第4回 ファシリテーションは、看護マネジメントのどのような場面で活きるのか 組織をどう変えるのか

第4回 ファシリテーションは、看護マネジメントのどのような場面で活きるのか 組織をどう変えるのか

2013.2.21 update.

浦山絵里 イメージ

浦山絵里

杏林大学医学部付属病院に長年勤務し、その後、公立病院勤務を経て2007年にひとづくり工房esucoとして起業。現在、ナースファシリテーターとして看護協会、病院での研修セミナー講師、看護部門の業務改善プロジェクトや人材育成についてコンサルティングを実施。生き生きと看護師が語る「語り場づくりファシリテーター」として、看護師への支援活動を行っている。

 ずいぶん間が空いてしまいました。この連載、なんだったかな?と思っていらっしゃる方もおられるかと思いますが、ここからが本題です。(長い前置きにつきあわせてしまった皆さん、申し訳ありません。)

 
 さて、改めまして・・・
みなさん、ブレーンストーミングという言葉を聞いたことはありますか?
これは主に集団の場で、新しいアイデアを出すための手法です。
下記の表に示した簡単な4つのルールに沿って実施します。

 

表:ブレーンストーミングのルール
◎質より量 

◎連結連想自由
  (他のメンバーから出てきた言葉にのっかって、つないでOK)

◎批判厳禁

◎自由奔放

     

ブレーンストーミングを実施する際、アイデアを少しでもたくさん出した方が勝ち(質より量)、他のひとから出てきた意見を批判したりしないこと(批判厳禁)、を原則として、同じ場にいる他のメンバーの発言から連想される事柄も大切にしながら(連結連想自由)、自由に発想して(自由奔放)書き出していくことです。

 

●“ひとりブレスト”をやってみましょう!

 

 では、お手元に時計と紙とペンを出していただけますでしょうか?
ひとりブレーンストーミング(ブレスト)を実施していただきたいのです。
ブレストをされたことのない方も、大丈夫です。

ブレストを行っていただくお題は・・・
「みなさんが日々働いている現場の今って、

いったいどんな感じ? どんな雰囲気? どんなイメージ??」です。

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 なんだか漠然とした質問ですが、感情でも、課題でもなんでもよいのです。

 3分間かけて、20項目以上を目標に思いつくまま、書き出してみてください。

 さて、どんな内容が出てきたでしょうか?

 

 講師としておじゃまする、さまざまな研修の場で、このブレストワークをしていますが、「とにかく人より多く書き出したひとが勝ち!」という“競争”要素を入れて実施することもあって、いつも結構盛り上がります。
そしてタイトな時間制限が設定され、ある種の切迫感のある状況下で、実施することも功を奏し、ついつい本音が表出されるのです。

・緊張
・憂鬱
・疲れた
・めんどくさい
・きりがない
・責任
・忍耐
・課題
・実践
・キャリアアップ
・教育                  

などなどが定番で上がってくることの多いワードです。

 

 ときには、人の名前や役割、委員会といった具体的な内容が出てくることもあります。みなさんの書かれた“ひとりブレスト”にもこうした具体的な内容が書かれていたりしませんか??

 書き出された事柄を丁寧に見てみると、責任や忍耐といった言葉の裏に、「こうやらねばならない」「失敗してはならない」とか「誰もが同じことを同じようにできなければならない」といった、仕事への強い使命感あるいは、義務感に対するストレスが垣間みえるように思います。

 看護という「ケア」に携わる私たちは、サービスを提供する対象者(患者や利用者)に対しては、寛容になれたり、個性を尊重しようと意識することができるのに、なぜか身内(スタッフ)には厳しいように感じます。

 

・・・どうですか?皆さんの現場では?

 

 マネジャーの多くは、自律した人材を創りたい。そういう人材を育成するために、日々教育をしているとおっしゃいます。
そういいながら、「看護とはこうあるべきだ」と、べき論で指導することも多かったりします。もちろん、多忙ななかで、安全な医療現場を実現するためには、それも仕方がないことではないかとも思うのですが・・・。

 

 さらに最近では、新人を辞めさせないために叱らずに褒めようという傾向も強いようです。思うに、そもそもただ褒めて育てるなんていうのは、褒められるために何かをする人を創ることになるわけですから、自律した人材育成とは真逆のアプローチなのではないのかな? と思ってしまうわけなのですが・・・。

 

●自律した人材を育てる場をつくる「ファシリテーション」

 

 では、「自律した人材」は、どうしたら育てられるのでしょう?

 

 多くのマネジャーは「自分で考えることができる」「自分で解決策を選択できる」「相互に支援し合える」といった意味でこの言葉を使われているようですが、では、そういう人材を育てるために私たちは何をすればよいのでしょうか。

 

 それにはまず、看護現場に置ける自律した人材がどういう人なのか、を考え、定義づける必要がありますね。これもぜひ“ひとりブレスト”で思考してみてください。

 

 ナースファシリテーターの立場から、私は、自律した人材を育成するために大切にしなければいけないことは、以下の3点ではないかな?と考えています。

 

・組織のなかに、安全で安心できる対話の場がある
・新しい挑戦に伴う小さな失敗は、歓迎される風土がある
・挑戦を支援する仲間がいる

 

 これら3点を強化し、自律した風土を創るために、個々の力を引き出し合い、それらを学びとするために共有し、強化する対話の場を創る方法として、

 

①それぞれの力を引き出し合うファシリテーションスキル
②学び合いにつながる参加型の教育の手法としてのワークショップ

 

があると考えています。
(ここで、最初にあげたブレストの4つのルールを思い出してみてください)

 

 ナースファシリテーターとして、ファシリテーションやワークショップを組織に取り入れることで、組織を開くことに取り組んできた、私の経験をもとに、次回からそのスキルや考え方を具体的に綴っていこうと思っております。

 ではでは、また次回!

 

うら凛
 

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