「私が命を救う!」――ナース育成プログラムの全体像

「私が命を救う!」――ナース育成プログラムの全体像

2012.3.05 update.

 

■クリティカルな場面で能力を発揮できるナースを育てる

昨今、より臨床で活かせる知識が基礎教育から求められ、教育現場と臨床現場の溝を埋め継続的な教育体制が模索されています。

それに伴い臨床研修でも多くの取り組みが行われていますが、本連載では大学病院看護学部と自大学看護学部・看護学科などが連携し、体系だった臨床研修方法を行っている名古屋大学のプランに着目し、プログラムの全体像、臨床研修の具体的内容などを取り上げます。本プランは、平成22年度文部科学省の大学改革推進事業「看護師の人材養成システムの確立」において採択されています。

 

臨床研修を担当される方だけでなく、看護管理者、看護教員、これから研修を受けていく看護学生のみなさんもぜひご一読ください。

 

プログラムの4本柱

本プログラムには、以下の4つの柱があります。

1:技術修得プログラムの開発

2:教育指導者養成

3:人事交流

4:キャリアパス構築

 

 

 

1.技術修得プログラムの開発

患者が急変に陥る前の予兆を発見や重篤化させない看護実践のためには、呼吸・循環に関するフィジカルアセスメント能力とクリティカル場面に的確に対応できる技術が必須です。本プログラムでは、教育効果が実証されているシミュレータを用いたフィジカルアセスメント教育をさらに応用・発展させることで、実践に活かせる技術修得プログラムを行っています。技術の修得プロセスには個人差があるため、個々が納得いくまで学習できるセルフラーニング(自己学習)と実践トレーニングを繰り返すことが特徴です。

 

※第2回~第4回に具体的なトレーニングの内容を紹介していきます。

 

2.教育指導者養成

院内認定のコースを開設し、教育プログラムのインストラクターを養成します。インストラクターには、同時に教育プログラムの企画・運営の中核を担うことも求められます。

教育指導者と保健学科との連携を図ることで、臨床実践能力や学習支援能力の教育向上が期待されます。

 

3.人事交流

人事交流として、名古屋大学医学部附属病院の看護部から名古屋大学医学部保健学科の講義や演習に講師を派遣し、保健学科の教員が病院で研修を行います。

看護部と保健学科の連携により、教育・指導力の向上も期待でき、また基礎教育から臨床現場のギャップを補完する役割ももっています。

 

4.キャリアパス構築

キャリアアップ支援の一環として、専門看護師養成を支援する制度を整備し、休職せずに大学院に進学することが容易になりました。

キャリアカウンセラーによるキャリア面接を実施し、個人が目指すキャリアプランを組織的に把握し、個々の専門職としての目標やライフサイクルにあわせたキャリア支援を促進することが出来るキャリアパスを構築します。中堅看護師の退職率を低下させ、組織全体の看護実践能力の底上げを図っています。

 

この4つの取り組みを柱に、1.クリティカル場面に的確に対応できる看護師の育成、2.熟練した看護実践者として教育指導できる能力を開発するための体制構築、3.個人のライフスタイルに合わせたキャリアプランの構築を目指します。これらを通して一人一人の大切な命を守っていけるナースを育成しています。

ここで、プログラム全体の概念図を示します。

 

 

 

次回からは、具体的な技術修得プログラムの内容を紹介していきます。

 

ナース育成プラン SAVING LIFEのホームページはこちら

http://saving-life.org/

 

 (高橋恵:名古屋大学医学部附属病院看護実践力支援室)

 

  

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