食中毒を防ごう

食中毒を防ごう

2011.6.10 update.

今村顕史 イメージ

今村顕史

都立駒込病院感染症科医長・感染対策室長
著書に『JJNスペシャル82 感染症に強くなる 17日間菌トレブック』がある。
twitter始めました→@imamura_kansen

イラストレーション:櫻井輪子 http://www.wakonosu.net/

パート1より) 

 

敵を知って食中毒を防ごう

 

いよいよ食中毒の季節がやってきました。

えっ、たかが食中毒?

いえいえ、この辛さは経験してみなければわかりません。

重症になると、さらに厳しい合併症で命を落とすこともあるのです。

下痢や嘔吐で苦しまないように、しっかり敵を知って、症状がでたときの対応も学んでおきましょう。

 

代表的な食中毒まめ知識「腸管出血性大腸菌」

 

現在、流行している腸管出血性大腸菌。その毒素は赤痢と同じといわれています。牛を中心とした家畜の腸内にいるため、食肉の汚染が多くなります。わずか100個の菌で感染してしまうので(通常の食中毒菌が100万個以上の菌がないと症状がでない)、別な食材に菌が混入して感染してしまったり、人から人への2次感染が起こることもあります。また、ごく少量の菌でも感染することから、サラダなどもような肉以外の食材が汚染される危険性もあります。合併症も重篤で死亡する危険性もある、今最も注意すべき食中毒です。

 

代表的な食中毒まめ知識「カンピロバクター」

 

大腸菌とともに現在の食中毒の主役。原因としては鶏肉が有名。生食はもちろん、焼き残しにも注意しましょう。牛や豚の腸にもいることがあるので鶏肉以外でも起こります。低温にも比較的強いから冷蔵庫を過信しないで。食事を作る人は、手洗いをしっかりやって、包丁・まな板にも注意!

 

代表的な食中毒まめ知識「腸炎ビブリオ」

 

この菌は、塩分が大好き。したがって、原因の食材は魚介類が中心です。潜伏期間が短く、食べたその日が要注意。冷蔵庫から出すと、菌の増殖が加速するので、早めに食べましょう。

 

代表的な食中毒まめ知識「サルモネラ菌」

 

サルモネラ菌は、鶏の腸によくいるので卵での食中毒が有名です。これからの時期は生卵に注意しましょう。生卵を使う自家製スイーツなどにも気をつけて!

 

サルモネラ菌は、腸チフスの菌名と名字が同じ。どちらも腸炎を起こすけど、菌が血液の中に流れ込みやすいところも似ています(菌血症といいます)。免疫が低下するとサルモネラ菌血症が起きやすくなるので、さらに注意が必要です。

 

代表的な食中毒まめ知識「ボツリヌス菌」

 

比較的まれな菌ですが、ちょっと紹介します。

 

この菌のつくる毒素は、わずかな量で神経を麻痺させます。このためバイオテロのリストにも並んでいるのです。嫌気性菌という、空気のないところが大好きな菌なので、缶詰や真空パックの中で増えてしまいます。

 

こんなところにも気をつけよう

 

食中毒予防のポイントとしては、

・冷蔵庫を過信しない

・食事を作る人は、手洗いをしっかりやる

・包丁・まな板にも注意

・生肉は汚染されている可能性があると常に考えておくべき

 

焼き肉の時は表面全体が焼けているかが問題です。焼くときに使う箸は菌がついてしまうので要注意です。アウトドアでのバーベキューも、焼き加減に要注意です。菌は肉の表面についているのですが、挽肉にすると表面が中に入ってしまいます。ハンバーグなどは中までしっかりと火をとおすことが大切です。

 

鶏肉は構造上、焼き残しができやすいです。です。生卵や、卵をつかった自家製スイーツにも気をつけておきましょう。

 

また、カンピロバクターは、ペットとして飼っている犬や猫が腸の中にもっているかもしれません。ペットはこの菌がいても下痢にならず気づきません。小さい子供がいる家庭では、一緒に遊んだあとに手を洗いましょう。

JJNスペシャル82 感染症に強くなる 17日間菌トレブック イメージ

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