かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.9.16 update.
近年,褥瘡治療には除圧や局所管理の他に栄養管理が重要であることが明らかになってきました。
また,NSTや褥瘡対策チームの普及により,多くの施設でチームによる取り組みが積極的に行わ
れるようになってきています。
しかし,多職種によるチーム医療を展開するうえで,褥瘡治療と栄養管理を効果的に行うために
は,それぞれの職種が専門的知識を共有しながら検討することが必要です。
この連載では,褥瘡患者の栄養管理について,専門的な知識,技術をコンパクトに解説し,実践
の現場に役立つ情報を提供させていただきます。病棟,在宅さまざまな現場で活動するナースの
皆さんにとって,患者さんの状態に応じた適切な栄養管理を行う指針となれば幸いです。
*本連載は毎週金曜日に更新する予定です。
I-5 褥瘡リスクアセスメントにおいて栄養評価は重要視されている
褥瘡治療におけるエビデンスレベルの高い研究はこれからではありますが,近年,褥瘡リスクアセスメントにおいて,「低栄養は褥瘡のリスクを高める」という根拠を裏付ける研究が発表されました(表)。
在宅の高齢者の褥瘡発生リスクについて検討した結果,最大のリスク要因は,「ベッド上で寝たきり」よりも「低栄養」であることが明らかにされております。
つまり,寝たきり以上に低栄養であることが最も注意すべき褥瘡リスク要因であり,この結果は,栄養評価の重要性を裏付けるうえで,とてもセンセーショナルなものであると思います。
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ここまで,栄養管理の重要性について述べてきましたが,褥瘡ケアにとって栄養管理は欠かせないことが理解できたと思います。次回からは具体的な栄養管理について説明していきたいと思います。
●引用・参考文献
1)Iizaka,S,Okuwa M,sugamaJ,Sanada H.The impact of malnutrition and nutrition-related factors on the development and severity of pressure ulcers in older patients receiving home care.Clin Nutr.2010;29(1):47-53.
2)吉田貞夫:褥瘡と栄養 本当はどう関連している? Q&A.エキスパートナース 2011;27(10):19-24.