第1回 ナースファシリテーターって何? っで、うら凜って誰なんだ!?

第1回 ナースファシリテーターって何? っで、うら凜って誰なんだ!?

2012.9.04 update.

浦山絵里 イメージ

浦山絵里

杏林大学医学部付属病院に長年勤務し、その後、公立病院勤務を経て2007年にひとづくり工房esucoとして起業。現在、ナースファシリテーターとして看護協会、病院での研修セミナー講師、看護部門の業務改善プロジェクトや人材育成についてコンサルティングを実施。生き生きと看護師が語る「語り場づくりファシリテーター」として、看護師への支援活動を行っている。

 

すこーし長い前置きと自己紹介

「はじめまして。浦山絵里と申します。うら凜と呼んでいただけると嬉しいです」

 

これが、研修やワークショップ(以下WS)で人と出会う時の私の第一声です。皆さんにもうら凛と呼んでいただけるとありがたいです。


これから連載というかたちで、「ファシリテーション」や「ワークショップ(WS)」といったコミュニケーションの方法について、発信していきたいと思っています。対人援助をなりわいとする私たちナースは、臨床でも同僚同士でも、明けても暮れてもコミュニケーション、コミュニケーションです。

 

この職業柄逃げることはできないといえる状況を、わくわくする場、主体的にかかわれる場、価値のある話し合いの場にするための技法、それがファシリテーションなのです。

ときに予期せず起こってしまう葛藤や対立といった状況にもおそれることなく、目の前で起きているプロセスに寄り添い、場のもつ力を引き出すためのコミュニケーションスキルともいえるでしょう。

 

まずは、自己紹介から始めましょう。

 

私は現在、東京の多摩地域に住んでおります。近くには井の頭恩賜公園という大きな公園があり、100円をいれたら畑の採りたて野菜を購入できる無人販売もあったりして、東京といっても自然が多い、のんびりとした地域です。

 

この自宅近くの大学病院でウン十年勤務をし、その後“ナースファシリテーター”として起業しました。現在は臨床を離れ、病院や介護保険施設、専門学校などさまざまな場で、看護師のアイデンティティで活動しています。

 

実はこの原稿を書くにあたって、今までのことを振り返ってみました。じーっくり考えてみると、今のナースファシリテーターとしての私は、ほかでもなくこれまでのナースとしての体験から創られてきたのだな~と、実感しました。

 

となると、まずは私の臨床での体験からお伝えしないとこの話は現場につながらないのではないか・・・という気持ちがわいてきました。

 

「早いとこ本題に入ってくれよ!」というご意見もあろうかと思いますが、もう少し私を形づくってくれた「臨床の物語」を聞いてください。

 

○コワ~イ上司がかけた魔法

私は地方の高校を卒業すると、東京にある大学病院付属の看護専門学校に入学しました。そして卒業後は、都内でもまだそのころは珍しかった救命救急センターで仕事を始めました。そしてここで、今でも大きく影響を受け続けている先輩ナースの上司と出会ったのです。

 

この上司は院内でもコワ~イ看護師長で通っておりました。とにかく厳しいのです。でも、自分にも厳しく向き合っている方でした。指摘されたことは「ごもっとも・・・・・・」ということばかりで、言い訳する言葉さえ浮かびません。

 

またスタッフのミスはその日のリーダーや先輩の連帯責任だということで、ミスをしてしまった自分以外の人までが厳しく叱られるので、自分だけが叱られるよりもいたたまれない時間を過ごすことも多かったように記憶しています。

 

そんな厳しさのなかでは時折、「もうやっていられない!」と、師長に猛然と話をしに行く先輩も数多く…でも、その都度、不思議なことが起こるのです。

「今日は伝える!(「今日こそ洗いざらい言ってやる!」ぐらいの勢いで)」意気込んで出ていった先輩が、面接を終えると、師長室から涙を流しながら出てくるのです。しかも「これから、こういうことをやってみようかと思うの!」「これからあなたも一緒にがんばろう!」などとと目をキラキラさせながら、私に話しかけてくるわけです。

 

「こりゃ、うちの師長は、魔法をかけるか、洗脳でもしているんではないだろうか!?」と思わせる不思議な情景でした。そして、私自身も同様の体験を何度かするわけです。

 

○ひとを育てる=“養殖系”コーチをめざしてスキルを学ぶ

この魔法の謎が解けたのが、1999年に職場である大学病院を会場に開かれた「コーチング大会」でした。コーチングのスキルがまさに、その上司が私たちに実践してくれていたことだったのです。魔法はコーチングというコミュニケーションスキルでした。この上司は“天然型”コーチでしたが、私たちは技法を身につけて“養殖系”コーチになろうと思ったわけです。

 

今でこそ各看護協会の研修として「コーチング」はポピュラーなものとなりましたが、そのころは「コーチングって何????」という時代でしたから、ただただ「行動変容を支援するってすてき~」「おお、管理職が人材を育成するってこういうことなのね~」という高揚感に後押しされるまま、まずはコーチングを院内で自主勉強する会を開くことにしました。

 

コーチングを看護部内のカルチャーにしたいという仲間が20人程度集まり、プロコーチを招いてスキルを学び合いながら、現場で使い、うまくいかないことを仲間と共有し合う時間を1年ほどもちました。

 

同じようなスタンスの仲間で、新しい事柄をただ「知る」だけではなく、実際に「身近で使って、振り返る」という時間でした。私はここで、知るだけではなく、実践してみて、リフレクションすること、そしてそれを同じような立場の仲間とシェアする「学び合い」を体験することになりました。これはその後の参加型の学び=「ワークショップ」への学びへの興味につながっていきました。

(つづく)

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