【看護管理】新人の離職を防ぐために(2)

【看護管理】新人の離職を防ぐために(2)

2011.7.11 update.

中島美津子 イメージ

中島美津子

「じ」じゃなくて、濁らない「し」の「なかしま」です。夫の転勤により各地の病院に勤務。九州大学医学部保健学科、聖マリア学院大学看護学部、東京警察病院看護部長を経て、2010年5月より東京病院副院長となりました。研究テーマは「働きがいのある組織づくり」で、働き方についての認識のパラダイムシフトを図る啓発活動を全国で展開中。
「すべては幸せにつながっている」「ケア提供者が幸せであることは質の高いケア提供を可能にする」という信念の下、日々仕事を楽しんでいる超positive思考の二児の母。
みっちゃんのブログ(http://ameblo.jp/tokyobyouin-director/)

前回は、「新人はどーして離職するの?」という問題について考え、離職にもいろいろあるなか「最初に入った組織を辞めて別の組織へ移動してしまう離職」を防ぐことが当面の課題ということを確認しました。そして、そのためには、いまの世代の価値観を私たち管理者が理解したうえで対策をとらなければいけない、ということについても少し触れました。

 

では、離職を防ぐために、具体的には私たちはどうすればいいんでしょうか?

 

3.じゃあその仕掛け、どうする?

 

⇒ そこに“いたい”という「空気」をつくる 
⇒ 「居がい」(他者との関係)をつくる

 

■重要なのは「対人価値」への仕掛け

 

一般企業の研究でも言われていることなのですが、新人職員の職業的キャリア発達第一歩において、「新人の居場所」を職場の中に確立することは非常に大切です。簡単に言うと「そこに自分が居ていいんだ」という感覚が醸成されれば、離職行動に出る人は少なくなるということです。

 

「自己」というものは、他者との関係性の中ではじめて存在します。他者との関わりの中での居心地の良さ、というものが無いと、すなわち「居がい」という、そこに居たいと思うような気持が無ければ社会的存在として生きがいも感じられなくなります。しかし、その居心地のよさというのは、決して「生ぬるい甘やかし」というわけではありません。彼らもまた、そういう扱いを受けると仕事としての生きがいが持てなくなります。

 

そう! 大切なのは「生きがい」となるような、仕事をしていることに誇りを感じるような、そんな働き方ができる環境があることで、そこに「居たい」、そこで仕事したい、と思うようになるのです。

 

生きがいの研究によると、働きがいとは、「仕事の場から発する生きがい」とも言われており、

 

one 職務価値:自分が「価値ある仕事に従事している」という生きがい感
two 対人価値:自分が人々から「価値ある存在として尊敬されている」という生きがい感

 

の二面があると言われています。

 

ということはこの二点に対する、仕掛けが必要になってくるのです。

 

おそらく、職務価値については、看護職という職業そのものが、普通の職業よりも強く内包している側面があるので、それほど仕掛けは必要ないでしょう。しかし、対人価値は仕掛けが必要です。

 

例えば、以前この連載でも「褒める」ことの重要性を取り上げたことがありました。「相手を褒める」ということをものすごく苦手とする日本人は、ちゃんと具体的に、褒めまくることが大切ですよ、ということを述べましたが、これも仕掛けのひとつ。つまり、新人たちのしていることの何か一つでも二つでもいいから、褒める。それも、漠然とではなく、具体的に褒める。

 

結局のところ、行動を他人から認められること、承認されることが、生きがいの必須条件だということですね。その新人がしている看護のおかげですごく助かっているということを、ちょっと大袈裟でもいいから褒めてみましょう。人間褒められて嫌な気持ちになる人はいませんからね!

 

■ロールモデルを育てることが、離職防止につながる

 

「その組織にいても自己目標が達成されない」ということがわかると組織からの離脱が行動化するということが、これまでの研究で明らかになっています。

 

自己目標というのは、決して看護職という専門職としての目標だけでなく、女性として(男性として)、自分の人生の様々な大なり小なりの目標を意味します。その目標がこの組織に居て達成することができるかどうか、その人の人生のマネジメントを考えるための土壌となりうるかどうか、ということが問われるわけです。

 

ここまで来ると察しのよいかたはお気づきでしょう。看護管理、特に院内教育でキーワードとなる「目標管理」という方法は、教育だけでなく、離職防止のアプローチとしても非常に重要なのです。

 

ただ、目標管理以上に離職防止において重要なことは、新人にとって「あんな先輩みたいになりたいな」と思えるような先輩がいること。ロールモデルがいる人といない人では、生きていく姿勢と自律が全然違います。

 

目標とする先輩や生き方などが無いと、「真似る」ことができず、自分ひとりで人生を構築していくことが求められてしまいます。「学ぶ」という言葉の語源が「真似る」であることは多くの皆さんが御存じだと思いますが、真似る物があれば、学ぶことにつながります。少なくとも、何も目標が無いよりは、ある方がお手本になります。

 

そのように考えると、先輩たちがいかに素敵に輝いているか! ということが、新人の離職防止には重要だということですね。目標面接だけまじめにきっちりやっていても新人の離職防止にはなりません。新人だけでなく、先輩スタッフたちがキラキラ輝くような労務環境の改善が、長い目では必ず離職防止につながるのです。

 

まとめ

 

ということで前回と今回のおさらいです。

one 自分たちの価値基準で20代の新人を判断しない
two 対人価値への仕掛けがポイント。ロールモデルとなるような「輝く人財」の育成が離職防止につながる。

じゃ、輝くスタッフをつくるるためには、どんな組織づくりが必要なの??! っという声が聞こえてきそうですが、そのあたりは、次回以降に。


 

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