かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2011.4.01 update.
トータル・コミュニケーションズ(株)管理栄養士
大学卒業後、病院にて勤務。管理栄養士取得後、調理現場、栄養指導、NST、嚥下食に携わり「食」の大事さを学ぶ。退社後サプリメントを勉強しサプリメント管理士取得後、老人ホームへ入社し栄養課リーダーを務める。その後トータル・コミュニケーションズ(株)へ入社。現在は健康・栄養PR業務に従事。
まだ寒い日もありますが、少しずつ春が近づいてきているのを感じますね。でも今年は花粉症がつらいということもあって、朝だと気づいても、布団から出たくない、家から出たくないと思う方が多いのではないでしょうか。
新年度が始まると、引っ越しをしたり、環境が変わったりして、今までとは違う生活に慣れない方も多くなると思います。そんな時、簡単に済ませたいものの1つに「食事」があると思います。疲れていたり、時間が無いとどうしてもファストフードやコンビニに頼りがちですね。でもファストフードやコンビニでは太ってしまう!という悩みの種も…。
そんなお悩みの声を聞いたので、今回は「ダイエット時のコンビニ食」について考えてみましょう。コンビニの食事はエネルギーやたんぱく質量、脂質量などが記載されているものが多いので、上手に活用すればダイエット時も安心して食べることができます。
コンビニでの食事の選び方の前に、まずはダイエット時のエネルギー摂取量についてお話します。1日に必要なエネルギー量は人によって異なりますが、基本的には
体重(kg)×25〜 30kcal
と言われています。しかし、ダイエットする際には
標準体重(kg)×25〜 30kcal
で計算します。ここで言う「標準体重」はBMI(体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)})=22になる体重の事を表します。標準体重が55kgの方の場合、1日に必要なエネルギー摂取量は
55×25kcal〜 55×30kcal=1375kcal〜 1650kcal
という計算になります。今回は間をとって1540kcal(55×28kcal)で考えてみます。
食事を1日3食食べると考えると、昼食でとってよいエネルギーは約500〜 600kcalということになります。これを踏まえて、食事選びを行いましょう。
多くの方が主食となる、おにぎりやパン、麺類を最初に選ぶと思います。そこをちょっと我慢して、まずお惣菜のコーナーに行きましょう。最近はコンビニでもお惣菜が充実していますよね。ここで、野菜系のお惣菜を1品選びます。この時、芋類は主食となる炭水化物の仲間に入るので、かぼちゃや里芋の煮物、じゃがいもが多く入っている肉じゃがなどは避けましょう。
次に、昼食でとってよいエネルギー(500〜600kcal)から、手にとったお惣菜のエネルギーを引いた、残りのエネルギーにおさまるように主食を買いましょう。
さぁ、これでお会計へ、と足を運ぶ前にもう1つチェックして頂きたいことがあります。それは「脂」の量です。脂質の高い食事は肥満に繋がるだけでなく、血管疾患の原因にもなります。全体のエネルギーの25%以下に抑えるようにすると過剰摂取の予防になり、食事全体のバランスがよくなります。
25%以下というのはどれくらいの量か想像がつきますか?脂質は1gあたり9kcalのエネルギーがあります。1食500kcalの場合は(500kcal×25%)÷9kcal=約14g、同様に600kcalの場合は(600kcal×25%)÷9kcal=約17g以下です。コンビニのお弁当は揚げ物が多く、気づくと脂質量が多くなってしまいがちです。栄養素の表示を見て、エネルギーと脂質の量に注意しながら選びましょう。
夕飯も考え方は同じです。ただ、夜勤のように遅い時間や深夜帯に食事をとるという方は温かいスープにおにぎりなど軽めの食事にしましょう。カップ麺はどうですか?と聞かれることがあります。カップ麺はお財布にも優しく、その場限りのエネルギー補給には手軽で便利ですが、栄養面から考えると脂質の割合が高いものが多いため、栄養バランスが崩れやすく、肥満の原因になります。
このようにエネルギーと脂質の量などバランスを見ながら食事を選ぶことで、ダイエット時もコンビニ食を活用できます。ただし、毎日コンビニ食を取り入れていると塩分過多やビタミン・ミネラル不足になりがちなので、時間のない時、忙しい時に活用する事をお勧めします。