お悩み〈1〉家族が受け入れてくれない

お悩み〈1〉家族が受け入れてくれない

2018.8.24 update.

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萱間真美(かやま・まみ)

聖路加国際大学・精神看護学教授。精神科訪問看護の制度、効果、アウトリーチ推進事業などの研究に20年余り取り組む。精神科訪問看護も実践中。当事者と家族のリカバリーを日々感じている。


著書に『精神科訪問看護』(共著、中央法規)、『リカバリー・退院支援・地域連携のためのストレングスモデル実践活用術』(医学書院)など多数。


できるだけ多くの方に「ストレングスモデル」の講義や、精神科訪問看護の事例検討を届けたいと、体力の続く限り伺っていますが、その中で、多くのお悩みに出会います。ちょっと角度をかえてみるのがストレングスモデルなのでは と思う日々。

このコーナーでは、精神科看護の現場で、

ストレングスモデルで取り組んではいるけれど

「うまくいかないんだよね」

「ついつい、そうでなくなってしまう……」というお悩みに

お答えしていきます。

 

【家族】

Q:家族が、本人の夢を受け入れないのですが……。

本人が「家に退院したい」という夢を持っていても、
家族とも調整しないといけないし、
家族が退院を受け入れることに同意できないときは、
どうしたらよいでしょうか。
 
 
A:本人の夢を、ちゃんと聞いたことのある家族って意外と少ないのでは!?
 
ある病院に入院していた依存症患者さんが、
保護室でストレングスマッピングシートを書きました。
 
家族はてっきり、「退院したい」「酒を飲みたい」と
言う(書く)かと思っていました。
 
しかし、本人が書いた夢は「妻と娘が仲良くやっていけるように」でした。
 
家族は、
「アルコールばかり飲んで、家のことは何も知らないと思っていたのでとても驚いた」
と言いました。
 
ご本人は、家族のことを心配していたのですね。
 
まずは、思いを聞いてみようではないですか。
その人のストレングスを見つけるうえでは、
ひとつでも「え!意外!」なことを見つけられたら大成功です。
 
家族はその人を見直したのです。
 
…さて、ご質問の家族は、
これまで思いを語り合うような時間がもてていたでしょうか?
 
 
これまでの苦労で、お互いが一歩も動けなくなった
「どうせわかりっこない」というところから、一歩、
踏み出せるとほんとうにいいですね。
 
 

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【本日のお訪ね先】

国内の都道府県にすべて伺ったことがあるのが自慢です(アウトリーチですから)。


これは北海道帯広市の花、黒百合の写真です。北海道ホテルの庭に咲いていました。朝食が美味しいことで有名なホテルで、モール温泉という海藻の温泉がありました。アスパラ、長芋、小豆などが名産で、過疎の海辺の漁村での感動的な事例に出会い、訪問看護のチカラを実感しました。

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リカバリー・退院支援・地域連携のための ストレングスモデル実践活用術

これからの時代に必須! 「ストレングスモデル」を実践・教育するための1冊
たんなる「強み」のアセスメントやポジティブ思考に留まらない、ストレングスモデルの着実な実践とはどのようなものか。停滞している“今”から一歩踏み出し、「その人らしさ」を支える技術を、明日から使えるよう丁寧に解説する。著者オリジナルのストレングス・マッピングシートは、リカバリー・退院支援のための面接に有効なだけでなく、地域スタッフとの情報共有にも有用だ。

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