第1回 SpO2とSaO2はどう違う?

第1回 SpO2とSaO2はどう違う?

2013.3.08 update.

堀川由夫

1959年、兵庫県生まれ。
徳島大学卒後、神戸大学医学部麻酔学教室入局。神戸大学大学院博士課程修了。
兵庫県立こども病院、西神戸医療センター勤務を経て、
2012年より兵庫県立姫路循環器病センター麻酔科部長。
神戸大学の学生講義や看護師向けのレクチャーにおいて、
身近な例を用いた解説で人気を博す。

この連載では、身近な医療機器であるパルスオキシメータを入り口に、血液ガスのしくみと患者の見方をレクチャーします。血液ガスについては苦手意識をもつ人も多いと思いますので、できるだけ基本的なところからひもといていきます。

 

第1回はひとまず、パルスオキシメータに表示されるSpO2の意味をおさらいしてみましょう。SpO2とSaO2ってどう違うか、説明できますか?

 

パルスオキシメータの強み

 

手術室、救急、病棟、外来、リハビリテーションから在宅現場まで、パルスオキシメータは医療現場のさまざまなところで使用されています。では、私たちはパルスオキシメータで何を知り、それをどう判断しているのでしょうか。

 

ご存知のとおり、パルスオキシメータに表示されるのはSpO2(動脈血酸素飽和度)です。SpO2というのは、「動脈血中の酸素(O2)の飽和度(saturation)を、脈拍動(pulsation)を利用して測定する」という意味であり、具体的には「動脈血液中の赤血球ヘモグロビン(以下、ヘモグロビン)がO2とどれくらい結合しているか」をパーセント表示したものです。

 

指先にクリップ状のプローブを装着して測定するのが一般的で、簡便で患者への侵襲も少なく連続的にモニタリングできます。

 

パルスオキシメータは測定値が100%表示で、大まかな目安として95%以上は優、90%以上は良、90%未満は不良と評価できます。このように評価基準がわかりやすく、またその数値をリアルタイムに観察できるのが最大の利点です。極度の貧血患者や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)など慢性的にSpO2が低い人を除けば、おおむねこの基準を適用でき、幅広く利用できるのもメリットです。

 

SpO2とSaO2

 

SpO2と似たような記号にSaO2がありますが、こちらはS:Satulation(飽和度)、a:artery(動脈)、O2:Oxygen(酸素)の略であり、動脈血の酸素飽和度の実測値です。先に述べたとおり、SpO2は、S:Satulation(飽和度)、p:pulse(脈拍)、O2:Oxygen(酸素)の略であり、間接的にSaO2を測定する方法ですが、測定条件が整っていれば、両者は近時値を取るとされています。

 

次回は、PaO2とSpO2の関係を見ながら、SpO2を見ることの意味を改めて考えてみましょう。

パルスオキシメータを10倍活用する 血液ガス“超”入門 イメージ

パルスオキシメータを10倍活用する 血液ガス“超”入門

パルスオキシメータの本当の使い方、教えます

「SpO2だけを見ていると危険?」 「換気が増えるとSpO2はどう変わる?」 パルスオキシメータを徹底活用するために必要な血液ガス交換の知識を、平易なたとえ話でひもとく。ありそうでなかった血液ガス“超”入門!

詳細はこちら

このページのトップへ