医療の質を向上させる,看護とデザインのコラボレーション

医療の質を向上させる,看護とデザインのコラボレーション

2011.1.07 update.

月刊『看護管理』では,2010年の日本看護管理学会で開催されたシンポジウムをもとに,デザインと看護(医療者)のコラボレーション,協働の可能性,価値について,1年間の巻頭連載シリーズをスタートしています。


デザインが医療安全,療養環境,ひいては医療・看護の全体的な質向上に寄与するものと期待すると同時に,デザイン領域において,ソーシャルデザインへの指向性が高まっているそうですので,その具現化のひとつの方向性としても,看護とデザインのコラボレーションを考えてみたいと考えています。


本企画の骨子となるキーワードとして,「医療安全」「コミュニケーション」「看護師が働く環境」「地域社会」の4点を考えています。
かんかん!でも誌面と連動して,随時情報を掲載していきます。


今回は,病院を取材し,「ナースステーションのコミュニケーションデザイン」を,日本看護管理学会で発表された阿部正二さん(ファンスペースファクトリー)のプレゼンテーションを,紹介させていただきます。

もしかして足りないのはコミュニケーションのデザイン? イメージ

もしかして足りないのはコミュニケーションのデザイン?

阿部正二
有限会社ファンスペースファクトリー


デザイナーの仕事は、顧客の要求や希望に応えることです。答えは、形あるものだったり、何かの仕組みだったり、またあるいは空気(雰囲気)だったりすることがあります。


今回の北野病院は要求も希望もヒアリングなし。半日の現場視察から、第三者の目として見える不思議なことや疑問なことを問題提起することになりました。


店鋪やデパートなどの商業施設も、駅のコンコースや郵便局などの公共施設も、病院やホテル、レストランも、大勢の人々が利用したりサービスを提供したりするという意味では同じです。違う点は24時間エンドレスで稼動していることと、命を扱っていることだとおもいます。そのことがより一層現場で働くスタッフにはプレッシャーとして常時張りつめた気持ちにさせられているのではないでしょうか。


ナースステーションには数多いメモや貼紙があらゆる壁面にマグネットや糊付きメモで表示されています。結構ビックリします。見間違えないのか?ベッドを取り違えないのか?毎日の慣れがあればこその風景です。大きな看板も、小さなメモもサインの一種です。


サインはコミュニケーションです。


もしかして不足していることはコミュニケーションデザインかもしれません。


看護の現場には5Sという素晴らしい目標があります。コミュニケーションデザインの考え方も非常に類似しています。表示内容の種分け、整理整頓、簡潔に、標準化された表現、みんなが使いやすく。まさに5Sです。


もっとシンプルで見やすい表示の解決があれば、スタッフのストレスフリーに貢献してくれるはずです。表示する人も、読み取る人も、簡単にできて間違えないことが一番です。サインは伝わることが目的です。誰が誰に向け、何を、何時、何のために、を明確に表示することです。伝えるコトバはシンプルに、誤解のないように、修飾語はなるべく控えて、みんなのイメージがひとつになるように作成します。コミュニケーションは、伝えたいことより、人が知りたいことを表示します。相手の気持ちを読み取ることが大切です。


表示手法は、貼る、吊る、置く、投影する、モニターに映す等考えられます。コトバ以外のコミュニケーションも可能です。絵、色、位置、向き、音、光り、振動、香り、など自由な発想で新しい可能性も広がります。


サインはメモやポスター、チラシだけではありません。引出しの中身の表示、ゴミの種分け表示、機器の置場表示、備品の種分け表示、案内看板、誘導看板など多くの人が集まる場所には不可欠な要素です。機能的で心地よいコミュニケーションデザインにつつまれれば、看護の環境は今より少しだけ居心地が良くなるかも知れません。なによりもミスの出にくい仕組みや、気を使わずに作れる伝言システムが構築できれば、より一層の顧客サービスに繋がって行きます。

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