かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2020.11.16 update.
日本看護研究学会第46回学術集会にあわせ、ふだんとは違う切り口で看護研究書を紹介する第6回。
研究では欠かすことのできない文献レビューを取り上げます。
検索の末、集めた文献をどのように整理するか――皆さんそれぞれ工夫をされていることと思います。
最近は文献管理支援ツールも多く用意され、あまり意識せずに “通り一遍”に済ませているかもしれません。
しかし、ちょっとした工夫がその後の研究のひろがりを左右することも結構あり、実は大事なポイントの1つではないかなと思っています。
今回紹介する『看護研究のための文献レビュー マトリックス方式』は2012年に刊行された翻訳書(原書は2011年刊)ですが、文献管理支援ツールが多く出てきた今日にあっても、コンスタントにご注文いただいています。
本を読み返してみると、意外とほかでは書かれていないような文献レビューに関わる基本的な考え方が簡潔に整理されているからかな、と感じました。
また、中木高夫先生の書評(医学書院のWebページでは書評も読めます!)には、
「文献レビュー(文献検討)が,研究論文の最初の概念相で最重要な部分であるからには,さぞかしさまざまな解説書やノウハウ書があると思うのですが,日本では本書以外1冊もないようです。ちなみに,アメリカでは14冊見つかりました。」
とあり、「そういうことか!」と改めて納得しました。
その中木先生が学術集会長を務められた2014年の第40回日本看護研究学会@奈良での弊社共催ランチョンセミナーでは、訳者の安部陽子先生に「マトリックス方式による文献レビュー―知識のギャップを見つける“ヨコヨコ・タテタテ”の活用法」と題して本書を紹介いただきました。
“ヨコヨコ・タテタテ”とは、本書が紹介する「マトリックス方式」を指します。
絶妙のネーミングをされた安部先生から「“タテタテ・ヨコヨコ”ではなく…」との説明を聞いた折、ことば1つ1つを大切に使わねばという思いを新たにしたことを思い出します。
この“ヨコヨコ・タテタテ”はなんなのかに興味を持たれた方は、ぜひ本書をご覧ください。
本をパラパラと繰っていると、「こういうことを教えてもらうことって、あまりないかも」と思うページが目に入りました。
長く読み継がれる本の理由を推測してみるのも、楽しいものです。
(KT)