには人間の自由まで論じられるらしいのです。

そんな高尚なことだけでなく、便所掃除やカツアゲがうまく説明できたり、いつも「あんなことしなければよかった」と思っている気持ちに折り合いが付いたりもする、と。

 

さあ、國分刑事(デカ)と一緒に、迷宮入りした「中動態の謎」にトライしてみてはいかがでしょうか。

日々の臨床に、少し別の光が当たるかもしれません。

 

 

 

中動態の世界――意志と責任の考古学 イメージ

中動態の世界――意志と責任の考古学

自傷患者は言った。「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」。
依存症当事者はため息をついた。「世間の人とは喋っている言葉が違うのよね」。
哲学者は呟いた。「ぼくらが使っている言葉は、便所掃除もカツアゲもうまく説明できない」。


強制はないが自発的でもなく、自発的ではないが同意している。そうした曖昧な事態はなぜ言葉にしにくいのか? そもそも、なぜそれが「曖昧」にしか感じられないのか? 語る言葉がないからか? それ以前に、私たちの思考を条件付けている「文法」の問題なのか?


《する》と《される》の外側の世界への旅はこうして始まった。


■著者より
「意志そして責任についてすこし変わった観点から論じているのがこの本です。中動態というのはかつて存在した、能動態でも受動態でもない文法事項のことなのですが、この文法を出発点に、意志や責任、さらには人間の自由まで論じています。あまり見慣れないものを扱っているわけですが、平易に書かれています。世界の見方が変わるはずです!」

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