5月12日は看護の日、ということで

5月12日は看護の日、ということで

2011.5.02 update.

澤田江里子 イメージ

澤田江里子

トータル・コミュニケーションズ(株)管理栄養士


大学卒業後、病院にて勤務。管理栄養士取得後、調理現場、栄養指導、NST、嚥下食に携わり「食」の大事さを学ぶ。退社後サプリメントを勉強しサプリメント管理士取得後、老人ホームへ入社し栄養課リーダーを務める。その後トータル・コミュニケーションズ(株)へ入社。現在は健康・栄養PR業務に従事。

5月12日はナイチンゲール・デーです。これは1820年のナイチンゲールの誕生日に因んで制定され、日本では1991年から厚生省(現在の厚生労働省)と看護協会により「看護の日」とされました。

 

クリミア戦争で賞賛されたナイチンゲールですが、彼女が書いた「看護覚え書」には食事について以下のとおり書かれています。

 

―患者が手をつけなかった食事を、後で食べてくれる事を期待して次の食事まで患者のそばに置いておくようなことがあるが、これは結局、患者が何も食べられなくなるだけである。こうしたちょっとした無知によって、患者が食べられる品数はひとつふたつと減っていくのである。食物は適切な時刻に配膳し、食べても食べなくても、しかるべき時刻には下膳すること。食物を見ただけで胸がむかつく、そんな患者にしたくないなら、患者のそばにいつも何か食べ物が置いてあるようなことは絶対にしてはならない―

 

栄養士になるための勉強にはナイチンゲールの「看護覚え書」は出て来ませんでしたが、平成18年まで施設で提供する食事療養費の加算として「適温適時加算」というものが存在していました。(現在は給食管理の一環として考えられ、加算対象外になっています)。患者の方に食事を楽しんでいただく上で適温適時の食事提供は欠かせません。また、適温適時に食事をすることが味にも大きく関係してきます。

 

それでは問題です。(解説は次のページへ!)

 

たとえば、人間が美味しいと感じる温度帯として、温かいものは62℃から70℃、冷たいものは5℃から12℃とされています。味は大きく分けて4種類(酸味、甘味、塩味、苦味)に分類されます。酸味は温度変化による味の変化はあまりありませんが、甘味は体温に近い温度の時に最も強く感じます。例えば冷たく冷やしたジュースと常温のジュースがあった場合、常温のジュースの方がより甘く感じるのはこのせいです。 塩味と苦味は温度が高ければ高いほど滑らかに感じ、温度が低いと強く感じます。温かい食事ではちょうど良い味付けでも、冷めてから食べると濃く感じたり、ホットコーヒーが冷めると苦味を増すのはこのせいです。

 

このようにどのくらいの温度で提供するかにより、食事の美味しさが変わります。その為、適温で提供するとともに時間を決めて患者の空腹時(適時)に食事をとってもらうことが重要です。どうしても食事の時間を変えなくてはならない場合、温かいものは再度温め直し、冷たいものは冷蔵庫で冷やしておくなどして、適温で提供できる工夫をして頂きたいと思います。

 

食事の時間管理や温度については、私たちの日頃の生活においても同じことが言えます。例えば、ダイエット中はなるべく3食決まった時間(適時)に食べる方が食べ過ぎ防止につながります。適時に空腹になる為にも、エネルギーの取り過ぎ防止の為にも、間食をしないことも大事ですね。間食防止策としては、いつまでも目の前や手の届く場所に食べ物を置いておかないこと。

 

温度の話で言えば、私たちの食事にも同じことが言えます。ダイエット中で甘いものが食べたい場合、アイスコーヒーを飲むよりもホットコーヒーを飲む方が同じ甘みでも糖分を抑えることができます。ただ、フルーツに関しては例外があり、フルーツに含まれる果糖は冷たい方が甘味を増します。一方でショ糖は常温の方が甘みが多くなっていますので、果物に関してはどのような糖分が多いのか、種類によりけり、ということになります。

 

また、アイスクリームのように冷凍のものには沢山の糖分が入っていますので、食べる量に注意が必要ですね(アイスに限っては脂肪分も多いので、そもそもお勧めできませんが・・・)。温度を上手に利用して美味しく、楽しく食事をして下さい。 

食事を楽しむ上で適温適時の食事提供は欠かせません。では、人間が温かいものを美味しいと感じる温度帯として適切なのは次のうちどれでしょう?
(ヒント:冷たいものは5℃から12℃が適温とされています)

正解不正解

62℃から70℃

人間が美味しいと感じる温度帯として、温かいものは62℃から70℃、冷たいものは5℃から12℃とされています。味は大きく分けて4種類(酸味、甘味、塩味、苦味)に分類されます。酸味は温度変化による味の変化はあまりありませんが、甘味は体温に近い温度の時に最も強く感じます。冷やしたジュースと常温のジュースがあった場合、常温の方がより甘く感じるのはこのせいです。塩味と苦味は温度が高ければ高いほど滑らかに感じ、温度が低いと強く感じます。温かい食事ではちょうど良い味付けでも、冷めてから食べると濃く感じたり、ホットコーヒーが冷めると苦味を増すのはこのせいです。

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