第2回 フィジカルアセスメント教育

第2回 フィジカルアセスメント教育

2012.3.16 update.

急変につながる徴候を早期に発見する

病院で発生した心肺停止の実態調査で、心肺停止の6~8時間前に認められる急変につながる徴候の早期に発見と速やかな救急対応が予後を左右することが示されました。高度・先進医療を提供する役割を担う大学病院では、患者に一番身近な看護師が生命の危険につながる徴候を早期に発見することが求められ、フィジカルアセスメント能力を身につけていることは必須です。

 

卒後3年間での技術修得を目指す

一方、看護基礎教育課程においてフィジカルアセスメントを履修していますが、技術を確実に習得できていないという現状があります。これらを踏まえ、卒後3年間で呼吸・循環に関する実践的なフィジカルアセスメント能力とクリティカル場面に的確に対応できる技術習得を目的に、教育プログラムの開発に着手しました。

 

プログラムの特徴

シミュレータを用いた技術修得プログラム

教育プログラムは、教育効果が実証されているシミュレータを用いたフィジカルアセスメント教育をさらに応用・発展させることで、実践に生かせる技術習得プログラムとなっています。また、技術の習得プロセスには個人差があるため、個々が納得いくまで学習できるセルフラーニング(自己学習)と実践トレーニングを繰り返すことが大きな特徴です。

 

インストラクショナルデザインのシステムアプローチモデルを

活用したプログラム開発

教育プログラムの開発には、教育を効果的、効率的に設計・実施するための方法論(Dick et al., 2001)である教育工学を基盤としたインストラクショナルデザインのシステムアプローチモデルを活用しています。

 

「学習転移モデル」を用いた教育プログラムの評価

効果的・効率的に人材を育成するために、「学習転移モデル(learning transfer model)」(Lave,2000)のプロセスを用いて教育プログラムを評価し、改良する点も重要なポイントとなっています。

 

プログラムの概要

教育プログラムの具体的内容は、4つのパートにわかれています。

1.フィジカルアセスメント能力の前提条件を一致させるためにタスクトレーニングを「フィジカルアセスメントⅠ」としました。

2.個人のアセスメント能力を高めるように「フィジカルアセスメントⅡ」でシナリオシミュレーショントレーニングをプログラムしました。

3.「フィジカルアセスメントⅢ」では、呼吸管理の実践能力を高めます。

4.「フィジカルアセスメントⅣ」ではさらにチームを通して実践力を向上させるためのシミュレーションへとプログラムを発展させます。

 

フィジカルアセスメントⅠ:タスクトレーニング

目   的:呼吸器・循環器系フィジカルアセスメントに必要な基本的な知識と技術を習得する。

対象者:新卒看護師

内  容:知識・シミュレータプレテスト→講義→演習→知識・シミュレータポストテスト

使用シミュレータ:フィジコ、Mr.ラング、イチロー(京都科学)

         SimMan、ALSシミュレータ(learldal)

(詳細は第3回)

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フィジカルアセスメントⅡ:シナリオシミュレーショントレーニング

目  的:呼吸機能あるいは心機能の低下により症状が出現している患者を想定し、症状の原因を推測するために必要な知識と技術を習得する。

対象者:新卒看護師

内 容:知識・シナリオシミュレーションプレテスト→講義→演習→知識・シナリオシミュレーションポストテスト

  使用シミュレータ:フィジコ(京都科学)

  ALSシミュレータ(learldal)

(詳細は第4回)

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フィジカルアセスメントⅢ:呼吸管理

目 的:吸引に関するフィジカルアセスメントと、安全な吸引が行える知識と基本的技術を習得する。

対象者:新卒看護師

内  容:知識プレテスト→講義→知識ポスト・シミュレーションプレテスト→演習→シミュレーションポストテスト

使用シミュレータ:Qちゃん(京都科学)

(詳細は第5回)

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フィジカルアセスメントⅣ:チームシミュレーショントレーニング

 目 的:患者の急変の前駆症状を効果的に発見できる観察方法を習得し、急変時対応に有効なチーム実践力を習得する。

(詳細は現在開発中)

 

 

次回から具体的なプログラムの内容を紹介していきます。

 

<高橋恵 名古屋大学医学部附属病院看護実践力支援室>

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看護管理

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