第2回 PaO2とSpO2の関係を説明できますか?

第2回 PaO2とSpO2の関係を説明できますか?

2013.3.15 update.

堀川由夫

1959年、兵庫県生まれ。
徳島大学卒後、神戸大学医学部麻酔学教室入局。神戸大学大学院博士課程修了。
兵庫県立こども病院、西神戸医療センター勤務を経て、
2012年より兵庫県立姫路循環器病センター麻酔科部長。
神戸大学の学生講義や看護師向けのレクチャーにおいて、
身近な例を用いた解説で人気を博す。

 

前回は、SpO2とSaO2の違いを紹介しました。今回はパルスオキシメータに表示されるSpO2の意味と、血液ガスにかかわる記号の読み方をまとめておきます。

 

 

SpO2でPaO2を推測できる

 

呼吸不全の定義は「空気呼吸下でPaO2(動脈血酸素分圧)が60mmHgを下回ること」とされています。PaO2については後ほど詳しく解説しますが、ここで大切なことはPaO2とSpO2が連動していることです。それゆえ、パルスオキシメータでSpO2を見ることでPaO2値を推測することが可能なのです。

 

例えば前回、「SpO2が90%を下回ると不良」と書きましたが、これは、SpO2が90%を下回るときに、PaO2が呼吸不全の定義である60mmHgを下回るレベルに差し掛かるからです。

 

 

 

ketsugas02-01.jpg

図 酸素解離曲線
PaO2を横軸、SpO2を縦軸に取った図を酸素解離曲線と呼びます。この図では、PaO2=60mmHgのときにSpO2=90%を示すことを表しています。

 

 

PaO2を直接計測するには、血液ガス分析という検査を行う必要があるため、リアルタイムに連続的に測定できるSpO2が、体内の酸素供給状態のモニタリングに広く活用されています。

 

 

血液ガスの記号表記を覚えるコツ

 

ただし、SpO2をPaO2の代わりに用いることができるといっても両者は同じものではなく、SpO2によるモニタリングには限界があります。現在の臨床場面でどのようにパルスオキシメータが活用されているかについては次回以降に解説するとして、ここでは血液ガス独特の記号表記について、復習しておきましょう。

 

SpO2やPaO2といった表記に苦手意識を感じる読者も多いと思いますので、ポイントをまとめておきます。基本的にはSなら飽和度(Satulation)、Pなら分圧(pressure)というように、頭文字を並べたものと考えればよいのですが、混乱するのは次のような記号ではないかと思います。

 

①PaO2(動脈血酸素分圧) P:pressure(分圧)、a:artery(動脈)、O2:酸素
②PAO2(肺胞気酸素分圧) P:pressure(分圧)、A:alveolar(肺胞気)、O2:酸素

上記の①、②は2つ目の文字が大文字「A」か小文字「a」かの違いです。それによって動脈(artery)の酸素分圧なのか、肺胞気(alveolar)の酸素分圧なのかを区別しているわけです。例えば、次の③は、「動脈血と肺胞気の酸素分圧の差」を表す記号です。

 

A-aDO2(肺胞気-動脈血酸素分圧較差) A:alveolar(肺胞気)、a:artery(動脈)、D:difference(較差)

また、④のように、酸素(O2)の代わりに二酸化炭素(CO2)を表す記号もよく登場します。

 

④PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧) P:pressure(分圧)、a:artery(動脈)、CO2:二酸化炭素

動脈(a:artery)ではなく、静脈(vein)で測定した二酸化炭素分圧は、次の⑤のような記号となります。

 

⑤PvCO2(静脈血二酸化炭素分圧) P:pressure(分圧)、v:vein(静脈)、CO2:二酸化炭素

 血液ガス分析にはほかにも多くの記号が出てきますが、ひとまずこの程度の知識を頭に入れて、読み進めるとよいでしょう。

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