かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.8.03 update.
1981年北海道大学医学部卒。同第2外科入局。医学博士。2年間のフランス留学をはさんで、心臓外科・血管外科の第一線で活躍。最近は、動脈硬化性疾患についての啓発活動や看護師教育にも力を注いでいる。心電図が苦手なナースを救済するために、北日本心電図教育研究会を主宰。
『かんたんポイント心電図』の奥出先生による心電図クイズ!
少し難易度が高い問題です。チャレンジしてみましょう♪
【問題4】 難易度 ★★★
60歳男性。大腸検査のために入院。
早朝排尿後に動悸の訴えあり。検脈で脈拍120~130/分で不整がみられたため、心電図モニターを装着した。
心房細動による頻脈と判断したが,入院時心電図でも心房細動であったため、安静で経過をみて、回診時にドクター報告することにした。
この判断は 正しい? 誤り?
答えは2ページ目へ↓
答えと解説
心房細動であり、患者さんの状態をしっかり観察した上でしばらく経過を見ても良いでしょう。
頻脈ですが、RRの間隔はそれぞれ微妙に不規則で、きっちり一定ではありません。
また、それぞれのQRSの前にはP波がありません。
はっきりしたf波(細かい振動)は認めにくいですが、これは心房細動です。
心房細動では
が、ひとつのポイントです。
ふだん洞整脈の人が突然心房細動になった場合は、一般的に動悸や胸部不快感などの症状が強く、血圧低下などがみられることもあり、除細動などの処置が望ましい場合もあります。
これに対して慢性化した心房細動では、緊急性がある場合は少ないといえます。
この患者さんの場合も、入院時の心電図を確認することで慢性心房細動と判断されていますので、排尿などのストレスによる頻脈と推測してしばらく様子を見ても良いでしょう。
ただ、頻脈が長く続くと心不全になる可能性がありますし、大腸検査の前処置などで脱水に陥っていることもありえるので、血圧や全身状態などもあわせて観察し、自覚症状や頻脈に改善がみられないようなら、早めにドクターに相談してください。
心電図なんて全然わからないよ(><)という方には、もっと簡単に解説したこの本がオススメ!
著:奥出 潤
A5判/192ページ/定価2,520円(本体2,400円+税5%)
心電図の読み方、とり方、伝え方がわかる! もう心電図は怖くない!
新人ナースのアキちゃんは、心電図が大の苦手。でも、Dr. Oが臨床に必要なポイントだけをわかりやすく教えてくれるから大丈夫! 読み進むうちに、心電図のしくみから診断までが自然に理解できる。これから心電図を学ぶ人にも、心電図の知識をもう一度整理したい人にもぴったりの1冊。