かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.8.31 update.
1981年北海道大学医学部卒。同第2外科入局。医学博士。2年間のフランス留学をはさんで、心臓外科・血管外科の第一線で活躍。最近は、動脈硬化性疾患についての啓発活動や看護師教育にも力を注いでいる。心電図が苦手なナースを救済するために、北日本心電図教育研究会を主宰。
『かんたんポイント心電図』の奥出先生による心電図クイズ!
今回は難易度★★の問題7から。
【問題7】 難易度 ★★
80歳の女性、黄疸で入院。モニター心電図
幅広い異常なQRS波がみられるため、心室性期外収縮の連発と判断し、ドクターに連絡した。
この判断は 正しい? 誤り?
答えは2ページ目へ↓
答えと解説
心房細動とペースメーカーリズムの混合です。
12誘導心電図をとってみるとともに、病歴を確認しましょう。
幅広い異常QRSは心室性期外収縮(PVC)と判断しても良い波形です。
しかし、注目しなければならないのはその間隔です。
普通のPVCは正常の脈が出るのを待ち切れずに異常な場所からのリズムが出てきてしまうのですが、この心電図の場合はPVCのような波形が出る前は間隔が伸びています。
12誘導心電図をとってみると、この異常波形の前に小さな針状のスパイクが認められ、これはペースメーカーリズムであることがわかります。
ペースメーカーの作動を見る場合には、デマンドと呼ばれる仕組みを知っておいてください。
設定された心拍数よりも自己の心拍数が多い時には、ペースメーカーは作動せず、心臓がサボって心拍数が少なくなるとペースメーカーが刺激を開始するというものです。
この心電図の場合にも、自己の脈がサボって出てこないときにペースメーカーのリズムが出てきているので、自己脈とペースメーカーリズムが混在する形になっているのです。
なお、この症例の自己脈ではP波がはっきりせず、心房細動であることが考えられます。
次の問題→ 【問題8】 難易度★★
心電図なんて全然わからないよ(><)という方には、もっと簡単に解説したこの本がオススメ!
著:奥出 潤
A5判/192ページ/定価2,520円(本体2,400円+税5%)