『女って大変。』ってどんな本?

『女って大変。』ってどんな本?

2012.2.29 update.

仕事も続けたいけど、結婚もしたい。結婚はしたけど、子どもをもつのは難しそう……。こんな悩みを抱える女性たちに、10人の働く先輩から熱いエールが届いた。

ある人は、職場からの期待と子育ての板ばさみになり、ある人は離婚、そして子どもとの別離を経験し、また別の人は、子育てと自分の復職、親の介護のなかでもまれ、しかしみな、必要に迫られつつ、前に進む。

世間から恵まれていると思われる人にも存在する、「女性ならではの葛藤」。先輩たちが語る経験には、働く女性の強さと柔軟さがあふれている。

 

 

看護師・研究者・大学教授など、10人の、嘘偽りのない経験談を読み、

驚嘆と共感の書評が続々到着…!!

 

、すごい! こんなことまで書いちゃっていいの??」

読み始めて驚き、戸惑い、読み終えて「私だけじゃなかったんだ」と思った。

読んでいるうちに、私はそれぞれの話に引き寄せられ、はまりこみ、まるでその物語の映画を見ている観客のような気持ちになっていた。

(瀬野佳代・三恵病院看護副部長)

 

界の中心で「女って大変」と叫んでみよう。大声で叫ぶことで変わっていくものがあるはずだ。そう思わせるだけの迫力に本書は満ちている。

(信田さよ子・原宿カウンセリングセンター所長)

 

くさんの著書を出されている先生方も、専門職として働いている方たちも、

同じ精神科看護師として頑張っている友人も、みんな苦労をしながら頑張っている。

わたしもまだまだ頑張れる、そう感じました。

(大西恵 赤穂仁泉病院・認定看護師)

 

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れは泣ける! 

でもそのあと元気になる不思議な本です

石射弥生/ライター

 「女って大変。」という本のタイトルから、どんな内容を思い浮かべるでしょうか。

読むのもつらい、重たい話ばかりが並ぶ本、あるいは、頭のいい女性たちの、小難しい主張が書かれている感じがするでしょうか。

でも、このような思いで本書との出会いを逃すのは、実にもったいないと思います。

 

研究者、大学教授、看護師、NPO法人の理事、作家といった女性たち10人が、自分史、女性の一生にまつわるストーリーを描き出します。それらは、想像以上にバラエティーに富み、かつ、ライブ感に満ちています。先の書評にもあるように、まるで、映画を観るように、一人ひとりのライフストーリーが立ち上がってきます。

 

書き手たちはみな、世間一般からすれば、立派な肩書きをもっています。でも「肩書き」に関係なく、また「肩書き」からはとても想像がつかないほど、一人ひとりがさまざまな経験をし、複雑な思いを抱え、日々格闘していることが見えてきます。また、それが飾ることなく語られます。

 

 

家庭とは、穏やかで和やかで、笑いに満ちていないといけない、それが実現していないのは努力不足のせいだと思っていた。

保育園のお迎えに間に合わなかったという夢でうなされ、円形脱毛症になり、夫ともども睡眠不足で、疲れ、いらだっていた・・・萱間真美(第2章 ドライな母親は楽しい!?)

 

 

『すべてを持つ女』であるはずのワーキングウーマンの実態といえば、家族や自分のことをケアする時間も十分にとれず、睡眠不足で体調を崩しがちで“キラキラ”とは程遠い・・・澁谷智子(第1章 仕事と家事育児)

 

 

あるいは、今はデイケアで働いている看護師の物語(佐藤珠江 第4章 あの子が教えてくれたこと)も筆舌尽くしがたい話です。連れ子のある男性と結婚、生活リズムがめちゃくちゃだった子どもたちの世話に奔走し、子どものてんかん発症を機に、かかえこみ巻き込まれ母に。その後、どうしようもない生活を続ける夫に愛想をつかし離婚。子どもとの別居、のちに同居。さらには、子どもの突然の旅立ち……。小説でも書けないような、この波乱万丈の人生の展開には、思わず引き込まれ、息をのみました。

 

けれども結果的に、こうしたそれぞれの「大変」から伝わってきたのは、清々しさでした。「あらっ、たしかに“大変”だけど、生きてくってまんざらでもないかも……」と思えてくるのです。

 

人生が一つとして同じでないように、どのストーリーのどの部分にピンとくるかは、たぶん、人それぞれでしょう。けれど、誰が読んでも、どこかに、今の自分の「大変さ」を越えていくヒントがあり、ポンと背中を押してくれるきっかけが潜んでいるはずです。

 

10人の女性たちがおしげもなく見せてくれる

「大変な物語」は、

十人十色の人生の応援歌なのです。

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