第2回 超音波の基本

第2回 超音波の基本

2023.6.08 update.

刑部恵介

おさかべ・けいすけ
藤田医科大学 医療科学部 臨床教育連携ユニット 生体機能解析学分野 准教授。
書籍『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』では、本文の執筆はもとより、とても美しい画像を撮影・提供いただいた。

医学書院で書籍『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』が好評発売中です。

超音波検査(エコー)に苦手意識のある看護師さんたちに、そのハードルを下げてもらいたいとの願いから生まれた書籍です

第2回では、超音波の基本をレクチャーします。

超音波って?

超音波はひと言で表すと"聞こえないくらいの高い音"です。では、なぜそのような高い音(高周波)を使うのかというと、音源から発生した高い音はある程度の距離まで拡がらずにまっすぐ進む性質を持つからです。

図1は音源(探触子、プローブ)から発生した音波の伝わり方を示したものです。音源から発生した超音波は拡がらずに平面波のまま進み、ある程度進んだところで球面波になり拡がっていきます。この平面波として音がまっすぐ進んでいる範囲を「近距離音場」といい、球面波となって拡がって進む範囲を「遠距離音場」といいます。超音波は図1に示すように周波数が高いほど近距離音場が長く(拡がらずにまっすぐ進む)なります。音源から発信した音がまっすぐ進んで反射して返ってくれば、その進行方向に反射源(たとえば臓器、胎児など)があったと認識することができます。だから超音波を使用しているのです。

第2回 超音波の基本1

図1


超音波の反射はどこで?

 

超音波の反射波は個々の媒質(対象臓器など)による「音響インピーダンス」によって決まります。図2に示すように並ぶ媒質の音響インピーダンスの差の大きさによってどれだけ反射するかが決まります。逆にその差がない場合はすべて透過するため、2種類の媒質を分けることができません。難しいですね......。詳しくは書籍の18ページを参照してください。

第2回 超音波の基本2                   図2

超音波でどのように画像を作っているのか?


皆さんが目にする超音波画像はどのように作られているのでしょう。ここからは実際に画像が構築されるまでを簡単に説明します(図3)。


1.個々の媒質による音響インピーダンスの差によって生じた反射波を受信し、反射波のあった走査線上に振幅として表示します。


2.走査線上で反射波の振幅が多いところには白(高エコーといいます)、振幅の無い(反射波の無い)ところには黒(無エコーといいます)を表示していきます。


3.その作業を走査線数の数だけ同様に行います。 


4.この走査線の間隔を狭くすると、点と点がつながり、線として描かれていくようになります。これが通常、超音波画像で見ているBモード画像です。このように点と点をつないで線として描いていくので、超音波検査では「描出」といった表現が用いられます。


第2回 超音波の基本3
図3

超音波が苦手なものは?



超音波検査は超音波を対象に届けさせて、そこで生じた反射波を画像化するのが基本です。ではどういったものが邪魔をするのかと言うと、対象の臓器と音響インピーダンスがかけ離れている空気(密度が無い)と骨(密度が高く硬い)です。さらに空気は超音波を著しく減衰させます。ですから検査を行う際には、装置と体表の間の空気を無くすためにゼリーを塗るのです。空気(ガス)と骨を避けながら検査を進めることがきれいな描出の第一歩です。


超音波検査の上達の道は?

超音波検査の上達の道は、これまで話した基礎的な内容の理解も大切ですが、それ以上に対象となる臓器の構造が分かっていないといけません。超音波で映し出されているものを理解するためにしっかり解剖を覚えてください(書籍の第3章を参照ください)。そして病息を見つけるためには対象臓器の機能も把握しておく必要があります。 そして最後に、最も大切なのは経験です。上達への近道はなく、たくさん触ればそれだけ上達します。エコーはそんなに難しく考えず、とにかくプローブを手にとってみましょう。



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フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー イメージ

フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー

ポケットエコーの登場で、病棟や在宅で看護師の超音波機器(エコー)の活用場面が広がる兆しはありますが、まだ気持ちの上でのハードルがあるようです。それは、触れる機会の少なさや、技術への自信のなさなどが理由のよう。しかし、意外と簡単に画像を描出し、根拠のあるケアが提供できる部位も多く、業務の効率化を図ることができます。そこで本書では、初めて超音波機器に触れる看護師に向けて、分かりやすい表現を心掛けました。本書によって、超音波機器の活用場面と可能性が広がります。

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