かんかん! -看護師のためのwebマガジン by 医学書院-
2013.6.20 update.
2011年3月11日の東日本大震災から2年。
少しでも復興の支援になればと、
急きょ開催地が変更された日本精神科看護学術集会全国大会@仙台には
全国から多くの精神科看護師が集まりました(およそ1500人)。
中でも、「走って来た看護師たちがいる」と聞き、ビックリ。
開会式では、みんなでその到着を拍手で迎えました。
学会に「走って来た」ナースたちと末安民生会長
盛り上がっていますが、一体どういうこと!?
★
代表の伏田さん(滋賀県立精神医療センター・看護師)にお話を聞きました。
伏田:精神科でナースをしている伏田です。
もともとは私が、走ることで何か社会への貢献や看護職のPRにならないかと、
ふと思いついて始めたのが「ラン・ナース」という活動です。
詳細はwebへ
今回は、みちのく路を走りながら「被災地の今」を写真に収め、
全国集会に集まった精神科看護師の仲間に
見てきたものを伝えようという思いで企画しました。
被災地のラン・ナースメンバーも一緒に、たすきをつなぎながら
相馬市にある精神保健福祉センターなごみを早朝に出発し、
仙台国際センターまでの約66kmを走ることにしたのです。
★走行ルート
ランナー1名と伴走者(自転車)1名が任意の地点までたすきを運び、
次点に先回りしているペアにリレーをしていく駅伝方式。
途中、走路周辺の「被災」や「復興」の状況をデジタルカメラに収め、
写真は学会場でブース展示もしました。一部を紹介します。
★
早朝、福島県相馬市にある「こころのケアセンターなごみ」を出発
(ここでは精神科認定看護師の米倉一磨さんが所長を務め、震災前には精神科医療サービスがほとんどなかったこの地域の、こころの健康を支えている)。
たすきを繋ぐ 心を繋ぐ
残された住宅や建築物の基礎
そこに家族や暮らしがあった唯一の手がかり
壊れた海岸沿いの道路はそのまま放置されている
何もない土地
被災地ランナーのコンビ。
松浦勝彦さん(伴走車・宮城県塩釜市緑ヶ丘病院)と渡邊竜二さん(走者・福島県湖山荘福島松が丘病院)。
会場にゴールした6名のランナーたち。
後列左から、賀山道弘さん(山口県立こころの医療センター)、浅川佳則さん(大阪府長尾会ねや川サナトリウム)、伏田善祐さん(滋賀県立精神医療センター)。前列左から、渡邊さん、一瀬哲也さん(広島厚生事業協会府中みくまり病院)、松浦さん。
●渡邊さんは、雑誌『精神看護』2012年3月号VOICEのコーナーに寄稿してくれています。なんと15kgの減量に成功。確かにどんどんスリムになられています。
●松浦さんに、地元塩釜のお話を聞きました。「仙台の中心は復興してきているように見えるけれど、海岸沿いの大きながれきなどにはまだまだ手が付けられていないんです。訪問看護で利用者さんと歩いた景色のきれいな砂浜も、自分が育った海もね……。でも、走ったりいろいろしたりして、元気でいなきゃだよね!」
★
伏田:リレーマラソンでは、なんとも言えない感動や一体感、達成感が味わえます。
“絆”をつなごうとするランナー、ランナーの心を支える自転車の伴走者、
車や給水などの裏方さん、応援してくれる家族や仲間たち。
今回も日本精神科看護技術協会はじめ、参加者や多くの人たちからの声援がありました。
自分が一人ではないことを確かめ、生かされていることの感謝の気持ちが芽生えます。
ただ走ることでも、何か心の回復にたすきがつながることがあるのではないか
――これからも私たちは走り続けます。
仲間も募集中!です。