かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2023.6.23 update.
(さかい かずよし)
藤田医科大学 サージカルトレーニングセンター カダバサージカルトレーニング施設。
書籍『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』では、初心者に向けて語りかけるように主に第2章と第3章の原稿を書いていただきました。
医学書院で書籍『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』が好評発売中です。
超音波検査(エコー)に苦手意識のある看護師さんたちに、そのハードルを下げてもらいたいとの願いから生まれた書籍です。
第3回では、プローブマークの位置とエコー画像の関係を解説します。
患者さんの体表に直接触れるプローブには、プローブの方向を示す「プローブマーク」があります。
プローブマークは、患者さんの断面像と臓器の上下左右を表すために付いています。置く方向を間違えると、エコー画像の上下左右が逆になってしまいます。測定する時には、プローブマークの位置を確認してから超音波検査を行いましょう。
プローブマークの位置をどちらにするか分からなかったら、以下のように原則を覚えましょう。
上肢・下肢の場合もあまり悩まないで、原則は次のように単純に考えましょう。
このようにして得られた像は、患者さんの下側から患者内部を観察した像になります。
ただし、頸部血管を観察するときはドップラーをかけるので、プローブマークを上にする場合もあります。これは病院によって若干の違いがあるので、病院のやり方に従ってください
ここまでは、書籍の第2章で詳しく解説しています。
では、以上のことを実際のエコー画像でみてみましょう。
図3は甲状腺エコー短軸(横断)画像です。プローブマークを患者の向かって右側に置きます。エコー画像は画面の右側が患者の左側になっています。
図4は心窩部(正中)縦断画像です。プローブマークを患者の向かって下側に置いたものです。エコー画像は画面の右側が患者の下側になっています。
以上、プローブマークを置く方向について簡単に述べましたが、原則に従ってやっていただければいいので、あまり難しく考えず、まずは画像の描出にトライしてみてください。
ポケットエコーの登場で、病棟や在宅で看護師の超音波機器(エコー)の活用場面が広がる兆しはありますが、まだ気持ちの上でのハードルがあるようです。それは、触れる機会の少なさや、技術への自信のなさなどが理由のよう。しかし、意外と簡単に画像を描出し、根拠のあるケアが提供できる部位も多く、業務の効率化を図ることができます。そこで本書では、初めて超音波機器に触れる看護師に向けて、分かりやすい表現を心掛けました。本書によって、超音波機器の活用場面と可能性が広がります。